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IMFの世界経済見通し改訂版

国際通貨基金(IMF)は、2025年1月の世界経済見通し改訂版を公表した。世界経済の成長率予測は2025年と2026年ともに3.3%で、過去(2000~2019年)の平均3.7%を下回る見通しだ。

米国の2025年の成長率予測は2.7%と、10月時点の予測から0.5ポイント上方修正された。これは労働市場の堅調さと投資の加速を反映している。一方、ユーロ圏の2025年成長率予測は1.0%と、0.2ポイント下方修正された。製造業の弱さや政策の不確実性の高まりが背景にある。

日本の成長率予測は2025年が1.1%、2026年が0.8%で、前回予測から変更はなかった。中国の2025年成長率予測は4.6%と、0.1ポイント上方修正された。11月に発表された財政パッケージが寄与している。

米国経済は堅調な消費が成長を支える一方、ヨーロッパや中国では製造業や不動産市場の弱さが足を引っ張っている。特に中国は、不動産市場の不振と消費者心理の低迷が成長を制約している。また、貿易摩擦や政策の不確実性が世界経済のリスクを押し上げており、新興市場国の成長は期待に届かないとみられる。

世界のインフレ率は2025年に4.2%、2026年に3.5%まで低下する見通しだ。先進国の方が新興市場国や発展途上国よりも早く目標値に戻ると予想されている。金融政策については、インフレ圧力が根強く、上振れリスクが高まっている国では、引き締め的な姿勢を維持する必要があるとしている。

米国の強気な成長見通しは投資家心理を支える一方で、ドル高が新興国通貨に圧力をかける要因にもなり、金融市場に複雑な影響を及ぼしている。IMFは、この不安定な環境下で、各国が協調しながら政策を進める重要性を強調した。


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