コウコの憂い
高校時代、バスケ部でした。
コモリ(仮名)という同学年のセンターがいました。
夏休みの二部練の昼休憩で、コモリはスーパーのぶっかけうどんを食べながら言いました。
「絶対バスケより勉強のほうが楽や。早く引退して受験勉強したい」
コモリは学年で一番の長身でした。
顧問は1年時からコモリを起用しました。
コモリは昔ながらのハイポスト常駐型のセンターで、ドリブルや外のシュートや気の利いたパスなどは苦手でした。
コモリは人の哀愁をフリにしたマヌケさを愛し、説明しなくてもそれを面白がり合える奴でした。
2年時の大会前の練習試合で、コモリはミスに次ぐミスを連発しました。
顧問はコモリに「お前はチームのマイナスプレーヤーや」と怒鳴りました。
コモリは顧問に近い将来を嘱望されていました。
顧問は、ターンオーバーやシュートミスに比べて、リバウンドや得点やアシストが少ないという意味で言ったようでした。
コモリは翌日から部活に来なくなりました。
コモリはフリーのジャーナリストかのように月バスやHOOPの情報を素早く報道してくる奴でした。
「洛南の試合見た?やばかったで」
コモリは理系でした。
バスケ部を辞めた後も、たまに廊下で会ったらマンガの話などをしました。
この間、たまたま高校の卒業アルバムを開きました。
個人写真のページでコモリはバスケットボールを抱えて笑っていました。
やっぱりバスケすきやったんやねぇ〜
コモリ、スラムダンクの映画観たかな?