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『鎮魂」三巻 すべての涙はここで流そう…沈巍の悲恋 外伝「山鬼」 Part3 

1. その後の趙雲瀾と沈巍

新しい「大封」が整ってようやく特別調査所にも平和な日常が訪れました。
趙雲瀾と沈巍も仲良くしているはず…ってやっぱり違った。この二人は愛が深すぎて衝突も激しい…
というのも、あの日鎮魂灯の中から戻った沈巍は一週間も眠ったままだったらしい。趙雲瀾はつきっきりで看病したんだけどね、目を覚ました沈巍は勢い余って家出しちゃった。何やってるんだかなぁ…

まぁ、一緒に死ぬ約束を反故にして自分だけ殉死したし、趙雲瀾の記憶も封印しようとしたからね、合わせる顔がなかったんだろうよ。趙雲瀾が拗ねて「どちら様ですかー?俺は記憶喪失なんでお帰りくださーい」って意地悪するのもわかる。
でもね、なんだかんだと趙雲瀾は沈巍にベタ惚れなんで、「ごめんなさい」って跪いて謝罪する沈巍を見たらすぐに許してた。そういうところ、今となってはほーんといい男だなって思います。

あの日、「鎮魂灯」から戻った沈巍は魂を得て真の聖人になった。趙雲瀾の中に崑崙君も蘇ったということで、今、二人は「化身」という状態みたいよ。これからはずっと一緒にいられるってことなんだろうから、あんまりケンカしないで仲良くしてほしいよ。

『鎮魂』は二人のハッピーエンドをもって完了、この後は外伝に続きます。
正直、壮大な物語のわりにあっさりしたエンディングで、もうちょっと感動シーンほしかったなぁ…って思ったのはある。
でもね、それは外伝の最終話「山鬼」にぜひ期待していただきたい!
沈巍の苦しい胸の内を知って、泣けます…

2. 外伝「山鬼」 たった一度の過ち

幾千幾万年もの間、神農との残酷な誓約を守り続けてきた沈巍だけど、たった一度だけ誓約に背いたことがあったの。その時の悲恋を描いたのが外伝「山鬼」です。
私ねぇ、正直『鎮魂』の中でこの話が一番好きだって思った。悲恋なんだけど二人が恋に溺れていく過程が面白いし、本文とのつながりもあって読んでて一番面白かったなぁ。でもって泣けるんだよ…! 沈巍の涙にね、もらい泣きしちゃったよ。

崑崙君の何度目の転生者の時代なのか、沈巍はまだ「嵬(うぇい)」とだけ名乗っていてね、山奥でひっそりと暮らしていたんだ。でも、崑崙君の転生者である義士の「沈三(シェン・サン)」を陰から見守っていたのは今と変わらないよ。見ることは許されているって誓約が本当に悲しい…
そんな矢先、崖から落ちた沈三は助けて看病してくれた沈巍に夢中になっちゃうんだ。

この二人はさぁ、もう運命なのよ、いつの時代であれ出会ったら恋に落ちる。転生者に記憶はないけど、みーんな崑崙君=趙雲瀾と同じ顔で生まれてきて、同じように沈巍に惹かれるのよ。だらしなくて根無し草の自分の世話を焼いてくれる沈巍にべた惚れになるのは転生者に共通なのよね。

沈巍は恋愛には奥手で、「神農との契約」もあるしでやっぱり面倒くさいことばかりするの。沈三と距離を取ろうとしたり、やっぱり離れたくなくて騙すようなこともするけど、何をしたって恋心は膨らんでしまうんだよね。
ついに、沈三が町で買ってきた官能小説を隠れて読んでしまった…というめちゃくちゃ面白い事件がきっかけで二人は一気に燃え上がっちゃうんだよねぇ、ここかなり笑えたわ。

でも、やっぱり幸せは続かない。沈三は鬼である沈巍に精気を吸われてどんどん体が動かなくなってしまうの。沈巍は泣きながら「誓約に背くべきではなかった」と黙って去ることを決めるけど、沈三はそれを許さなかった。
「来世で会いに行くから、待っていてくれ」そう言いながら命尽きてゆく沈三を涙を堪えながら見送る沈巍の姿は本当に切なくてね… もらい泣きしちゃったよ。

なんて苦しい恋を選んだんだろうね、沈巍… 
崑崙君の転生者が結婚して誰かのものになっていくのを見るのも、自分のそばで命尽きるのを見るのも、どちらも心臓をえぐられるように辛かっただろうに、それでもずっと、ずっと愛し続けてきたんだよね。
こんな悲恋を抱えていることを知ってから物語を読むとね、苦しくてどうにもならない、いっそのこと一緒に死んでほしいと願った沈巍の気持ちがわかってしまうんだよなぁ…

ちなみに沈巍と名付けたのは沈三です。沈巍はずっと、ずっとその名前を大切にして生きてきたの。
「山鬼」を読むと本文の印象がぐっと深まるんですよ、沈巍がどれほどの悲恋を抱えて生きてきたのかを知ってからの再読、おすすめです。

これで『鎮魂』全三巻は完了です。壮大なファンタジーの世界観にどっぷりハマれて楽しかったぁ!
ぜひ、読んでみてくださいね!沈巍がかわいいからっ

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