9月米雇用統計のサプライズ:予想外の雇用増加がFRBの利下げ見通しに影響
10月4日に発表された9月の雇用統計は、雇用のペースが加速し、新たに254,000件の雇用が創出されたことを示し大きなサプライズとなりました。
雇用統計発表後にS&P 500は小幅に上昇し投資家は経済状況の改善を歓迎する一方で、11月FOMCでの利下げ見通しには変化が出ています。
ここでは今回の9月雇用統計の内容をレビューします。
雇用統計の結果
Econodayによると、全体で254,000件の雇用増加は、132,500件というエコノミスト予想を大きく上回る結果でした。
民間部門の雇用は223,000件増加し、予測の125,000件を超えました。
政府部門では31,000件の雇用が増加しました。
さらに7月と8月の雇用増加も72,000件上方修正されました。
これらの修正により、過去3ヶ月間の平均雇用増加数は月186,000件となり、そのうち145,000件は民間部門によるものでした。
9月の平均時給は0.4%上昇し、予想の0.3%を上回りました。
年間賃金増加率は4%で、予測の3.7%を超えました。
つまり民間を中心に雇用は強く、賃金上昇も堅調でした。
これは米国経済の堅調さを示すものです。
失業率
失業率は4.1%に低下し、予測の4.2%を下回りました。
これは、雇用者数が430,000人増加し、労働力参加者数の150,000人増を上回ったためです。その結果、失業者数は281,000人減少しました。
雇用統計の内訳
医療および社会福祉分野では71,700件の雇用が増加し、レジャー・ホスピタリティ分野では78,000件の増加が見られました。
建設業では25,000件の雇用が増加しましたが、製造業では7,000件の雇用が削減されました。
小売業では15,600件の雇用が増加しました。
産業ごとの雇用の幅を示すディフュージョン指数は、8月の51.8から9月には57.6に上昇しました。
7月の49.2からの上昇であり、数値が50を超える場合にはより多くの産業で雇用が増加していることを示しています。
1年前の数値は60.4でした。
FRBの利下げ見通し
雇用統計発表前にもADP雇用統計などの強い経済データやパウエル議長の「米国経済は堅調である」との発言を受け、11月FOMCで0.50%の大幅な利下げが行われる可能性は低下していました。
9月の雇用統計発表前には、11月7日のFRB会合で0.5%の利下げが行われる確率は30.5%と見られていましたが、雇用統計発表後には10.5%にまで低下しました。
さらに現在では市場は11月FOMCでの0.5%の利下げの可能性は完全になくなったと見ており、0.25%利下げが優勢となっています。ただし、わずかですが利下げなしの可能性も織り込みつつあります。
年内2回の会合では75ベーシスポイントの利下げが行われる確率は、雇用統計前の55.5%から約18%に低下しました。
それでも、これら2回の会合で少なくとも0.25%ずつの利下げで、合計0.5%の利下げが行われると市場は見込んでいます。
9月30日(月)にパウエル議長は、前の週に発表された所得データの上方修正に触れました。
これにより家計が借入に頼るよりも、予想以上に貯蓄していることが明らかになりました。
米国経済のメインエンジンである消費が健全なレベルで続くことを示唆しており、これも米国経済には追い風です。
市場の反応
市場では上でも述べた通り11月に0.5%の利下げが行われる可能性が完全に排除され、た景気後退のリスクはかなり減少したとの見方が主流です。
一方で、賃金上昇などを受けてインフレにより注意を払う必要があると考えられています。
今後のインフレ指標の結果によっては11月FOMCでの利下げ見送りの可能性も否定はできず、その場合には市場が一時的に下落するリスクもあるでしょう。
現在、米国の10年債利回りは3.96%まで上昇していますが、これは利下げの見通し低下というよりは米国経済の先行きの堅調さを反映した動きと考えられます。
11月FOMCでの利下げを占う意味でも、今週の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)などのインフレ指標に引き続き注目していきたいですね。
今週木曜日に発表されるCPIは、0.2%上昇となり12ヶ月のCPIインフレ率は2.3%に低下すると予想されています。
コアCPIも0.2%の上昇が見込まれていますが、商品価格の上昇によりコアCPIが0.3%上昇するリスクもあると見られています。
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