インテル株急騰:クアルコムによる買収提案とファウンドリ事業の未来
クアルコムによるインテル買収交渉のニュース
2024年9月20日にインテル(INTC)の株価は、クアルコム(QCOM)からの買収提案の報道を受けて急騰しました。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、クアルコムは最近、インテルに買収提案を行ったと報じられていますが、交渉の詳細や進展は不明です。
しかし、この買収提案が進展した場合、重要な問題として独占禁止法による厳しい精査が予想されます。
クアルコムはスマートフォンチップや無線通信技術における主要なプレーヤーであり、インテルとの合併は市場における競争の均衡を大きく揺るがす可能性があります。
このような大規模な買収には、規制当局による詳細な審査が不可避であり、特に米国やEUなどの独占禁止法当局が市場の競争環境に与える影響を慎重に評価することが求められます。
インテルは、かつて半導体業界をリードしていましたが、近年ではAMDやNvidiaなどの競合に押され、特にデータセンターやAI市場で遅れを取っていました。
規制当局の許可が大きなハードルとなる懸念はありますが、クアルコムとの買収交渉が進展すれば、インテルの再建に向けた大きな転機となる可能性があるでしょう。
またインテルは以下で述べるような材料が最近出ており、市場からの低い評価が見直される可能性はあると考えられます。
アマゾンとの戦略的提携
2024年9月16日にインテルはアマゾンウェブサービス(AWS)との戦略的提携を大幅に拡大することを発表しました。
この提携は、カスタムチップ設計において数年間、数十億ドル規模の共同投資を行うものであり、インテルの最先端プロセスノード「Intel 18A」を使用してAIファブリックチップを製造することが含まれます。
また、Intel 3でカスタムXeon 6チップの製造も計画されています。
インテルのCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、「AWSとの長年の関係を拡大することは、当社の技術力の強さを反映しており、AIやクラウドの分野で革新を促進します」と述べています。
この提携により、米国内の半導体製造が強化され、オハイオ州でのAIエコシステムの構築がさらに進む見込みです。
政府からの補助:Secure Enclaveプログラムの拡大
バイデン政権は、インテルが「CHIPS and Science Act」に基づき、最大30億ドルの直接資金援助を受けることを発表しました。
この資金は、米国政府向けの最先端半導体製造を強化するSecure Enclaveプログラムに充てられます。
安全保障上の観点から米国内にも半導体を製造できる拠点を確保していくという戦略に基づいたものです。
このプログラムは、インテルと国防総省が共同で進める「RAMP-C」や「SHIP」などのプロジェクトを基盤としています。
インテルは、米国内で最先端ロジックチップを設計・製造できる唯一の企業であり、国内チップ供給チェーンの確保において重要な役割を担います。
インテルのフェデラル部門の社長、クリス・ジョージ氏は「今回の補助は、インテルが米国の半導体供給を強化し、国家安全保障を支える役割を果たすことを強調しています」と述べています。
ファウンドリ事業の独立子会社化:さらなる成長の基盤
インテルは、ファウンドリ事業を独立した子会社として設立する計画を進めています。
この動きにより、顧客やサプライヤーとの関係が明確になり、外部資金調達が可能になるとともに、資本構造の最適化が進む見込みです。
インテルCEOのパット・ゲルシンガー氏は、従業員に向けたメッセージで「ファウンドリ事業の独立は、当社の競争力と効率性を高めるための重要な一歩である」と述べており、インテルがAI時代に向けた世界クラスのファウンドリビジネスを構築していることを強調しています。
コスト削減プランと業績の課題
少しさかのぼりますが、2024年8月1日、インテルは10億ドル規模のコスト削減プランを発表しています。
この計画には、従業員の15%以上の削減が含まれており、第4四半期から配当の停止も決定されています。これにより、インテルは効率化とコスト削減を目指し、より競争力のあるコスト構造を構築する計画です。
インテルの第2四半期の業績は、ウォール街の予想を大きく下回り、売上高は128億3000万ドル、調整後1株当たり利益はわずか2セントとなりました。
これは前年同期比で85%の減益となり、売上高も1%減少しました。第3四半期の予測も厳しく、3セントの損失が見込まれています。
これらの業績低迷を背景に、インテルはさらなるコスト削減と業務効率化を進めており、CEOのゲルシンガー氏も「すべての目が我々に向けられている中で、競争力を取り戻すためにさらに努力が必要だ」と述べています。
まとめ
インテルは、クアルコムからの買収提案、アマゾンとの提携、そして政府からの補助を受け、再建に向けた大きな動きを見せています。
特に、ファウンドリ事業の独立子会社化やコスト削減プランなど、重要な施策を通じて、インテルは業界内での競争力を回復するための挑戦を続けています。
クアルコムによる買収の行方も含めてインテル株の動向に注目していきたいですね。
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