おひさまになった経緯[1]
かつてチャットモンチーが好きで、ライブに行ったりもしていた。チャットモンチーの音楽はいうに及ばず、それ以上にえっちゃんが好きで、えっちゃんをアイドルとして推しているに等しい、という自覚もあった。しかし、AKBや坂道などの大所帯アイドルにはまったく興味はなく、目もくれていなかった。乃木坂・欅坂の存在は、名前は知っている、程度で、「ひらがなけやき」なるものは見たことも聞いたこともなかった。
かわいい女の子の画像が好きで、ネットを漁っていた。2020年夏、たまたま丹生ちゃんを見つけ、そのルックスに興味を持った。ネットには冠番組のキャプチャも転がっていて、録画して見るようになった。テレビに繋いだHDDに、「祝・ダディガ記念!人生のパイセンに理想の娘の育て方を学ぼう!」の録画が残っている。
はじめはかわいい女の子を眺めるという動機だったが、毎週毎週番組を見るうちに、どんどん引き込まれていった。番組は「ダディガ」のあと「怪談」「世間知らずちゃん」「ぶりっ子」「アルバムヒット祈願」と続く。典型的な、言われ尽くされたことではあるが、何ごとにも前向き/全力/諦めない、という雰囲気を番組から感じたのだろう。ヒット祈願の釣りチャレンジを見て、不覚にも泣いてしまった。
2020年末、きっかけは忘れたが、ひなくり2020の直前特番を見た。内容についてはほとんど記憶がないが、これを見たことでひなくり本番の配信も視聴しようと思った。今になってネットで検索してみると、ライブリハーサルの密着映像もあったようで、そういう裏側を垣間見たことで、俄然興味が湧いたのだと思われる。当時の日記に、初めて「日向坂」というワードが登場し、「見事に釣られました」と書いている。
ひなくりは、衝撃だった。
アイドルのライブを見るのは初めてだった。統一された世界観で貫かれ、会場を広く使った演出や仕掛けなど、まるで劇を観ているような感じで、すっかり没入した。今思えば完全無観客の配信ライブだったので、ライブとしては相当特殊ではあったが、当時はそんなことは知らず、とにかく見入った。まだほとんどの楽曲を知らなかったが、「まさか偶然」「川流」「どう雨」「ソンコト」「ダッシュラッシュ」「窓開け」「アザカワ」などが強く印象に残っている。「どう雨」の三人のパフォーマンスはかっこよかった。「ダッシュラッシュ」はカメラワークがおもしろかった。「アザカワ」は、歌唱に至る経緯が見え見えで、楽曲が始まると「キター!」と叫んでいた。
まだメンバーの顔と名前が一致せず、お気に入りの丹生ちゃんを軸に見ていたが、「まさか偶然」でやたら泣きじゃくるボブの子が出てきた。かわいいなと思い、そのあとボブの子を探したが、ぜんぜん見つからなかった。アンコールでようやく再登場して、また泣きじゃくっているのを見て、心を強く揺さぶられた。日記には「心が洗われた」「チャットモンチー以来」と書いている。当時は名前も知らず、病気療養中、というのも知らなかったが、その日のうちに丹生ちゃんに加え松田好花もお気に入りとなった。視聴後速攻でファンクラブに入会。12/29には丹生ちゃん、このちゃんのメッセを取り始めている。
年明け、「日向坂46ストーリー」を読む。号泣した。日記には、「ひなあいを見始めた頃、アルバムのCMの、『陽の当たらないときもあった』というフレーズの意味がわからなかったが、ようやくわかった」と書いている。間を置かず、HINABINGO円盤を購入。大いに笑い、大いに泣いた。映画「三年目のデビュー」円盤も購入。号泣した。日記には、「青春の馬の振り入れで多くのメンバーが泣く場面は秀逸」と書いている。今でも「馬」を聴くとこのシーンが思い出され泣ける。キラキラした外見からはとても想像できない、意外なほどの下積み期間の長さと込み入ったグループの歴史と、メンバー個々の個人史が作る物語は、奥行きのある、優れた小説を読んでいるかのようだった。
この時期、おひさま熱がぐんぐん高まっていたようで、日記にも多くの記述が残っている。日向坂メンバーはやたら泣く。人がやたら泣くのを見るのは好きではなかったが、日向坂メンバーの涙については、すっかり肯定している。贔屓目なのかもしれないが、感情の素直な発露であることが感じられるので、肯定。ほかの坂道に比べ日向坂は顔面偏差値が高い(贔屓目か)。バラエティムーブも評価。しかしなんといっても楽曲と歌唱パフフォーマンスが優れている。そうでないとここまで好きになれない。などなど。当時気に入ってた楽曲も羅列されている。「馬」「線香花火」「まさか偶然」「半分の記憶」「いごわる」「沈恋」。
2021年3月末、推しメンをこのちゃんに変更している。きっかけは覚えていないが、この頃がな推し円盤を購入しているので、美しいバンジージャンプを見たのがきっかけだったかもしれない。このちゃんはメッセが素晴らしく(頻度、上手な自撮り、親近感の湧く近況報告)、すっかり洗脳されたのかもしれない。以来このちゃん推し一筋である。5thシングルフォーメーション発表についてのこのちゃんのリアクションを長文メッセで読み、心を震わせた。テレビや配信で欠かさず日向坂/このちゃんをカバーするようになり、ミーグリ参加やライブ参戦へのハードルがどんどん下がっていった。秋にはついにミーグリ初当選。ひなくり2021は落選したがユニット祭りでライブ初参戦し、翌年の東京ドーム参戦に至る。
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