賢治の最後の手紙

宮沢賢治の最も有名な詩は、「そういうひとに私はなりたい」わけだから、そうではなかったのだ

亡くなる直前に生徒に書いた手紙にも、いつか自分は人とは違う高みに登れるに違いないとどこかおごっていて、当たり前のことに感謝することをしなかったと悔いている

生前に認めてもらえなかったひとだけど、現在世界的に才能が認められている。そのような才能を持ちながら生徒に対し「あなたは賢いしこういうあやまりをなさらないでしょうが」などと表現できる賢治のようなひとに私はなりたい

つまり私は、あなたは賢いからなんて言えるほどの、懐の深さを持っていないし、人生の覚悟もない


私もまた、いつか誰かよりは高みに登れるのだというなんの根拠もない自信に支えられて生きている。いつかその愚かさを悔い、後世に教えようとする日がくるのだろうか


賢治の最後の手紙の前で私は何時も立ち尽くす




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