”自分語り”の本質
臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。
さて、「私は○○だから」「この間もこんなことがあって…」というコミュニケーションの多い方がいます。ちょっと失礼なのですが、そんな時に私は、話の内容よりも<なぜ、この人は今私にこの話がしたいのだろう>ということに関心が向きます。一般的に、これらのような”自分語り”は、上手いコミュニケーションとは言われませんよね。おそらく相手の方も知識としてはそれを知っているはずです。それでもそれを話したい。いや、話さずにいられないのでしょう。それはなぜだろう…と考えてしまうのです。
このような”自分語り”の多い方は、自分とは何者なのかという、人生の大きなテーマに向き合っている方かもしれません。専門的にいえば、アイデンティティを確立させようとしている方でしょう。
発達心理学者のエリクソンは、アイデンティティ確立の時期として青年期を挙げていますが、この時期にアイデンティティを確立しきれない方(アイデンティティ拡散)が結構いるのです。
私は、アイデンティティの確立には準備の段階があると考えています。この準備が済んでいないと、青年期を過ぎても自分が何者なのかわからないということになってしまうのではないでしょうか。
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