リスクを上手く取れるようになるには
株式投資における投資戦略の重要性はよく議論されますが、その戦略を実行する上でのリスクを適切に管理する力の役割はしばしば見過ごされます。
この記事では、戦略的な観点から一歩踏み込んで、どうすれば「リスクを上手く取れるようになるか」=「リスクを適切に管理できるようになるか」についてまとめました。
感情のコントロール
株式投資において理論の理解とその実行との間には大きなギャップがあります。
このギャップの最大の要因は投資行動における感情のコントロールの難しさにあると言えます。
頭では理解できているつもりでも利益や損失の絶対値を前に感情のコントロールができずに早すぎる利益確定を行ったり、損切ができずに損失が拡大してしまうことを経験します。
感情をコントロールできるようになるには、投資におけるこのような感情の揺れを繰り返し経験することが有効であると考えられます。
徐々に投資額を積み上げることの重要性
ここで投資額を徐々に積み上げていくことの重要性が見えてきます。
徐々に投資額を積み上げることで、いきなり市場から退場しないスケールで利益や損失の絶対値に慣れていくことができます。
最初は数万円の変化でも動揺してしまいますが、徐々に投資額を積み上げながら感情の揺れを経験することで、自分の感情がどのように動くかを観察することができます。
人間である以上、感情の動きを完全になくすことはできませんが、少なくとも自分がどのような場面でどのような反応をしやすいか、などについては理解できるようになります。
その経験を積み重ねることで数十万円、数百万円と徐々に感情が大きく振り回されずに扱える投資額のスケールが上がっていきます。
(今の自分は数百万くらいはノーダメージ、1千万くらいまでは耐えれるかな、という感じです。)
そうなって初めて絶対値ではなく、何%変動したかで考えて行動できるようになります。
感情をコントロールする技術がある程度の水準を超えていなければ、どんな投資理論を理解しても実行に移し、それを継続することは難しいと言えます。
そういう意味では退職金の受け取りなどをきっかけに急に大きな額から投資を開始することは難易度が高いです。
成功体験を積むことの重要性
単に感情の動きを経験することと並行して取り組みたいこととして、投資を行う上で定めた規律を守り、実行した経験を積むことが挙げられます。
「買い値から8%下落したら損切をする」、「決算の結果が悪ければ損切をする」などの自分が投資する上でのルールを設定し、忠実に実行することです。
規律を守り、それによる成功体験を積むこと(例えば損失の回避など)で、これらの成功体験が自分を支えてくれるようになります。
投資における規律を守り、忠実に実行できるようになって、初めて打率を上げる努力ができるようになります。
なぜなら自分で設定した規律を守らずにその時の感情で動いていては、その行動の結果から投資戦略が間違っていたのかどうかも判断できないからです。
お金の器
上で述べた要素から安定して運用できる資産額のスケールが決まってきます。
それがその人の「お金の器」と言えます。
時間をかけて自分のお金の器をしっかりしたものにする。
その上で行うのであれば、インデックス投資であれ、個別株投資であれ、上手くリスクをとることができるのではないかと思います。
またその頃には自分の感情の動きの特性にあった投資スタイルが見つかるように感じます。
他の人がやっている投資手法を全部マネする必要はありません。自分の特性に合った利益を出しやすい投資スタイルを確立していけばよいと思います。
まとめ
この記事を通じて、リスクを適切に管理する力が、投資戦略を適切に実行する上での基礎になることを理解していただけたら幸いです。
その力を身につける過程で、お金の器が大きく育っていくと思います。
皆さんがそれぞれのペースで、自分に合った投資スタイルを確立されることを願っています。