お散歩

幾度も記していますが、お散歩に度度出る癖があります。

今の自分をここに置いて、過去の出来事に視界だけ出かける
ことをそう称しています。

記憶に留めた記憶すらない出来事を思い出したり、
そこに記憶が照準を合わせて遡ったりもします。
脳の医者に訊ねたことはあるのですが、回答は得ることが
出来ませんでした。


人間は色や匂いでフラッシュバックするようなのだと以前、
記しました。
その通りです。
そして、共通点があろうものなら違う出来事のそこに、
その匂いや色から飛びます。

「何故？」


そう思うことが度度あります。

一度も思い出したこともない思い出すようなことでもない
些細な出来事を、正にそのまま思い出すことがあるのです。
ちょっと鳥肌が立つこともあります。

今、耳かきを右耳から左耳に貫通させようと試みた幼稚園児の
頃の視界から戻ってきました。

思い出したこともない通学路の壁の落書きも今、正に。


でも、その前に別の出来事を思い出して、そんなことが
あったなとフラッシュバックしたそこにお散歩に出かけないで
違う出来事のことに移動した瞬間、もうそこにはお散歩に
出かけることが出来なくなるのです。


何を思い出して、何を考えていたのかすらほんの少し前の
記憶が綺麗に消えてなくなります。



きっかけのみ今に残されて、いるのです。
曇り空を見上げて点を思い出して出かけそうになったので
曇っているうちは今日、またお散歩に出かけるかもしれません。


ただ、僕という品質がそうだからなのか、それとも人間の
脳というものは誰しもがそうなのかは知りませんが、全然
関係ない曇り空の出来事を先程から繰り返し思い出しては
出かけています。