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そのフカフカを愛と呼ぶ

読んだマンガの話。

くたくたに疲れ切った金曜日夜、同僚と美味しいスペイン料理を食べて楽しくお酒を飲み、じゃあねと別れてホテルに戻った。
お酒が入っているからか体は思うように動かず、化粧だけでも…と思ったが意識が途切れた。

起きると夜12時。
また少し寝ようと思ったが、眠るには足りない微睡を求めてSNSの海に潜り込んだ。
ぼんやりと他の人たちが投げ込んだ餌を魚のような気持ちでぼんやり眺めていると、ある投稿が目に入った。

「老犬とつづ井」

あ、つづ井さんの新しい漫画がある。
どうやら単行本としても出ているようだ。
そう思いながらAmazonでポチリと購入する。

老犬とつづ井
著:つづ井

私はつづ井さんが好きだ。
もちろん会ったことはないのでSNSや著書を通した彼女の事しか知らない。
ユーモアに溢れていて、優しくて、涙もろくて、素直な人なのかなという勝手な印象を持ちながら、彼女が過ごす生活が素敵でキラキラしていて「こんな友人がいると楽しそうだな」と思いながら拝見させていただいている。

よかったらこのnoteを読んだ方もつづ井さんの漫画を読んで欲しい。

話を戻そう。

あらすじ
「愛犬というのは、愛が犬のかたちをしているという意味です。」 いつも家族の中心にいて、ほほえみをくれた大きな犬・A。その先が短いと、ある日知らされて――…。にぎやかでやさしい、ふたりの最後の日々がはじまる。愛犬とのあたたかい記憶と介護生活、お別れの日までを描くコミックエッセイ。描きおろし60ページ以上を収録。

このお話は他の漫画にも出ているつづ井さん宅の「愛犬」Aちゃんとつづ井さんのお話である。

Aちゃんは大きなラブラドールレトリバーで漫画を読むになんとも天真爛漫で感情表現豊かなわんちゃんだろうと思う。

私はとてもつづ井さんと他者の交流というか、気持ちの交わりや、思い合う様が好きで、それらを見ていると非常に優しくて暖かい気持ちになる。

ぜひこの現代社会の荒波でゴリゴリとすり減っている人はつづ井さんの著作を読んでほしい。(2回目)

読んで欲しいのであまり内容の詳細は語らないが、私の心に残っているのはこの中の「老犬と夜」という話である。

つづ井さんの家では、各々が各々の部屋で就寝しており、Aちゃんは大きくてフカフカな体でリビングの好きなところを占有している。犬ってリビングを城にしがち…ビッグラブ。

Aちゃんがある夜から人を起こすようになったところから話は始まる。
足が悪くなっていたAちゃんはウォフと鳴いてつづ井さんを起こす。
どんどん夜中に起こされる頻度が多くなっていく、寝具を買い替えたり病院で相談しても理由は分からない。

そのときのつづ井さんの心情描写を読んで、私はポロリと涙をこぼした。


あなたが不満なく幸せに生きられるようにあと私には何ができるの…

老犬とつづ井より

我が家にも老犬がいる。
東日本大震災の年の11月、我が家にやってきた宝物。最近は仕事が忙しくてなかなか会えていない。どうしても重なってしまった。

犬の一生は短い。
しかしその存在ははるかに大きい。
私たちに寄り添い、無償の愛を惜しみなく送ってくれる愛おしき存在。つづ井さんが言っているとおり、愛が犬の形をしているのだ。

Aちゃんの夜鳴きの原因は「寂しさ」からくるもののようで、つづ井さんが一緒に寝たことでだいぶ状況もよくなったようで、わたしはほっと胸を撫で下ろして読み進めていった。

昨日、久々に犬に会うと短くてふわふわなしっぽを小刻みに振ってくれた。
膝の上にすっぽりと収まり、ご機嫌な顔で私の顔を眺める犬を見て、もっともっと大事にしようと強く思った。

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