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【速報】予想外の展開?雇用統計と消費者信頼感指数が利下げ見通しに与えた影響

2月7日に発表された雇用統計は+14.3万人と市場予想+16.8万人を下回りました

しかし、今回の雇用統計の結果は、同じく昨夜発表された消費者物価のインフレ期待(消費者信頼感指数)と合わせてFRBがタカ派的な方針を取る方向に働きそうです

この記事では雇用統計の内容を確認し、なぜ今回の結果がFRBをタカ派的な方向に導くものになるのかを解説していきます。

1. 雇用統計の結果:何がタカ派的なのか?

今回の雇用統計のポイントは、以下の通りです。

  • 新規雇用者数: +14.3万3000人でエコノミスト予想の+16.8万人を下回る結果。

  • 民間部門の雇用: 11万1000人とこちらも予想を下回っています。

  • 失業率の低下(注目!): 5月以来となる4.0%を記録。(予想4.1%)

  • 平均時給の上昇(注目!): 0.5%の上昇と予想を大きく上回り、インフレ圧力の懸念を高めました。前年比では時給は4.1%上昇し、予測の3.8%を大きく上回りました

  • 過去の雇用者数の大幅上方修正(注目!): 11月と12月の雇用増加数が合計10万件の上方修正。

雇用者数のヘッドラインは弱い数字でしたが、全体としてみると失業率の低下・持続的な賃金上昇が見られています。
雇用者数の鈍化は冬の天候不順やロサンゼルスの火災が影響した可能性があります。

過去の雇用者数の上方修正やトランプ政権の政策の影響なども考慮すると、FRBがインフレ抑制のためにタカ派的な政策を継続する可能性が高いと市場は受け止めたと言えます。

2. インフレ期待の上昇:利下げのシナリオは遠のいた?

今回の雇用統計と同時に発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数もFRBがタカ派的な方針を取るとの見方を強めました。

  • 消費者信頼感指数の低下: 前回の71.1から67.8に予想以上に低下。

  • インフレ期待の上昇: 今後12ヶ月のインフレ期待が3.3%から4.3%に急上昇しました。これは2023年11月以来の最高水準となります。

  • 長期的なインフレ期待:3.2%から3.3%にわずかに上昇しました。

このインフレ期待の悪化の背景にはトランプ政権による関税政策への不安があると考えられます。

インフレ期待とは、一般消費者や企業が「将来、物価がどれくらい上昇すると予想しているか」を示す指標です。これは具体的な経済指標として測定されるだけでなく、アンケート調査などを通じて消費者の主観的な予想も反映されます。

  • ミシガン大学消費者信頼感指数には、消費者が今後1年間の物価上昇率をどれくらい見込んでいるかという調査項目が含まれており、これがインフレ期待の重要な指標の一つとして利用されます。

  • また、債券市場における期待インフレ率も、投資家が予想するインフレ率を示す指標として注目されます。

インフレ期待は、実際のインフレ率に大きな影響を与えます。

  • 消費者の行動: インフレが加速すると予想した場合、人々は「今のうちに買っておこう」と考え、消費を増やします。これにより、需要がさらに高まり、実際のインフレ率を押し上げる可能性があります。

  • 企業の行動: インフレが続くと予想した場合、企業は原材料価格の上昇を見越して製品価格を引き上げます。これにより、コストプッシュ型のインフレが発生しやすくなります。

  • 賃金交渉: 労働組合は、インフレ予想に基づいて賃上げを要求することがあります。賃上げが実現すれば、企業はさらに製品価格を引き上げざるを得なくなり、賃金と物価が連動して上昇する悪循環に陥る可能性があります。

つまり、インフレ期待が一度高まると、それが自己実現的な予言となり、実際にインフレを引き起こしてしまう可能性があるのです。そのため、FRBはインフレ期待を非常に重視し、金融政策を通じてこれをコントロールしようとします。

今回の結果は、インフレが収束する兆しが見えないことを示唆しており、FRBが早期に利下げに踏み切る可能性はさらに低下したと考えられます。

3. 株式市場への影響:S&P500は下落、今後の見通しは?

今回の雇用統計とインフレ期待の上昇を受けて、S&P500はインフレ期待の発表後に0.7%下落しました。

今回の結果は、FRBが政策金利を据え置く可能性を高め、株式市場にとってはネガティブな要因となると見られています。

4. 今後のFRBの金利政策の見通しは?

今回の雇用統計を受けて、市場はFRBの利下げに対する期待を大幅に修正しました。

  • 3月19日の会合での利下げ確率: 発表前の16%から8.5%に低下。

  • 5月7日の会合での利下げ確率: 発表前の39%から29%に低下。

  • 6月18日の会合での利下げ確率: 発表前の65%から57%に低下。

市場は現在、年内の利下げは0.25%にとどまると考えています。
少なくとも0.5%の利下げが行われる可能性は47%となっており、木曜日の58%から低下しています。

5. まとめ

今回の雇用統計と消費者物価のインフレ期待の発表は、今後のFRBの金利政策と米国株市場に大きな影響を与える可能性があります。

昨夜の経済指標を受けて反落した米国株市場が来週以降どのように動くかに注目していきたいですね。

免責事項:本記事は投資アドバイスを目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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n=1|米国株投資@外科医
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