『天官賜福』白衣禍世の罠と怒りの鬼、花城誕生 第99章・第100章
ついに、ついに、白衣禍世が現れた…
慕情が去って一人道端でうずくまっていた謝憐の前にちょろちょろやってきたんだ。
コイツは本当に薄気味悪いっ!散々痛めつけた後で痛みと恐怖で震える謝憐を抱きしめる… かわいそうに、私の側においで、私なら君を分かってあげられる…って顔の泥を取ってあげるの。
ぎゃーっ、気持ち悪いっ!ゾッとした!ゾーーーーってしたっ!
こ、こ、これはっ、なにっ?サディスト感が半端ない!
99章~101章が『天官賜福』で一番過酷なところだと思う…
辛すぎて鬱々しちゃうんだよな… 謝憐は一気に悪路をたどるし、白衣禍世は気持ち悪いしで 早く脱出して花城と謝憐が幸せな章に癒されたい。
強盗未遂事件のこと、隠れ家を訪ねてきた慕情と口論になったことで風信にバレてしまった。謝憐の怒りと焦燥感は凄まじくてね、うん、確かに… 風信が自分に落胆して離れてしまうんじゃないかって、今の謝憐にはどうしても耐えられないことなんだ。
でも、白衣禍世は謝憐だけに姿を見せてその恐怖を煽る。もう、なんなんだよ、お前はっ!
こんな時、謝憐のお母さんがさ、お母さん…、覚えてる?あの優しい母后様… お風呂に入っている謝憐が自分の服が白衣禍世の喪服に見えたって、幽霊がいるよ、僕にとり憑いているよって裸で泣き叫ぶ謝憐を必死で抱きしめるのよ。
もう、お母さん、泣くしかできないの。謝憐が常軌を逸脱していく姿に泣くしかできないのよ。
あぁ、お母さん… 私も一緒に泣いてあげたい…
ここまでくると白衣禍世が現れたよ、僕には見えるんだって謝憐が話しても誰も信じてくれない。
私にだけ見える霊の存在…ってホラー映画みたいな感じだよね
「殿下は気が触れてしまった、これ以上刺激するのはやめよう」って風信と両親が話し合うのを見た謝憐は心が砕けて家を飛び出しちゃうんだ。
嘘なんかついてない!幻覚なんかじゃない!風信も信じてくれない!
謝憐は自暴自棄になって、一人、白衣禍世と対峙する覚悟を決めるんだ。
謝憐は自分から白衣禍世の罠にはまってしまった。
白衣禍世の罠は100人くらいの遭難者を集めて人面疫を発症させること。
白衣禍世は「人面疫が感染しない方法」を人々に教えて、そう、人面疫は殺人を犯した人は発症しない。その事実を謝憐はずいぶん前に気づいていたけど誰にも話さなかった。大量虐殺が起きちゃうからね。
でも人は本当に弱くて脆い、そして残酷だよ。
感染の恐怖に怯えた人たちは、「神であり、死なない体」の謝憐に一気に剣を突き刺したんだ。
ここからは本当に壮絶な描写が続く…
私の読んでいる英語版には所々、見開き半分に挿絵があって、なぜかこの残酷なシーンが描かれていてゾッとした。挿絵に選択する箇所は他にいくらでもあるのにこのシーンを選択するなんて… やめようよ、こういうの…
なので、私はかわいい猫の写真を挿絵の上に貼って見ないようにしている。
そして、このシーンだけは二度と読まないと決めている。
この時ね、いたんだよね、鬼火の花城が。
白衣禍世に囚われたまま謝憐が刺され続ける姿を見るよう強要されたんだ。
花城は風師に「この世で最も苦しいことは何か」と聞かれた時、
「愛する人が凌辱されているのに何もできないこと」
と答えていたよね。
これがその答えだと思う。
謝憐が意識を失う瞬間、鬼火の花城は一瞬で火の海とともに人々を灰にして、一人の少年兵の鬼になった。
花城は謝憐を守ることができなかった怒りから鬼になったんだ。
花城は謝憐が傷つくことをとてつもなく嫌がるよね。
蠍尾蛇に刺されたとき、芳心剣を飲み込んで霊を退治しようしたとき、毒気のある骸骨を触ったとき、湾刀厄命でけがをさせてしまったとき…
「三郎、怒っているの…?」って謝憐が不安になるくらい花城は厳しい態度になる。
花城にとって謝憐が傷つくこと、痛みを感じることは耐えられない屈辱なんだよね、守りたくても守れなかった、その怒りから鬼になったんだもの。
次章もつらい展開が続くよ… 早く幸せな謝憐と花城に会いたい…