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2024年8月米国雇用統計の結果と今後の米国株の見通し

9月6日に2024年8月の米国雇用統計が発表され、これを受けて米国株市場は大幅に下落しました。

今回の統計結果がFRB(連邦準備制度理事会)の利下げにどのような影響を与えるか、そして今後の米国株の見通しがどうなるかについて、多くの投資家が関心を寄せています。

本記事では、8月の米国雇用統計のデータを解説し、米国株の投資戦略に役立つ情報を提供します。

1. 2024年8月の米国雇用統計概要

非農業部門の雇用者数は14万2,000人増加し、市場予想の16万人増を下回りました。

失業率は4.2%に改善し、前月の4.3%からわずかに低下しました。

このデータは、労働市場の減速が引き続き秩序だったものであることを示しています。

つまり、労働市場が急速に冷え込んで、FRBが大慌てで大幅な利下げをするほどではないということです。

2. 賃金の上昇と労働時間の動向

特に今回意外だったのは平均時給の動きです。
時間当たり平均賃金(平均時給)は前月比で0.4%、前年比で3.8%の増加を記録し、市場予想を上回りました。

平均時給(前月比%)の推移

過去1年の平均時給の動きを見ても、前月比+0.40%というのはかなり強い水準を保っていると言えます。

賃金の上昇は消費支出を支える重要な要因であり、米国経済にとって引き続きポジティブな影響を与えています。

また、8月の週平均労働時間は34.3時間で、7月の34.2時間から若干の増加を見せています。
つまり、すでに働いている人の労働時間も増えているということです。
これも米国雇用市場の回復基調を示すデータの一つと言えるでしょう。

この賃金の伸びからも米国経済はリセッション(景気後退)を懸念しなければいけない状態からは程遠いことが分かります。

3. FRBの利下げ観測と投資家の反応

8月雇用統計の発表直後、金融市場では9月のFOMC会合で0.5%の利下げが行われる確率が50%を超えました。

しかし、その後ウォラー連邦準備理事の発言を受け、9月0.5%の利下げ見通しは43%に低下しました。一方で、0.25%の利下げ確率は57%に上昇し、FRBは利下げは行うものの0.25%の利下げ幅とする可能性が高いと見られています。

これは先ほど述べた賃金の上昇などの強い動きからも妥当な範囲だと思います。

インフレが抑制された分、やや高めになった政策金利を徐々に引き下げるというアプローチは王道と言えるでしょう。

ただし、9月FOMCで今後の利下げのロードマップについてどのようなメッセージが発せられるかには注目が集まりそうです

4. 米国株市場の反応と今後の見通し

8月雇用統計発表後にS&P500は1.6%下落しました。

これにより、レイバー・デー明けの9月5日(木)までの3日間でS&P 500は合計2.6%下落し、50日移動平均線を下回る形となりました。

この流れを受けて9月6日(金)の取引ではS&P500-1.73%、NASDAQ-2.55%と大幅下落となりました。

雇用者数が市場予想を下回り、8月上旬の急落相場と同様に過度な景気後退懸念から9月の大幅利下げへの期待が高まり、それに対してウォラー連邦準備理事の慎重な発言(間違ったことは言っていませんが)が冷や水を浴びせる形でボラティリティを高まってしまった感があります。

また週末を控え、売りが出やすかったこともボラティリティが上昇した一因でしょう。

このように雇用統計の内容を詳しく見ていくと、景気後退懸念が過度に織り込まれていることが納得できるかと思います。

実際にCME Fedwatchでは0.50%の利下げ確率は30%まで低下しており、大幅な利下げへの期待も縮小してきているようです。

2024.9.8時点での9月FOMCでの利下げ見通し(CME fedwatch)

今週は過度な景気後退懸念が収束していき、米国株市場が出直ってくる動きが出てくるかに注目したいですね。

もちろん9月FOMC前の最後の重要指標であるCPI消費者物価指数(米国は消費がメインなのでPPIよりはCPIが重要)の発表が9月11日に控えています。

こちらにも注目したいですね。

まとめ

8月の米国雇用統計は、予想を下回る雇用増加となりましたが、失業率の改善や賃金上昇は依然として強さを保っています。

過度な景気後退懸念から米国株市場のボラティリティが上がっていますが、8月の相場を思い出して落ち着いて対処していきたいですね。

さらに詳しい米国株投資戦略については毎週末の週報で記載しています。
*有料部分は次回週報まで随時更新していきます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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