『天官賜福』800年の想いが通じたとき 花城はなんて言ったの?
第93章で謝憐は花城の気持ちに応えました。祝!両想いの章!
これは本当に嬉しかった!こんな幸せな両想いってあるの?って歓喜しました。
この時、後ろからぎゅーって抱きしめてきた謝憐に花城はけっこう重要なセリフを言うんですけど、だって800年の想いが通じたんだからねぇ
私が読んでいる英語版にはこう書かれていました。
"Your Highness… You really will…be the death of me."
これ、すんごく訳に困った…
この英文は直訳するとまったく意味が通じない。「それが原因で自分が死ぬ」や「本当に困っている状態」とか大げさな感情を表す英語表現ですね。
「もう、笑わせないで、死んじゃうよ」とか「本当にあのうるさい犬には死ぬほど困っているの」とかでしょうかね。
あんまり聞かないし初めて知った。
どうにも訳がしっくりこないので台湾に住むお友達に中国語ではどう訳すのかを聞いてみました。
中国語だとこう書かれていました。
「……殿下。你這可真是……要了我的命了。」
中国語でもここは比喩的な表現で「命を取られそうだ」「命を取られるかと思った、でもそれすら惜しくないよ」という訳が一番近いとのことでした。状況や発話者の性格、裏に隠された真意を考えて訳すから人それぞれ感じ方が違うとのことです。
確かに、ここの訳はネットの海を漂っても千差万別でした。
「命を取られるかと思った」
「心臓が止まるかと思った」
「殺す気ですか」
「心臓が持たないよ」
「こんなこと、本当に困った人だ」
「心臓が止まるようなことしないで」
とまぁ、けっこういろんな訳があって興味深い。
私はですね、最初は「殿下、あなたって人は… 心臓が止まるかと思ったよ」の訳がしっくりくるかな…?と思いました。
花城は謝憐の気持ちを聞く前、死刑判決を待つ囚人のように落ち込んでいたし、"Hua Cheng's staggering response"と記されているので、驚きでよろめいた感じの反応も相まった印象。あと、花城って結構いたずらっ子で自分がすでに死んでいることを冗談ぽく話すこともあってロマンティックなことは言わないかなと。
でも、読み返すとまた違う印象が生まれて、最終的に英語のまま咀嚼して、言葉の真意を当てはめて読むことにしました。花城ならこんな風なことを思って言ったんじゃないのかな…?と。
大学時代、「文学作品は読み手が百人いれば、百通りの解釈がある」と文学部の教師陣は常に言っていました。確かに文章は想像力を育むので、読み手次第で様々な訳が生まれて当然かと思います。
解釈の自由度が高い文章を花城の言葉に選んだということは、読む人に判断を委ねるという意味もあるのかな…とも思います。
このセリフを除くと花城のセリフで訳が難しい…と思ったところはないんです。花城はかなりストレートに物事を伝えるのでわかりやすい。
そんな花城が、この時だけは、800年の想いが通じて謝憐と両想いになったこの瞬間だけは動揺が隠せなったのかなぁ、曖昧な言葉なんですよね。
それを考えるとまた違った訳が浮かんでくる… 深い言葉です。