FRBが9月FOMCで0.50%利下げを決定!市場との対話を重視するパウエル議長の采配、S&P500への影響は?
日本時間の本日(9/19)未明にFOMCの政策金利発表とそれに続いてFRBのパウエル議長の会見がありました。
2020年以来の初の利下げ開始となるFOMCでは0.50%の大幅利下げが発表されました。
私は寝てしまっていましたが、朝確認したところでは先週末からのリーク記事なども含めてパウエル議長率いるFRBは市場とのコミュニケーションを非常に上手く行っており、この難しい局面での利下げをやってのけたと評価できると考えています。
今朝のFOMCの発表とパウエル議長会見の内容を振り返っておきましょう。
FRBが9月FOMCで0.50%利下げを決定!市場との対話を重視するパウエル議長の采配、S&P500への影響は?
2024年9月のFOMC(連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)は0.50%の大幅利下げを実施しました。
この決定は、年内にさらに1ポイントの利下げを見込んだ初の大きなステップとなります。
今回の利下げは、労働市場の軟化をサポートするための措置であり、市場に対して強力なメッセージを送りました。
S&P500は、この積極的な政策に対して一時上昇して反応しましたが、パウエル議長の会見後に若干下落して取引を終えました。
パウエル議長は「後れを取らない」姿勢を強調
パウエル議長は、「我々は後れを取っていない」と強調し、0.50%という大幅な利下げが「政策の遅れを防ぐための決意を示すもの」だと説明しました。
0.50%の大幅利下げが、「景気後退をFRBが心配している」という間違ったメッセージを与えないように注意していることが分かります。
パウエル議長は、市場と積極的に対話しつつ、今後の政策運営に柔軟な対応を示す姿勢を明確にしました。
FOMC後に発表された予測では、2024年にさらに2回の0.25%利下げが行われる可能性が高く、これは年末までにさらなる金利引き下げが見込まれることを意味しています。
特に、労働市場がさらに悪化した場合、利下げペースが加速する可能性があるとされました。
FRBの0.50%大幅利下げ決定の背景は?
パウエル議長は、労働市場の強さを維持するために「政策の引き締め度合いを減少させる」ことが今回の決定の主要な理由だと述べました。
7月と8月の雇用統計、そしてそれ以前のデータ修正により、雇用増加が当初の予想よりも弱かったことが判明しています。
2023年3月までの1年間の雇用者数は、修正後に約210万人であることが分かり、以前報告されていた290万人よりも大幅に下方修正されました。
また、過去3か月の民間部門の月平均雇用増加数は96,000人と、2023年末の155,000人から大幅に減少しています。
これにより、FRBは労働市場のさらなる軟化を予見し、迅速な対応が必要と判断しました。
ただし、パウエル議長は、求人件数の減少が失業率の上昇につながる可能性があると警告しつつも、米国経済は依然として「良好な状態にある」と強調しました。
FRBの経済予想サマリーの内容は?
FRBの経済予想サマリーでは、2024年末までに政策金利が4.25%から4.5%に達する見込みです。
この予測は、11月と12月のFOMCでそれぞれ0.25%の利下げが行われることを示唆しています。
今回の0.50%利下げには12人のメンバー中1人の反対票があったものの、パウエル議長は「幅広い支持」が得られたと述べました。
しかし、政策委員会内では意見の相違も見られ、一部のメンバーは75ベーシスポイント(0.75%)の利下げを予測し、他のメンバーは1ポイント以上の利下げを見込んでいます。
また、2025年にはさらに1ポイントの利下げが予測されており、フェデラル・ファンド金利は3.25%から3.5%の範囲に下がると見られています。
これにより、長期的な中立金利も2.9%と引き上げられ、インフレ率を0.9ポイント上回る水準が設定されています。
最適な政策金利水準は今よりもかなり低い水準とFRBは考えており、それと現在の政策金利のギャップが大きいため、今回は0.50%の利下げでそのギャップを埋めにいったと考えてよいと思います。
インフレ見通しと失業率の動向
FRBはインフレが2%に向かって持続的に低下するという見通しに「より大きな自信」を示しています。
コアPCE価格指数に基づくインフレ率は、2024年には2.2%まで低下すると予測されています。
さらに、FRBは2023年末時点での失業率を4.4%と見込んでおり、2025年までその水準を維持すると予測しています。
この失業率はそこまで高い水準ではないと思います。
FRBのバランスシート縮小は継続
一部の市場関係者は、FRBが労働市場を支えるために0.50%の利下げを行った場合、バランスシートの縮小(量的引き締め)を終了するのではないかと予測していましたが、FRBは引き続きバランスシートの縮小を継続しています。
パウエル議長は、「バランスシートの縮小を停止する考えはない」と述べ、しばらくの間は金利が低下してもバランスシートは縮小されると説明しました。
S&P500への影響と今後の展望
S&P500は、FOMCの発表後に一時的に上昇し過去最高値をわずかに超える場面もありましたが、最終的には0.3%下落しました。
それでも年初来の上昇率は約18%であり、現在も史上最高値付近で推移しています。
過去のデータによると、FRBが金利を引き下げ始めた後の6か月間、S&P500は平均して10%の上昇を見せています。
特にソフトランディングが成功した1995年には長期にわたる上昇相場入りとなりました。
まとめ
今回のFOMCを見て、パウエル議長は非常に上手く市場とコミュニケーションをとり、0.50%の大幅利下げをきれいに決めてきました。
基本的な投資戦略は週報やFOMC前の記事から変化はありません。
週報で投資戦略の紹介をしており、内容は随時更新しています。
FOMC前と方針は変わりありません。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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