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税務職員がよく見るちょっと残念な確定申告(年少扶養編)

皆様、こんにちは!

確定申告の申告期間が2月16日から始まり、確定申告もいよいよ本格的になってきましたね。

さて、「税務職員がよく見るちょっと残念な確定申告5選」の3つ目は、年少扶養です。

年少扶養というのは、16歳未満の子どもを扶養することをいうのですが、何か税の控除でもあるのではという軽い感覚で、あまり気にせず確定申告書の第二表を書いている人が多いようにも思います。

しかし、実はこの欄、家族の状況によってはとても重要な意味をもつ部分なのです。


年少扶養親族(16歳未満)に対する扶養控除については、子ども手当の創設とあいまって、所得控除から手当の流れがつくられる中で、平成22年の税制改正にて、所得税は平成23年分から、住民税は平成24年度分から廃止されています。

もしかすると、一部にはそのことを知らずに、昔のままの感覚で確定申告をし続けている人がいるのかもしれません。

では、年少扶養の申告なんてする必要ないじゃないかと思われるかもしれません。

ここで重要になるのは、住民税(都道府県民税・市民税)のほうです。

確定申告の内容は、国税である所得税の計算に使われるだけでなく、地方税である住民税の計算にも使われます。

確定申告の情報については、税務署から各自治体へ流されるので、確定申告をされた人は、住民税の申告をあらためてする必要はありません。

そのため、日頃から住民税についての意識はあまりされていない人がいるのかもしれません。

実はここが盲点なのです。

住民税は、均等割と所得割から構成されており、均等割と所得割が課されない非課税の判定には、年少扶養の項目が関わってきます。

具体的にいうと、1月1日現在、前年の合計所得金額が一定の基準に従って市区町村の条例で定める金額以下の人は、非課税となるのです。

滋賀県草津市を例にとって見てみましょう。

草津市では、合計所得金額が42万円以下の人が非課税になります。

そのため、給与収入しかない人なら、次のとおり、1年間の収入が97万円以下であれば非課税ということになります。

 合計所得金額42万円 + 給与所得控除55万円 = 給与収入97万円

ここで、16歳未満のお子様を年少扶養親族として1人追加すると、次のとおり、非課税の合計所得金額のラインが42万円から92万9千円に変わります。
 
  非課税基準: 基本額32万円 × 対象人数(本人1人 + 年少扶養親族1人) + 基礎控除振替調整額10万円 + 加算額18万9千円 = 92万9千円

そのため、給与収入しかない人なら、1年間の収入が147万9千円以下であれば非課税となり、先ほどの非課税ラインが50万9千円上がることになります。

 合計所得金額92万9千円 + 給与所得控除55万円 = 給与収入147万9千円

このように、年少扶養親族が1人増えるたびに、住民税の非課税のラインが上がっていきます。

ちなみに、住民税の非課税のラインについては各自治体で若干異なりますが、仕組み自体は同じです。

結局、年少扶養については、住民税の非課税か課税課に関わる要素が一番大きく、世帯での税額を考えた場合に、どちらに年少扶養をつけたほうがお得なのかと考える材料となり得ることになります。

このように考えると、年少扶養についても、どのように確定申告をするのかはとても重要な要素の1つといえると思います。

いかがでしたでしょうか。

次回は、私が税務職員になってから、もっと早く知っておけばよかったと後悔した、雑損控除について一緒に見ていきたいと思います。


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