営倉
六本木の東京ミッドタウンに、一定時間ごとに口と思われる部分からウサギの骸を吐き出す獣「ゲロッピョン」が完全に真空であるはずのライフガードチューハイの空き缶からメリメリ生まれた。
一部始終を近くで見てたパスツールの幽霊「うそぉ」
東京ミッドタウンに遊びに来たものの自分たちでは何ら購入できない5人組の北新宿少年探偵団はゲロッピョンを注意深く観察する。
メガネをかけた、ハカセというあだ名の少年(成績は5人の中で一番悪い)が、ゲロッピョンが17回に1回、ウサギではなくヨックモックのシガール30本入を吐き出すことを指摘した。
自分が間違っていてもいつもやんわり人のせいにするミックンという少年が言った。
「ハカセ、よく気付いたな。さすが地頭が良いな」
ハカセ「"地頭がいい"って他人に使うときはたいてい相手を見下してるときや。オドレいつまでも調子乗っとったらいてまうぞオラ」
北新宿少年探偵団は5人が5人プライドが高かった。
ミックンはハカセを上回るバチギレで家に帰った。
4人になった北新宿少年探偵団だったが、紅一点のサンアントニオが、生きているうちに絶対に倒さないといけない奴とついに連絡がついたとのことで駅に向かって消えた。
残るメンバーはハカセ、ミスターミニットJr、エッグスンシングスンガンスリンガーガールの3人だけになってしまった。
ミスターミニットJrがゲロッピョンを見遣ると、ゲロッピョンが固まった紙粘土みたいにカチカチになって虚空を見つめていた。
◆
エッグスンシングスンガンスリンガーガール(SNSのアカウント名)が目を覚ますと、そこは歯医者の待合室だった。
今日は有休を使って親知らずを抜きに来たんだった。
そしてそもそも私には4人の探偵仲間どころか家族も友達もいなかった。
待合室のテレビにはワイドショーが映っており、「北海道にまたゲロッピョン出現」とテロップが出ていた。
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