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米国大統領選挙年のS&P500:続編
株式市場の動きは、政治的イベントによって大きく左右されることがあります。特に米国大統領選挙のサイクルは、市場に大きな影響を与えることが知られています。
前回の記事で触れた大統領選のアノマリーに続き、1944年から2020年にかけての20回の大統領選挙年の株式市場の動向についてを調べました。
今回は大統領の所属政党が交代した年とそうでない年の株価のパフォーマンスを比較し、大統領の所属政党の交代が市場にどのような影響を与えるのかを探ります。
政党交代の有無と年間平均騰落率
政党交代ありの年(10回):
平均騰落率: 4.3%
年間で上昇した年: 7回
年間で下落した年: 3回
政党交代なしの年(10回):
平均騰落率: 10.1%
年間で上昇した年: 9回
年間で下落した年: 1回
いずれの場合でも上昇する年の割合は多く、平均騰落率もプラスとなっています。しかし、政党交代があった年ではS&P500のパフォーマンスが劣るようです。
政党交代の有無と各月の平均騰落率
次にそれぞれのシナリオでの各月の平均騰落率を比較してみましょう。
以下の表では政党交代の有無によるシナリオごとに各月の平均騰落率をまとめました。
現職大統領出馬年でのデータと同様に、政党交代が起こるシナリオでは1月から3月のS&P500は軟調に推移するようです。
しかし、4月から8月にかけては株価は堅調に推移し、11月の投開票を前にした9月10月に再度株価の下落がみられます。
そして11月、12月は再度株価が上昇するという流れが見て取れます。
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この平均月次騰落率をもとに年初を100としたS&P500の1年での推移を示したものが下のグラフです。
(赤:政党交代あり、青:政党交代なし)
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グラフで視覚的に確認すると1年間の株価推移がイメージしやすいですね。
政党交代がなかった年(青)ではS&P500は非常に力強い上昇を見せています。
特に政党交代があった年(赤)での、3月までの下落➡そこから8月までの上昇➡9月、10月の下落➡11月、12月の再上昇という流れがよくわかります。
また、政党交代があった年でも1年間トータルでのリターンは決して悪くないことも重要なポイントと言えます。
まとめ
年初5営業日のアノマリーを参考にすると1月8日のS&P500引け値が4769.83(1月5日の引け値は4697.24)を下回った場合、約65%の確率で1月の月間のS&P500も下落すると見込まれます。
年末に高値圏まで米国株が買い進まれた状況、早期利下げ観測の後退なども踏まえると、年初からの米国株式市場の下落は政党交代シナリオをシグナルしているように筆者は感じています。
グラフでの赤線のような動きをイメージしつつ、引き続き2024年第1四半期の株価推移を注視したいと思います。
*実際の投資判断については自己責任でお願いします。
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