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SMCの半導体チラー事業、成長戦略の要に
SMC株式会社が手掛ける半導体製造プロセス向けチラー事業が、同社の成長戦略において重要な位置を占めつつある。SMCは特にエッチング工程向けチラーで強みを持ち、世界トップクラスのシェアを誇る。
台湾積体電路製造(TSMC)における同社チラーのシェアは約40%に達しており、TSMCが量産化を目指す最先端の2nmプロセス向けにも納入が見込まれている。この実績を足がかりに、SMCは韓国のサムスン電子に対しても積極的な営業活動を展開している。
SMCの半導体チラーは、1kW~15kWの冷却能力を持つ冷凍式サーモチラーや、20℃~90℃の温度調整範囲で省エネ性能に優れた水冷却式サーモチラーなど、幅広い製品ラインナップを揃えている。これらの製品は、半導体製造プロセスにおける厳密な温度管理要求に応える高い性能を有している[1]。
特筆すべきは、SMC製チラーの温度制御精度である。エッチング工程において±0.1度という高精度な温度制御を実現し、業界標準を塗り替えたとされる[2]。この精密な温度管理能力は、半導体の微細化が進む中で極めて重要な技術的優位性となっている。
SMCは半導体向けチラー事業の強化に向け、積極的な設備投資を行っている。2024年度の設備投資額1200億円のうち、約2割をチラーなどの半導体関連事業に充てる方針を打ち出している。具体的には、台湾、韓国、欧州に計220億円を投じ、生産およびアフターサービス体制の強化を図る。
半導体製造装置市場の拡大に伴い、チラー需要も増加傾向にある。特に、最先端プロセスにおける温度管理の重要性が高まる中、SMCの高性能チラーへの需要は今後さらに拡大すると予想される。
SMCの半導体チラー事業は、同社の成長戦略において重要な柱となりつつある。高い技術力と積極的な投資戦略により、SMCは半導体製造プロセスの冷却技術分野でのリーダーシップを強化し、今後の半導体産業の発展に貢献することが期待される。