見出し画像

9月CPI結果は米国株市場にどのような影響を与えるのか?

10月10日に発表された9月消費者物価指数(CPI)のデータでは、コアインフレ率が予想を上回る結果となりました。
一方で同日に発表された10月初週の失業保険申請件数が予想外に急増しました。

前日に過去最高値を更新したS&P500は、CPIと失業保険申請データの結果が今後のFRBの金利政策に与える影響を市場が検討する中で、小幅な動きで推移していました。

しかし、アトランタ連銀総裁のラファエル・ボスティック氏が『ウォールストリート・ジャーナル』のインタビューで「11月に利下げを一時停止する可能性がある」と発言したことで、市場の反応はやや悪化しました。

9月CPIの結果

総合消費者物価指数は予想の+0.1%に対して、予想を上回る0.2%上昇となりました。
12カ月のCPIインフレ率は8月の2.5%から2.4%に低下したものの、予想の2.3%を上回る結果となりました。

コアCPI(変動の激しい食品とエネルギー価格を除く)は、前月比0.3%上昇し、予想通りの結果となりました。
しかし、12カ月のコアCPIインフレ率は3.2%の予想に反し、3.3%の上昇となりました。

コアCPIの詳細

コアCPIは前月比0.2%上昇し、月次ベースでの連続減少を終えました。

新車価格は前月比0.2%上昇しましたが、前年比では1.3%の減少です。
中古車・トラックの価格は前月比0.3%上昇しましたが、前年比では5.1%の減少となっています。

コアサービス価格は前月比0.4%上昇し、シェルター価格が0.2%の上昇にとどまったにもかかわらず、運輸サービスが1.4%、医療サービスが0.7%上昇しました。

CPIの約4分の1を占める持ち家の代替賃料は0.3%上昇しました。一方、ホテル・モーテルの価格は前月比2.3%減少し、シェルター価格の全体的な上昇を抑えました。

医療分野では、医師の診療料金が0.9%上昇し、2021年2月以来の最大の増加を記録しました。病院の料金は0.3%上昇しました。

航空運賃は3.2%上昇しました。レクリエーションサービスの価格は0.5%減少しましたが、スポーツイベントの入場料は月次で10.9%の急上昇を記録し、過去最大の上昇率となりました。

初回失業保険申請

10月5日までの週の失業保険初回申請件数は予想外に33,000件急増し、258,000件となりました。

データは、ボーイングのストライキが大きな影響を与えたことを示していませんが、ワシントン州で1,744件増加しました。
ノースカロライナ州では8,534件、フロリダ州では3,842件の増加が見られ、ハリケーン・ヘレーネの影響が考えられます。

季節調整前の申請件数では、ミシガン州で9,490件、カリフォルニア州で4,484件、オハイオ州で4,328件増加しました。

Pantheon Macroeconomicsの米国シニアエコノミストであるオリバー・アレン氏によると、未調整ベースでは、ワシントン州とヘレーネで最も被害を受けた6州で申請件数が19,000件増加したと述べています。

アレン氏は、今回の増加が「労働市場の急激な悪化」を示しているわけではないとしていますが、現在到来しているハリケーン・ミルトンの影響により、今後数週間で失業保険申請件数が30万件に達する可能性があると指摘しています。

FRBの利下げ見通し

市場は当初、予想をやや上回ったコアCPIインフレの結果よりも、失業保険申請の急増に重きを置き、利下げの見通しを強めました。

CPIと失業保険申請データの発表後、11月7日に利下げが行われる確率は90%近くに達しましたが、先ほどのボスティック氏の発言を受けて80%に後退しました。

今年最後の2回の会合で50ベーシスポイントの利下げが行われる確率は、CPIデータ後に75%から87%に上昇しましたが、ボスティック氏の発言を受けて79%に下落しました。

先週金曜日の9月の雇用統計が予想以上に強い結果を示したことで、9月の0.50%の利下げのような急速な緩和の可能性は事実上消滅しました。

それでも、政策当局者たちはまだ利下げの余地が十分にあると考えており、フェデラルファンド金利は依然として引き締め的な領域にあります。

今日のところはボスティック総裁の発言に影響を受けましたが、今後の経済指標などによってまだ利下げ見通しは変動していくでしょう。
ボスティック総裁の発言後でも、CPIなどの発表前に比べて大幅に利下げ見通しが動いているわけではないことは重要な事実と言えます。

まとめ

まとめると、今後の経済指標次第の面もありますが、少なくても今回のCPIと新規失業者申請件数の結果を受けて11月FOMCでの利下げ見通しに大きな変化は起こらなかったと評価できます。

現時点で大幅に米国株市場に対する姿勢を変化させる状況ではないと私は考えています。

米国株投資の手法はこれらの本で学びました。
特に「MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」はKIndle Unlimitedの読み放題に入っています。

毎週末週報で投資戦略をアップデートしています。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

この記事が読者の皆様がリスクとリターンを考慮したより良い投資判断を行うための手助けとなれば幸いです。
この記事が役立った場合は、スキ・コメント・フォローなど頂けますと励みになります。

*個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。
*実際の投資判断については自己責任でお願いします。

この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。サポート頂ければ励みになります!