漁師のおかん飯お料理会を開催しました!
この地域での家庭料理を知りたいの
漁師さんが多かったという駒ヶ林にはどんな食文化が根付いているのかな。
食文化を知ることって、その土地に広がる地理的環境やコミュニティのあり方などを知るってことですもんね。
毎日に欠かせないごはんの時間。
漁師さんのご家庭の普段のごはんって
一体どんななんだろう!
ということで開催しました、《漁師のおかん飯お料理会》!!!!!
ご伝授くださったのは、以前シラス漁の際にお世話になった尻池水産親方 尻池さんのお母さま。
漁師を生業にしていたご主人を支えて数十年、筋金入りのおかんです。
会場は駒ヶ林神社と蛭子神社に挟まれた場所に位置する漁業会の集会所。
足りない物のないくらい調理器具の揃ったキッチン付きの集会所。しかもキッチンは2つも!
本日のお品書き
①ちりめんと梅干しのごはん
②グチ(白身魚)のフライ
③タコの酢の物
④ちりめんだんごスープ
・・・んー!どれも美味しそう!
想像するだけでよだれが。
それでは参りましょう、お料理開始です!
まずは材料を机に並べてみます。
どーーーーーーーーん!!!
グチにタコにちりめんに・・・
それと良い卵。
めったに手に入らない贅沢なものが並んでる。
スーパーで手に入るものはアッセン組がおつかいし、特別なものは全て尻池親方がご用意くださいました。本当に有難いお話です。
(全部は並べきれませんでした。ここに梅干しやらなんやらがさらに加わります🤤)
さて、④のスープは昆布で出汁をとるところから。
お鍋でお水と昆布をぐつぐつ炊いておきます。
①のためにお米をといで、炊飯器にセット。
この時点で梅干しを入れます。一緒に炊くんです。この発想は無かったな。斬新。
スタートボタンをピッとしたら後は待つだけ!👆🏻
その間に別の支度を。
③の酢の物用にワカメは水で戻し、タコは食べやすい大きさに。
④のスープのために鶏ミンチとすりしょうが・卵にちりめんを練る。丸めてだんごにしたら、昆布出汁の中へ。ちりめんと鶏ミンチの組み合わせだなんて、初めてでわくわく。
これで大方下準備は済みました。
そしていざ、本日のメインディッシュへ!
本日のメインディッシュ
〜グチ(白身魚)のフライ〜
はじめは、お魚を捌くところから。
身がぎっしりつまったグチを三枚に下ろしていきます。
お母さまのお手本をじっくり拝見します。
一方向に刃を入れるんですと。
その手つきのなんと鮮やかなことか!
あっという間に三枚に!!!
アッセン組もトライです🐟
骨を感じながら包丁を引いていくのがポイントなんですって。
じゃーーーん!
これにパン粉をつけて、油の中へ!
じゅわわわわわわわ〜〜〜
良い音。音だけですでに美味しい。
そっとひっくり返したりしながら狐色になるのをじっと待ちます。つんつんしたくなる気持ちは、ぐっと抑えて。
漁師を支えるということ
フライはじゅわじゅわ、
お米はしゅーしゅー、
ほうれん草と椎茸を加えたスープはぐつぐつ言ってる。
お料理完成までのぽっかりとした時間。
ゆるりと始まるおしゃべりタイム。
素朴な疑問がいくつかあったんですよ、ずっと気になっていたやつが。
以前シラス漁に連れて行っていただいたことのある私達は知っています。漁師の朝は早いのです。早朝も早朝、下手すると夜更かしでまだ起きている時間に漁師さんの一日は始まります。
だとすると、漁師さんはいつご飯を食べているんだろう?
すごい素朴。でも尋ねてみました。
「前の晩に朝ごはん用のお弁当とお昼ごはん用のお弁当を用意してたんですよ」
なるほど。そういう工夫なんですね。
確かに朝が早すぎますもんね。
他の誰かの暮らしの話っておもしろい。
自分のとは全く違うリズムがあるんですもんね。忘れがちなことをふっと思い出させてもらった気がしました。
そして印象的だった言葉がひとつ。
その話が忘れられません。
それと素朴な疑問がもう一つ。
「お魚とお肉どっちが好きですか?」
とっても素朴。
これはこの体験会を見守ってくださっていた尻池親方のお父さまにお聞きしました。
「肉が好き。」
とのこと。笑
予想外の答えに大爆笑。
いただきます
そうこうしている間に仕上げに差しかかります。
炊きたてホカホカごはんにはちりめんをたっぷり贅沢に混ぜ込んで、っと。
いりごまとシソも忘れずに。
酢の物、白身魚のフライ、スープも綺麗に盛り付けて・・・
ついに!待ってました!できあがりー!!!
おかん、尻池さん、アッセン二人、いつもサポートいただいている子持ち母よこちゃん(仮名)、そして今日の始めからお手伝いと写真係をしてくれていたごはん好きのとっちゃん(仮名)の6人で机を囲みます。
いただきます!
一緒にご飯を食べること、同じ釜の飯を食べることって特別に幸せなことですね。
ちなみにこの「ちりめんだんごスープ」は駒ヶ林に伝わる伝説のレシピ集の中でお母さまが特にお気に入りのものだそう。
駒ヶ林婦人会の皆さんがアイデア出しから、試作、品評会を重ねて、一冊のレシピ集を編んだのですって。
選りすぐりのお料理たちがここに集められています。
このレシピ集、お魚の種類ごとにおすすめ料理を教えてくれるのですごく参考になるんですよね。
なかなかお目にかかれない貴重な一冊。
復刻版出ないかな!
終わりに
毎日ごはんを食べますよね。それがパンでも。お米じゃなくても。
当たり前すぎるごはん。
でもひと度目をやるとその奥にいろんな豊かさが浮かび上がってきて、びっくりする。
お料理から、おしゃべりから、駒ヶ林で暮らすひとの生活を歴史を覗かせてもらって、いつもと違った角度から駒ヶ林を見ることができた貴重な機会でした。
お手ほどきいただいた尻池親方のお母さま、尻池親方をはじめとするご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました!
(ももか)
番外編:駒ヶ林むかしばなし
その昔、駒ヶ林周辺では今の何倍もの漁師さんが暮らしていたんですって。
○○水産さん、とお互いを屋号で呼び合っていたのだとか。
かつては毎年節目の時期に、周辺の海をめぐって漁業権をかけた祭りが行われていたそうです。
左義長(サギチョウ)と呼ばれるその戦い、ルールはシンプル。巨大な木を先に倒した方が勝ち。ごちゃごちゃ言う前に体でこいや、ということですね。潔くて良い。
負けられない男たちが一斉に棒を倒しにかかります。
先一年の漁業権、即ち生活がかかっているためそりゃもう本気も本気。
会館の玄関にある写真が大狂乱の熱気を伝えていました。迫力、超ド級だったんだろうな。
駒ヶ林ノスタルジー。