S&P 500の先行指標が強気シグナルを点灯!今後の米国株市場の見通しは?
今週から2024年の第3四半期決算シーズンが始まり、大手銀行や金融企業の決算発表に注目が集まっています。
特にS&P 500に含まれる企業の先行1株当たり利益(EPS)は、今後の収益見通しを示す「最も優れた経済先行指標」とも言われており、現在この指標が強気のシグナルを発しているとの指摘もあります。
本記事では、S&P500先行EPSが何を示しているのか、さらにこの決算シーズンの先陣を切る銀行株の見通しについて詳しく解説します。
S&P 500の先行1株当たり利益(EPS)とは?
S&P 500の先行EPSは、S&P 500に含まれる企業のアナリストによる収益予想を基にした指標で、将来1年から2年間の企業の利益見通しを反映しています。
これは、企業の業績がどうなるかを予測し、投資家がその動向を把握するための重要な指標です。
先行EPSの特性と限界
先行EPSは、企業の収益見通しを迅速に反映し、四半期ごとの業績トレンドをタイムリーに追跡することができる指標です。
特に、毎週更新されるため、市場や企業収益に対するアナリストの見解が変われば、その変化が直ちにこの指標に反映されます。
リアルタイムに市場の変化に反応する特性があり、投資家はこの指標によって市場動向をいち早く把握できるメリットがあります。
ただし、先行EPSはリセッション(景気後退)を予測するには十分な指標ではありません。
なぜならリセッションは、消費者信頼感や雇用情勢、インフレなど多くのマクロ経済指標に影響されるため、企業の収益予想だけでは景気全体の動向を完全に捉えることが難しいのです。
このような限界はあるものの、先行EPSは個別企業の業績見通しを反映し、市場全体の収益トレンドを理解するための重要なツールです。
特に株価の動きや市場の勢いを把握する上では役立つ指標として広く利用されています。
先行EPSが示す強気シグナル
それではこのS&P500先行EPSはどのような動きを見せているのでしょうか?
最近のデータでは、S&P 500の先行EPSは2022年後半に一時的に低下しましたが、2023年初めに底を打ち、その後2024年にかけて回復しています。
さらに上のグラフには載っていませんが、2024年10月3日の週において、先行EPSは過去最高を記録し、企業の収益見通しが非常に良好であることを示しています。
先行EPSの上昇は、S&P 500全体の企業業績が堅調であることを示しており、これが投資家の買い材料となっています。
S&P 500が今後の10年間で少なくとも8,000に達する可能性があると指摘するアナリストもいるほどです。
特に、企業の業績が安定的に回復していることから、今後の決算シーズンにおいてもポジティブな結果が期待されています。
今後の決算シーズンの見通し
現在、大手銀行や金融関連企業が第3四半期の決算発表を控えており、その業績がS&P 500全体の収益に大きな影響を与えると予想されています。
具体的には、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)、JPモルガン・チェース(JPM)、ブラックロック(BLK)といった銀行が今週中に決算を発表する予定です。
また、来週にはバンク・オブ・アメリカ(BAC)、シティグループ(C)、ゴールドマン・サックス(GS)が決算を報告し、モルガン・スタンレー(MS)が大手銀行の決算シーズンを締めくくります。
銀行株の見通し:利下げと収益の関係
銀行株は現在、マクロ経済の不確実性や選挙リスクなどの影響を受けて慎重な取引が続いています。
しかし、FRBが9月に利下げを開始したことが銀行株にとってプラス材料となる可能性があります。
利下げは短期金利により強い下落圧力を与えるため、長期金利と短期金利との差が広がり、プラスのスロープ(長期金利>短期金利)を持つイールドカーブ(利回り曲線)が形成されやすくなります。
これは銀行にとって有利な状況です。
銀行は短期金利で資金を調達し、長期で貸し出すビジネスモデルを持っているため、このような状況下では利ザヤ(利益幅)が拡大します。
現在のように利下げ局面に入り、かつ経済成長期待などで長期金利が低下しにくい環境では、銀行の収益が改善し、特に投資銀行業務を行う大手銀行の業績にプラスの影響を与えると期待されています。
選挙結果と銀行株
また11月上旬に予定されている大統領選挙が銀行株に与える影響も無視できません。
バンク・オブ・アメリカのアナリストチームは、選挙結果によって銀行株の動向が大きく変わる可能性があると指摘しています。
ドナルド・トランプ氏が勝利した場合、規制緩和やM&A(企業の合併・買収)が進むため、銀行株にポジティブな影響が期待されます。
カマラ・ハリス氏が大統領に就任し、さらに民主党が両院で多数派を占めるシナリオの場合、規制強化や増税のリスクが高まり、銀行株にとってはネガティブな影響が懸念されます。
ただし、ハリス氏の勝利単独では極端な政策を決定していくことは困難であれうため銀行株に対する影響は限定的で、選挙後の政策動向や議会の構成が重要な要素となります。
このような不透明な状況があるため、一般的にはまだ銀行株に対する機関投資家のポジションは少ない状態です。
まとめ
S&P 500の先行1株当たり利益(EPS)は、現在強気のシグナルを発しており、特に2024年の第3四半期決算シーズンに向けて投資家の関心が高まっています。
決算シーズンの先陣を切る銀行株に関しては、マクロ経済の不確実性や選挙結果次第で動向が大きく変わる可能性がありますが、FRBの利下げによる収益改善の兆しが見えてきています。
このような背景を理解した上で2024年第3四半期決算を観察していきたいですね。
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最後までお読み頂き、ありがとうございました!
この記事が読者の皆様がリスクとリターンを考慮したより良い投資判断を行うための手助けとなれば幸いです。
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