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灰羽連盟というアニメを見て


ひろとです。
人に勧められたアニメを見た。それが灰羽連盟。
実は少し前に勧められていたけどアマプラ見放題にはなかったのでどうしよっかなぁ……って感じでいた。見れたら見るわ状態。
そもそもとして基本的に人から勧められてアニメ見たりゲームしたりというのが無いのだ。いや、そういう相手が殆どいないというのもあるけど(笑)

自分の興味に引っかからないものは世間で流行っていても、勧められても食指が動きづらい。だから意外とオタクが当たり前に見てるだろうに思われてるアニメを見てなかったりする。結構する。
そんなわたくしが珍しくも勧められたアニメを見ることになった。何故か?もう1回勧められたからである。2回目があるとは思わなんだ。

どうしても見て欲しいという事で流石にそう言われると気になってくる。という訳で視聴(DMM TVの無料トライアルを使用。スマホアプリを使えばダウンロードも可能なのが中々便利)

全話見終わっての感想としては……良かった。
一言で現すならばそういう表現になる。これは話が良かったというのもあるけど、この作品に出会えて、見る事が出来て良かったという気持ちでもある。彼女達……彼女の心情や発した言葉が全くの他人の物と思えず心に突き刺さった。
最後まで見て勧められた理由が分かった。確かに自分の様な人に刺さる作品だった。

毎話興奮したり面白いかというとそうではない。楽しく穏やかな日常アニメで無ければ、大きく心揺さぶられる感動アニメでもない。でも、あの世界観、そこに生きる者達。そして紡がれる言葉は確かに心に深く刻まれるし影響されると思った。

ちょっと気になったら見てください。
こっからネタバレ気にせず語ります



灰羽とあの世界はなんなのか(個人の見解)

灰羽とはなにか、あの世界はなんなのか


灰羽ってなんだろうという話を最初にしたい。
定義としてはグリの街という場所に唐突に芽吹き、繭から生まれてくる。生まれてくる時の姿はそれぞれで、小さな子どもだったり少年少女であったりもするようだ。知識や元々人間だった感覚があったりはするけど昔の記憶はない。
繭の中にいた頃の記憶はあり、その記憶によって名前を決める。

ルールとしては灰羽は灰羽連盟に保護・管理下に置かれる。年長者の灰羽は仕事に就かなければならない。古い物しか使ってはいけなくてお金も持てない(代わりに連盟から支給される手帳を使う)などある。

灰羽は人ならざる者、特別な存在として描かれていてグリの街とそれを覆う壁も灰羽の為の物されていて、そこは出る事は出来ない。唯一、灰羽が巣立つ時のみ壁を越えられる。

これらの事は本編内で描かれているが結局灰羽とはなにか?この街はなんなのか?世界観の本質的な部分は明確に描かれませんでした。なので推測で語る。

グリの街、あの世界はあの世。天界のようなもので、灰羽は死んでしまった少年少女達の霊………魂なんじゃないかと思う。
そして灰羽が繭の中で見る夢………これは生前、死ぬ時の光景なのだろうと最終回での事からも分かる。
灰羽の羽が灰色なのも個人的に人としての象徴のように感じる。
光でも闇でもなく、善でも悪でもない。どちらの性質のある曖昧な人間らしさを灰という色で示しているのかなと。

そしてそれが良いもの、白となる事で巣立つ事が出来て、悪いものとなると黒になり罪憑きとなる。
罪憑きになると本当に羽が黒くなり祝福を受けられず壁を越える事も出来ない。そして最後は関わった全ての者に忘れられた存在となってしまう。ラッカは途中、レキは灰羽として生まれた頃から罪憑きとなる。この世界………灰羽にとっての罪とはなんなのか?
それはきっと自分で自分を戒めて、傷つける事。

ラッカはクウが旅立った後にその喪失感から自分を責め立てる様な思考を走らせるようになる。その時から徐々に羽が黒くなってしまう(この時ラッカは自分の黒くなった羽を切るということをしているが………明らかな自傷行為で見てるこっちの心が痛くなった)

一方でレキは生まれてから生えた羽が既に黒かった。これはきっと彼女の死因によるものなのでしょう。レキは自ら列車に轢かれるという形で死んでしまった。自死は自分を傷つけることの最大の行為であるゆえに灰羽にとって………人にとっての大きな罪だという事でしょう。故にその死によってここにたどり着いたレキは罪憑きとして生まれたのだろう。
「自殺した者の魂はあの世に逝けずに彷徨う」とか「救われるのにより多くの時間が掛かる」「生きる事は修行であり、自死によりそれを投げ出したものは罰を受ける」という話は耳にした事があります。仏教的な考えで合っているかは分かりませんが、それに似た物を灰羽とそれにまつわる罪の部分で感じた。

灰羽にまつわる事で重要な所はもう一つ。トーガと話師。
トーガは交易を行い、壁の内外の行き来を唯一許された人種として描かれている。街の者も灰羽も外へ出る事が許されない中で何故彼らはそれを良しとされているのだろう?その正解のようなものは描写されていませんが、死者でもない生者でもない曖昧な存在に与えられた役割なのかなと思います。壁の中、天界に住む者は外には出られない。同様に現世に住む者も壁の中には当然入れない。
であれば、行き来が可能な者はどちらでもないというのが妥当であろう。トーガは街の者や灰羽と話す事は許されていない。それは何故なのか?恐らく、交流をしてしまうと彼らの存在のバランスが偏ってしまうのではないかと思う。仮に灰羽と交流し情が湧いてしまったら、そちら側の人に傾いてしまいトーガではいられなくなってしまうのかなと思う。
話師は灰羽連盟の代表のような存在でトーガと手話で意思疎通をしたりする。許可がなければ話す事を許されないと言われているが割りと普通に話してる(笑)
不思議な存在だが、灰羽を見守り無事に巣立つ事を願っているような素振りを見せる。彼は何者なのか?私は壁の外へ行けなかった。巣立つ事の出来ない灰羽の成れの果てだと思った。
巣立つ事の出来ず人々から存在を忘れられた彼は顔を隠し、自分が何者かというのを知らせず、知られることないようにただ灰羽達が巣立っていく事を見守り、必要とあらば導く。彼の言葉の端々には灰羽を想う優しさのようなものを感じた。


ラッカの物語。鳥と罪

こっからは2人の人物に焦点を当てて話していきます。
まずはラッカ。彼女が生まれた所から物語は始まって行く
最初は見知らぬ世界、新しい生活に戸惑っていたラッカだがオールドホームの住人や街の人達との交流で穏やかに幸せに暮らす事が出来ていた。

そんな中で1つの転機が訪れてしまう。それがクウの巣立ち。
その日ずっと漠然と不安な様子だったラッカはきっと何かが起こってしまうと感じ取っていたのかなと思う。そしてそれが現実になってしまった。

大事な人を失ったラッカ。他の面々にとってもクウは大事な人だったが、彼女の悲しみはより深かった。クウがラッカとの出会いで1つ満足感を得て巣立ったのと同時にラッカはクウとの別れで喪失感を得てしまったというのが難儀だ。
飲み込んで何時も通りの生活に戻っていく皆とそれが出来ずに1人塞ぎ込むような素振りになっていくラッカの対比がなんとも言えぬ気持ちにさせられる。ここからラッカの羽が黒くなっていく

最初は小さなものがどんどんと増えていく。まるでラッカの中の負の感情が膨れ上がるのと同じように
その度にラッカは自分の羽を傷つけていく、自分を責めるようになる。
私は先に罪憑きというのは自分を責めて戒める事だと書きました。だからといってクウが消えた事をラッカが自責しているかというと違う筈。それはあくまできっかけなのだと思う。
悲しい事や苦しい事、不安や憂鬱を溜め込んでいくといつしか自分の気持ちや考えの殆どがネガティブな思考で埋め尽くされていく。そして自分自身を責めたてるようになる。「自分はダメな奴だ」「いなくなりたい」そんなことばかりを考えてしまい、その気持ちに囚われてく。更に気持ちは下がっていく
生活の中で目に映る物や感じ取れる物は灰色になるし楽しいや嬉しいという感情はくすんでいく。罪憑きになってしまう辺りでラッカが周りと少しぎこちなくなったり街の人達の善意を上手く受け取れなくなってしまうのもそこに起因してる。心が辛い時程、他人の優しさが苦痛だったり他人を遠ざけたくなったりする。覚えがあるのできっと彼女もそうなんだと思った。

「私の居場所なんてどこにもない」「私なんていなくなればいい」そう言って泣くラッカの気持ちが分かる。分かってしまう。
もしかしたら「なんでそんな事思うの?」とか「ちゃんと居場所はあるでしょ」と思う人もいるでしょう。それはそうだ。間違っていない。ラッカには居場所があるし、いなくなっていい人でもない。でも自分でそうとしか思えなくなってしまう。
事実として違っても、理屈が通ってなくても、自分が許せなくなって、消えてしまいたくなって……それが正しい事なんだって思う事しか出来なくなる。自分はそうだったし、今でもそう思ってしまう事がある。だからラッカの気持ちが分かる気がした。

その後ラッカは鳥に導かれて井戸に落ちる。そこで本当の自分の夢を思い出し、鳥の亡骸と出会う。この鳥の存在がラッカにとって大きな存在となる。

ラッカという名は夢が落ちている夢……落下という由来で落下になった。これの意味する所はおそらくラッカは自ら飛び降りて死んでしまったのだと分かる。他人に落とされたという可能性も無い事無いが……多分自分で落ちた筈(クウの部屋に入ったラッカが自分の名前の書かれたカエルの人形を突いて落とすシーンがある。それが隠喩の表現のなんじゃないかと思ってる)
だが、そうすると疑問が生まれる。なぜラッカは生まれつき罪憑きではなかったのか?自死は罪憑きと関係あるんじゃないかと
自分はそこに鳥が関係してくると思っている。この鳥はラッカの夢にも出てきて落ちるラッカを助けようとしていた。この鳥はなんなのか?きっとラッカを大切に思う誰か。ラッカに死んで欲しくないと願っていた誰かなんだろう。その人はラッカに会いたくて……独りじゃないと伝えたくて鳥の姿になってここまで来た。その存在がいてくれたから……苦しみを受け止めて罪を許してくれるような人がいたからラッカは罪に憑かれなかったんだろうと思います。

という事で罪憑きになってしまったのは生前……死が原因ではありつつもラッカの精神的なものが原因なのかなと思う。
描写的にラッカは生前「私なんかいなくなればいい」そう思って落ちたのだと思う(その時の雨やドアを開ける音が直前の状況を思い起こされるようでゾクッと来る)そしてクウがいなくなってからも同じ事を思う。自分の否定こそがラッカにとっての本当の罪なのかなぁとも感じてる。

それを鳥という存在が否定した。あなたは独りじゃないと、いなくなっていい存在ではないと。ラッカもそれを感じ取る事で罪から解放され罪憑きでなくなったんだと思います。
「罪を知る者に罪はない。では汝に問う。汝は罪人なりや」
話師の問うこの謎かけは普通に考えているだけではずっと同じところをグルグル回るような無限ループになり答えがみつからなくなる。そこから抜け出すには共にいてくれる誰かが必要だという事になり、それこそが罪を赦すという事になる。

つまり罪とは自分で罰する事ではなく、他人が許すものなんだというのを、ここの中で感じた。

この後にトーガに助けを求めたり、レキに「ここにいたい」と言うラッカは大きな変化でしょう。他人に自分を意思を伝える事、他人から思いを貰う事、それによって自分を強く肯定する事が出来るようになっていくんだなと思い取った。
灰羽連盟のお話は続いていきますが、ラッカの罪や心情としての話はその辺りで一旦話が落ち着き、レキの話にシフトしていきます。


レキの物語。赦しと救い


レキは灰羽として長い時間を過ごしてきた女性であり、ラッカの繭を見つけて、世話をして側にいてくれた。普段は年少の灰羽の世話もしていて優しく頼りになる人として描かれてきました。
しかし、回を経ていくと彼女の中の闇………というかここまでから今に至るまでの苦しみが見えて来ます。
ラッカが罪憑きになる事で自分もそうだと彼女に打ち明けるレキ。
レキの場合は生まれた時すでに罪憑きの状態でラッカとはまた違いますが………(この事を踏まえると最初の方にラッカの羽を見て綺麗な灰色と言った言葉が深い意味となってくる)

そこからレキの過去が少しづつ明らかとなってくる。罪憑きとして周りと馴染めないレキだったがクラモリという灰羽の女性が側にいて、親身にしてくれた事やそこからネムとも仲良くなって事
レキの幸せだった日々。しかしそれは唐突に終わってしまう。クラモリの巣立ちによって

この時レキは灰羽の巣立ちを知らずクラモリに見捨てられたと思ったという。ネムが調べて真実を知ってもレキの心の穴は埋まらなかった。ラッカとレキには色々な共通点があるが灰羽の巣立ちにより大きな喪失感を抱える所もその1つなんでしょうね

レキはずっと孤独と悲しみを抱えている。クウの巣立ちの時もラッカが罪憑きでなくなった時もレキは独りの寂しさを滲ませていたように思えた「一人になるのはなれている」この言葉に彼女の色々な思いが詰まっているように感じた。

罪憑きから解放され仕事を初めて灰羽として自立していく中でラッカは罪憑きのまま、自分の夢を思い出せず苦しむレキを想い始める。
レキは話師の言葉から自分には時間が無いと知り自分の中の想い……心の中の闇を静かに深くしていく。
レキには罪を許す……鳥の様な存在がいない。故に自分の闇に1人で向き合っていかないといけない。それは苦しく、より自分の闇を深くしてしまうかもしれないものだ。罪の輪の中をグルグル回るように
レキは絵に没頭するようになり、自分の中に閉じ籠もるようになる。「永遠なんてない」「今が今しかないから大事なんだ」
ラッカの「ずっと今日ならいいのに」「ずっとレキといられたら」そんな言葉に対するレキの言葉
今を精一杯生きよう。後悔しないように過ごそう。皆といられる日々を大切にしよう。きっとレキにもそんな気持ちはある。
でも、それよりも、レキはこの日々の終わりを望んでいたのだろう。レキは言っていた。壁は灰羽を守る物であり、越えられない灰羽にとっての檻だと
幸せはあった。平穏もあった。でも、レキにとってここでの時間は永遠に檻の中に閉じ込められたようなものだったのかなと
永遠なんてない。みんな私を置いていく。違う、皆が置いていくんじゃない………私だけが止まっている。そんな気持ちが

「もう終わりにしよう」レキは自らを否定した。先にあるものが破滅だとしても終わりたかった。終わったら全部亡くなってくれるから

ラッカも、その事に気付いていく。レキを助けたいと願う。罪が赦され祝福を受けて、巣立っていけたらと思うようになる。
でもそれは、レキとの別れを意味する。だからこそラッカは永遠を望んだ。レキが赦されて、本当に笑えるようになって、そしてそんなレキと過ごせる事。でもそれは出来ないからラッカは涙を流す。頑張ろうと決意していく。

別の………廃工場の灰羽。ヒョウコやミドリとも交流が増えるラッカ。クラモリを失い、居場所を失ったレキを助けようとしてくれた2人。ヒョウコはレキと一緒に壁を越えようとした。でも失敗して大怪我をした。レキを助けたいというラッカに対しミドリは「レキは人に助けを求める性質じゃない」と言い放つ。確かにそうだろう。レキは助けを求めない………………でも正確には助けを求められないだけで、弱みを見せるのが嫌なんじゃない。プライドがあるからでもない。助けを求める事は自分の中の弱さを、自分の苦しみを他人に預ける事だから。それを拒絶されたら、その所為でその人が苦しんだら………………もう、耐えられないから
だからレキは助けを求めない。だからラッカはレキを助けないといけないと思った。


過ぎ越しの祭り。皆が感謝を込めて思いを伝える中でレキはなにもしない。雪の中で………闇の中で、独りでいる。最後まで

祭りの後、ラッカは独りになるレキを追う。そこでレキの心と、本当の彼女と対峙する。そして、灰羽連盟から預かった本当の名を渡す。彼女の本当の名は「轢」彼女は轢かれた。自分を捨てる為に

なんでレキは自分を捨てたのだろう?きっと救われたかったんだ。ずっと、ここに来る前も、ここに来てからも、レキはずっと救われたかった。救って欲しかった。
でも、救いを求める為に他人が傷ついた。自分が傷ついた。信じる度に裏切られた。信じるのを止めた。他人に救いを求めるのもやめた。他人との繋がりはいつもレキを苦しめた。だから心を閉ざした。蓋をして、遠ざけて、誰も近づいてこないようにした。

良い人のフリをした。踏み込まないように、踏み込まれないように、ただ良い人でいた。そうしてればそうとしか見えないから、自分に誰も手を伸ばそうとはしてくれなくなるから
先にクウが行った事も、ラッカが赦された事もレキは妬ましかった。自分が持ってないものを持ってるから、自分より優れているから、同じではないから
良い事をすれば、良い人でいればいつか自分は救われると信じていた。だからずっと良い灰羽でいた。優しくて面倒見がよくて、真面目で、側にいてあげる。そんな灰羽でいた。自分の救いの為に、自分が救われるために
だから、ラッカでなくても良かった。誰でもよかった。自分が赦されるなら、救われるなら、なんだってよかった。そう言い放つ

13話のレキの言葉の1つ1つが自分の心に刺さっていく。
レキの心の傷が自分の見たくないもの見せているようで苦しくなった。良い事をすれば褒めてもらえる。ご褒美がもらえる。子どもに対するような文言の様だが、大人になってもこれの為に人に優しくしている人はいると思う。自分も多分、完璧に善意で人を助けた事なんてないんじゃないかと思う。心のどこかで、1つ優しく出来たら相手からも優しくされる事を望んでいたり、なにか自分に良い事が起きる為にその行動をしている。そういう気持ちはある。
本当は自分の為でしかない。自分が救われる為でしかない。
でも、それなのに、皆「あなたは優しい」とか「真面目でしっかり者だ」とか信じて言ってくれる。そのズレがより自分の心を痛めつける。そんな事ないのに
「初めから、赦される訳なかった………」レキの言葉はそんな心情を表しているようにも思えた。

レキはラッカを拒絶した。彼女が救いに来てくれたと知っていても、それはきっと彼女にとって恐怖から来るものなんだと思う。
これまでもレキを助けようとしてくれた人はいた。でも結局それは救いとはならずに暗い影を落とした。レキは誰も信じられなくなった……………正確には最初から誰も信じてなかったのだ。

辛い時、苦しい時はちゃんとそう言うべき…………それは全く持ってその通りだ。でも、これが出来ない人に取ってはかなり難しい問題だ。レキはもしそう言って誰も助けてくれなかったら…………本当に独りぼっちだったらと、心情を吐露した。
それもそうだし、助けを求めるという事は自身の弱さや本音をさらけ出す事。
仮に自分を助けようとしてくれる誰かがいたとして、その人が自分の弱さを受け入れてくれるのか?否定や拒絶されたら?そんな事ばかり考えてしまう。救われないなら、より苦しむかもしれないなら、助けなんて求めたくない。いつもどこかでそう考えて1人で抱え込んでる。なんにせよ他人に救いを求められない人にとって「助けて」という一言はとても重いものである。

そんなレキを諦めず、ラッカは救う事を誓った。彼女の言葉に、本当の思いに傷ついても、レキが繭の中にいた時も、出てきた後も、どんな時もラッカの側にいてくれた事は事実だから
「わたしが、レキの鳥になる」
1人じゃないと教えてくれた。ラッカの罪を赦し、共に抜け出してくれた存在。自分もそうなろうと
しかしレキの元へ向かおうとするラッカを小さなレキが止める。きっと彼女はレキの本音の部分。救いを求められない本当の自分。

レキが列車(?)に轢かれそうになる直前「助けて………」と呟いた。そしてラッカを止めるレキが消えた。言葉にすることで救いを拒絶した部分が消えたのだと思う。
レキが心の底から救いを求めた。そしてラッカが救った。罪を赦した。そして彼女の名前が轢から礫に変わった。
この辺の仕掛けは凄かったですね。読みが同じだけど意味の違う字を当てる事でその人間の在り方も変わっていく
これは「同じ事でも考え方や捉え方で良くすることが出来る」という意味だと勝手に思ってる。

レキが自分が救われる為にやってきた事が自分の本質になり、弱者を導く者となり巣立っていったのはとても救いのある終わりだなと感じた。


作品を見てのまとめ

灰羽連盟という作品は人の心の弱さや苦しみに寄り添う物語であった。人にとっての罪とは何か?救いとはなにか?そういう所を描いている。

人は殆ど例外なく他の人と繋がり、何かしら交流を経て行く。
その中で喜びや楽しい事もあるだろうが、辛い事や苦しい事もある。傷ついて、疲弊して距離を取りたいと思う事だってある。1人でいいと思う事だってある。
実際私は、元々の性分もあるのだろうが色々な事をきっかけに人と関わるのが苦手になっていって……………気が付いたらずっと1人だった。
とにかく人との関わりあいの全てが怖かった。でも、それで良いと思った。自分はそういうのが向いていないのだと、仕方がないのだと。
別に1人でいるのは嫌いじゃなかったし、むしろ気が楽だった。これでよかった………………その筈だった。でも違った。

出来ないって諦めていただけで本当は寂しかった。一緒にいてくれる誰かが欲しかった。助けて欲しかった。
でも自分の本音を曝け出すのが怖いから何も変わらない。変われない。ずっと同じ所に居続ける。レキの様に
1人で苦しさや、悲しみを持ち続けると自分を蝕んで行って自分はいなくても良いと思うようになる。ラッカのように

2人の抱えた心の傷、苦しみに自分も似たようなものを感じていた為に彼女達の言葉1つ1つは本当に他人のものと思えなかった。そんな彼女達を救ったのは自分でない誰かだった。人に赦される事で彼女達は前を向いて行けるようになったのだ。きっとこの作品の言いたい所はそこなのかなと思う。

人との繋がりはきっと苦しむ事もある。悲しい事もある。でも、自分を救ってくれるのもまた、人との繋がりなんだと
怖くても、苦しくても、あなたがそれを望めば、思いを口にすればきっと誰か手を差し伸べてくれる人はいる。鳥はあなたの元へやってくる。

私も最近になってそれが分かってきた。自分の中に籠っているだけじゃずっと救われない。誰も私を救えない。
なにかを求めるのなら一歩踏み出す。自分を伝えるべきなんだと
怖いし、上手くいかないだろうけど、そうしていったらいつか自分が救われる日が来るんじゃないかって今なら信じて良いと思える。

自分を責めなくていい、苦しまなくていい、あなたは祝福された人間なんだ。あなたが懸命に生きていれば、きっとあなたの側にいてくれる人はいると、そう言ってもらえた気がした。

きっと、自分が罪の中から抜け出すにはまだまだ時間が掛かると思う。
それでも前を向いて生きて行こうと思います。




おまけ 私を導く鳥





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