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ビッグ・リボウスキの何が好きか②

こんばんは。

新宿中央コーエン兄弟です。

前回書いたブログを後から読み返してみると、名前を名乗っているところからすでにめちゃくちゃ気持ち悪かったです。

どこぞで待ち望まれた赤ちゃんが今まさに誕生しているとき、わたくしと言えば「新宿中央コーエン兄弟」などと のたまいゲロに等しい文章をネットに上げる始末。はっきり言って万死に値します。

それはさておき、今日はビッグ・リボウスキという映画の何がそんなに好きなのかをダラダラ垂れ流そうと思います。

本題に入る前に簡単に自己紹介させてください。

新宿中央コーエン兄弟ことわたくしは現在東京在住ですが出身は大阪で、最後に住んでいたのは天満(てんま)というところでした。

天満もけっこう読みづらい地名ですが、大阪にはそのほかにも杭全(くまた)、御幣島(みてじま)、道修町(どしょうまち)とか色々ヘンな地名があります。

ちなみに道修町は谷崎潤一郎の『春琴抄』(しゅんきんしょう)という小説の舞台となった町です。今は完全にオフィス街みたいになっていますね。

春琴抄は大家のお嬢様の春琴とお手伝い(いわゆる丁稚)の少年・佐助の話です。

春琴は三味線の天才で、絶世の美人で、盲目です。プライドが高くめっちゃワガママですが三味線の才能は比肩する者なく、家族も手を焼いています。

佐助は春琴の顔色を窺いながら、極めて献身的に身の回りの世話をします。

春琴はかなり気難しい性格なので、佐助は機嫌を損ねないように気を遣って行動しますが、それが逆に気に入らなかったりしてバチギレられます。

春琴が湯船から上がったら湯冷めしないうちに急いで体を洗ってあげます。
マッサージをしろと言われたからやったらもうよいと突き放されます。

それでも佐助は不平一つ漏らさず、黙って春琴に尽くし続けます。

基本的に佐助は春琴に詰られ、ボコボコにされてます。

ですが!

ある日のこと、春琴が妊娠していることが発覚します。

家族や関係者は父親が誰なのか尋ねますが、春琴はそれは言わない約束になっている、と答えます。

佐助にも同じことを問い詰めますが、存ぜぬの一点張り。

春琴に「父親は佐助なのか」と訊くと、「あんな丁稚風情とセックスするか」と、怒髪天を衝くストレート身分差別。

生まれた子供が佐助そっくりであっても、ついぞ2人は認めませんでした。

あるとき、夜中に屋敷に侵入した暴漢によって、春琴は顔に熱湯を浴びせられます。

春琴の美しい顔は ただれて、元通りにはなりません。

春琴は「こんな顔を佐助に見られたくない」と言います。

ほどなくして佐助は錐で目を突き、自ら失明します。

これしかも、最後の最後まで一言もお互いへの気持ちの言及が無いんです。

佐助は「熱湯がかかったぐらい何ですか」とか言わず、黙って錐で自分の目突くんですよ。黙って錐で自分の目突くな!

これが愛なのか?と初めて読んだときこそ混乱しましたが、今となればどちらかと言うと佐助の気持ちは想像できます。

たぶん愛とか恋とかいうことだけでもないんですよね。

春琴の不自由を補完するためだけに自分の存在があるので、マッサージを始めた途端にもうよいと言われても、良かれと思って春琴の足を温める方法を工夫したのにブチギレられても、全く問題じゃないと思ってると思うんです。

それが春琴の役に立つなら、精神衛生を保ち少しでも満足してくれるなら、自分が蹂躙されても無問題なんです。

罵詈雑言を吐かれても絶対に自分は春琴に尽くすし、春琴は自分だけに厳しく命令してくれる構図がある種 保証されている関係がある以上、死んでも佐助は奉公し続けるんですよ。

万が一 春琴が自分を本当に必要としていないのが分かったら、佐助は「春琴に尽くすために」潔く身を引くと思うんですよね。自殺したりもしません。春琴の健康が害されますので。

春琴はめちゃくちゃ佐助が好きなんです。春琴が佐助を求めてるんです。

私見なので間違ってるもしれませんが、マゾヒズム小説とも言われる春琴抄、個人的には春琴のほうがより強いMじゃないかとも思ってます。

佐助は「春琴に気持ちよくなってもらうために」盲いたんです。

失明=精神的なクンニです。

佐助はあの場面では錐で目を突くしか春琴を悦ばせる方法が無かったんですよね。

あちゃ〜〜〜

春琴抄のネタバレしてもた〜〜〜

核心のネタバレだけはしないように気をつけてたのに

春琴抄(1933年発売)のネタバレしてもた〜〜〜

次回から気をつけます。

余談ですが谷崎潤一郎、陰翳を重んじたりクリエイティブな文体に挑戦したりするうえ基本戦闘力においても近代文学屈指の文豪でありながら教科書等にあまり採用されていないのは、ほとんどのテーマがあまりに変態的だかららしいです。高校生の性が歪曲してしまったら困りますもんね。

あとすみません、長くなったのでビッグ・リボウスキの好きなところは今度にします。

今回も読んでくださりありがとうございました。よい週末を。

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