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【2025年版】米国株市場の「First Five Days」アノマリーの検証

米国株式市場において、年初最初の5営業日(以下FFD: First Five Days)の騰落率が、その年の株式相場の行方を占ううえで注目されるアノマリーは古くから知られています。

本記事では、1950年から2024年までの75年間のS&P500のデータから年初最初の5営業日のアノマリーについて検証しています。

1. First Five Days(FFD)アノマリーとは

First Five Days(FFD)アノマリーとは、年初の最初の5営業日(1月最初の5取引日)のパフォーマンスが、その年の1月の月間パフォーマンスや年間パフォーマンスに影響を与えるとされる経験則です。

1950年以降のS&P500の歴史的データでも一定の傾向が見られ、ウォール街で長年語り継がれてきました。

本記事では、以下のような定義でデータを解析しています。

  • FFDでの米国株の騰落幅 =「年初5営業日の最終営業日(5営業日目)の終値」 ー「前年12月最終営業日の終値」

2. FFDの騰落と1月の月間騰落率の関係

1950年から2024年までのS&P500の年初5営業日と1月の月間騰落率を調べたところ、以下の結果が得られました。

・FFD騰落率がプラスであった場合(48回)
1月の月間騰落率がプラスで終わったのは35回(72.9%)
1月の月間騰落率がマイナスで終わったのは13回(27.1%)
このパターンの1月の月間騰落率の平均は+2.5%でした。

FFD騰落率がマイナスであった場合(27回)
1月の月間騰落率がプラスで終わったのは10回(37.0%)
1月の月間騰落率がマイナスで終わったのは17回(63.0%)
このパターンの1月の月間騰落率の平均は-1.3%でした。

FFDがプラスで始まった年は、1月の月間パフォーマンスがプラスに終わる確率が高いことが示唆されます。
一方、FFDがマイナスだと1月は米国株式市場にとって厳しい月になる傾向が強まるようです。

3. FFD騰落率と年間騰落率の関係

次に、年初5営業日の騰落率がその年の年間パフォーマンスにどのような影響をもたらすのかを1950年~2024年のデータで検証しました。結果は以下のとおりです。

・FFD騰落率がプラスの場合(48回)
年間騰落率がプラスで終わる確率は83.3%(40回)
年間騰落率がマイナスで終わる確率は16.7%(8回)
このシナリオでの平均年間騰落率は+14.2%でした。

FFD騰落率がマイナスの場合(27回)
年間騰落率がプラスで終わる確率は55.6%(15回)
年間騰落率がマイナスで終わる確率は44.4%(12回)
このシナリオでの平均年間騰落率は+1.2%でした。

FFDがマイナスから始まった年であっても約半数は結果的にプラスで終わるものの、平均の年間騰落率は+1.2%それほど高くありません。
一方で、FFDがプラスで終わった場合には、年間騰落率がプラスで終わる確率は80%を超えています

4. 1月の月間騰落率と年間騰落率の関係

「1月の月間騰落率」と「その年の年間騰落率」の関連性も、1950年~2024年のデータで確認しました。

1月の月間騰落率がプラスであった場合(45回)
年間騰落率がプラスで終わる確率は88.9%(40回)
年間騰落率がマイナスで終わる確率は11.1%(5回)
このシナリオでの年間騰落率は平均+16.9%でした。

・1月の月間騰落率がマイナスであった場合(30回)
年間騰落率がプラスで終わる確率は50%(15回)
年間騰落率がマイナスで終わる確率は50%(15回)
このシナリオでの年間騰落率は平均-1.8%でした。

1月の動きがその年のパフォーマンスを左右する可能性は、歴史的にも顕著です。
1月がプラスで終わった年の年間騰落率は90%近くの確率でプラスになります。一方で、1月がマイナスで終わった年は大きく伸び悩む傾向が見られます。

5. 2025年の注目ポイント

これまでの結果から、2025年のFFDの判定基準は以下の通りです。

2025年1月8日(水)の終値が、
2024年12月31日の終値である5881.63ドルを上回るかどうか

1月8日のS&P500が5881.63ドルを下回るようであれば、FFDはマイナスでのスタートとなり、過去のアノマリーから1月の騰落率がマイナスで終わる可能性が高くなります。

2024年末の米国株市場は長期金利の高止まりから調整的な動きを見せているため、1月2日の取引開始からの5営業日の値動きから目が離せませんね。

もっとも、2024年のようにFFDがマイナスでも年間では大幅上昇したケースもあり、最終的には企業業績や景気動向、金融政策といったファンダメンタルズが重要な判断要素となります。

あくまで1月8日の終値を一つの“参考指標”としてとらえるのが良いでしょう。

7. まとめ


本記事では、年初の最初の5営業日(FFD)のアノマリー、1月株式市場のアノマリーについてまとめました。

  • FFDの騰落率がプラスなら、1月やその年のパフォーマンスがプラスで終わる確率が高い傾向がある。

  • FFDの騰落率マイナスでも、最終的にプラスで終わる年は約半数ある。過度に悲観する必要はないものの、平均リターンを見ると明確に伸び悩むケースが多い。

  • 1月の月間騰落率がプラスなら、約90%の確率で年間もプラス。

  • 1月の月間騰落率がマイナスなら、年間騰落率はプラス・マイナスが半々。

2025年の米国株がどのようなスタートとなるか、まずは1月8日(水)の終値に注目してみましょう。

米国大統領選挙翌年のアノマリーについても記事を書いています。

毎週末に週報で米国株市場の見通しを書いています。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

この記事が読者の皆様がリスクとリターンを考慮したより良い投資判断を行うための手助けとなれば幸いです。
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n=1|米国株投資@外科医
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