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WBC 準決勝 メキシコ戦

 大谷翔平の好投に加え1試合平均9点の強力打線が繋がり勝利を収めた準々決勝。日本は5大会連続の準決勝進出を決めた。(5大会連続は日本のみ)

 準決勝からは試合会場を東京からマイアミのローンデポ・パークに移し対戦相手のレベルも更に上がる。そんな準決勝を戦う相手は初の準決勝進出を決めたメキシコ。初戦のコロンビア戦こそ落としたものの、プエルトリコ、アメリカを破るなど実力はメジャー級。マイアミはメキシコからも近く日本は今大会初めてのアウェーでの試合。

 10年前の第3回はプエルトリコに、6年前の第4回はアメリカに決勝への道を絶たれたこの準決勝を勝ち抜くことが出来るのか。大事な一戦を前にメキシコ代表を少し見てみようと思う。

準々決勝のメキシコ代表

 先発は主将のJulio Urias。昨シーズンにドジャースで防御率2.10とナ・リーグの最優秀防御率を獲得した実績十分の超一流メジャーリーガーだったが、初回にプエルトリコの5番Javier Baezと6番Eddie Rosarioに連続ホームランを浴びるなど一挙4失点。苦しい滑り出しとなったが、回を追うごとにUriasが本来のピッチングを取り戻し2番手Javier Assadの好投もあり4-2で7回までを耐えた。すると7回、プエルトリコの守護神候補Alexis Diaz(兄は先日のドミニカ戦後に負傷したEdwin Diaz。準々決勝にAlexisは兄Edwinの登場曲を使用した。)の制球難に漬け込み無死満塁のチャンスを作ると変わったJorge Lopezから5番Issac Paredesと6番Luis Uriasの連続タイムリーで試合をひっくりかえした。そのまま中継ぎがリードを保ち9回はカージナルスの守護神Giovanny Gallegosがピンチを招くも2番Kike Hernandezを見逃し三振にとり試合を締めた。

 個人的には7回まで踏ん張ったあと無死満塁で3番4番が倒れたあとにクラッチしたParadesやL.Uriasのように場面場面で打撃スタイルを変えることすら厭わない選手が揃った印象を持ってる。



メキシコ代表注目選手

Patrick Sandoval

通算成績
四球の数以外は理想的な先発投手

エンゼルスで2022年はプレー。勝ち星に恵まれなかったが投球は一流メジャーリーガー。持ち玉の中でもカーブ(savantはスライダーと判定)とチェンジアップだけで投球の6割を占め的を絞らせない投球が魅力。

 そんなSandovalの最大の武器は左バッターへの強さだ。日本打線は1番から5番までが全員左バッターなので彼の魅力が最大限活かされるマッチアップだ。以下に示したのはSandovalの対左成績と許した長打のスプレーだが、126人の打者と対戦して許した許した長打はわずか2本。被打率も.157と左打者に対してはノーチャンスと言っても差支えのない投球だった。この投手から日本の主力である左打者は何本ヒットを放つことが出来るか……

投球割合も半分がチェンジアップ
左打者に浴びた長打はライン上の2本のみ


Joey Meneses

昨年成績(8/1~)

 オリファンの黒歴史ことJoey Menesesさん。
 ワシントン・ナショナルズに所属しており、Juan SotoとJosh Bellのトレードにより空いた一塁手と指名打者として8/1にメジャーデビュー。30歳のオールドルーキーは2桁本塁打&打率3割と再建期のナショナルズにおいて中心打者として大活躍した。

 今大会では3番ファーストとして全試合スタメン。Pool Cのアメリカ戦では初回に先制ツーランホームランを放つと次の打席でもスリーラン。5打点の大活躍でアメリカを撃破する原動力となった。どのカウントでもアッパースイングでカチ上げてくるため真ん中に入ろうもんなら弾丸でぶち込まれる危険性しかない。元オリックスという表現をされることが多いがむしろオリックスには迷惑かけただけでただの遅咲き強打者だと思っていただけるといいと思う。


Randy Arozarena

通算成績
「速度」に全努力値を振った馬

 メジャーリーグを代表する「暴れ馬」
 2020年のポストシーズンで史上初の10本のホームランをルーキーでありながら放ち、レイズのワールドシリーズ進出に貢献すると、翌21年には新人王を獲得。試合前に競走馬と競争するイベントが開催されたこともあるほど脚が速いが技術はないため盗塁成功率は低く、また守備も俊足を活かしきれないプレーが多い。(しかしプエルトリコ戦の8回にスーパーキャッチ)

 今大会では全試合1番でスタメンしており出塁率も高くメキシコ打線爆発の起爆剤として素晴らしい活躍を見せている。日本は出鼻を挫く長打に気をつけたいところ。

Alex Verdugo

ドジャースが育てました

 レッドソックスで吉田正尚と両翼を組むであろうアベレージ型の天才外野手。左対左を全く苦にしないセンス溢れる打撃が持ち味の選手。肩も大変強く一時期は二刀流に挑戦していた。(球速は96mph=154km/hほど)

 今大会はここまで当たりがほとんどなく、プエルトリコ戦で放ったタイムリーヒットもテキサスヒットだった。もしメキシコ打線に入れ替えがなければVerdugoをしっかりと抑えてフリースインガーのMenesesとTellesを迎えたい。

Austin Barnes

 「世界一キャッチングの上手い捕手」

そう断言出来るくらいのキャッチングセンスを持つ捕手。所属しているドジャースではアメリカ代表にも選出されているWill Smithにレギュラーを奪われているものの、ベテラン投手のClayton Kershawの専属捕手としてチームに欠かせない2番手捕手として11年連続のポストシーズン進出に貢献している。

 また、緊急時にはセカンドとサードも守れるユーティリティ性に加え少ない打席数で8本程度の本塁打を記録するなど意外性も持ち合わせている。

 そんなBarnes最大の武器は「フレーミング」

 日本球界ではここ数年で急速に普及してきた技術だが本質とズレた認識も多い。(特にメディアでの誤認が目立つ)

 フレーミングとは「ストライクをストライクと判定してもらうための捕球技術」のことである。


 2022年のBarnesはZone18(ベース盤上の低め)を67%もストライクとコールさせている。3つのボールが2つもストライクになるのだから当然投手からしてみると恩恵を受けていることは間違いない。

 先発予定のSandovalの欠点とも言える与四球もBarnesのキャッチングで減ってしまうかも……


準決勝前に

 実はプエルトリコが勝つと思ってたからメキシコについては軽くしか見てませんでした、すいません。本当はもっと書きたいけどもう朝になれば試合なのでこの辺で。

 勝てば2009年以来14年ぶりに決勝へ進める大事な一戦。投手力を考えると日本が10回あれば7回は勝てるであろう相手だが一発勝負なのがこのノックアウトステージ。

 きっと彼らなら勝利を掴んでくれると思いながら寝るわけですが果たして8:00に起きれてるのでしょうか……

10年前の忘れ物絶対取り返す。

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