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病棟看護師を辞めてからアナフィラキシーショックを真剣に勉強している件

2021.08.15

週末ワクチン接種バイトのクリニックは、基本的には院長が常駐している。

院長は院長室で仕事をしていて、ワクチンの問診はバイトで来ている院長の後輩のドクターが担当しているのだが

先日、院長不在で院長の後輩ドクターだけで運用する日があった。

真面目な後輩ドクターさんが、急変対応についてどのような準備をしているか質問してきたのだが…

あらためて救急バッグの中身や流れを確認してみると意外と抜けがあって…

「ちゃんと確認しておいてよかった〜」と後輩ドクターさん。

本当にその通り!確認してくれてありがとう先生!


しかも・・・急変対応したことある(病棟勤務したことある)看護師がわたしだけだということがわかり

これは…

今までの病棟での急変みたいに誰かに頼ることができない!!(゚A゚;)

なので、いまさら中のいまさらながら、アナフィラキシーに対する対応方法を学び直そうと本気になったのでした。


真面目な後輩ドクターさんからの質問

真面目な後輩ドクターさんは、平日は大学病院の呼吸器内科で働いておられる。

大学病院だからもちろん救急当直をすることも多々あり、急変対応は慣れているとのこと。

だからこそ、機材も薬品も設備も整っていない、スタッフも不慣れなクリニックでの急変が心配だったらしい。(言われてみればたしかに不安)


〜以下、真面目な後輩ドクターの怒涛の質問集〜

「ボスミン(アドレナリン)はどこですか?」
「アドレナリンはこのメモの量だと多くないですか?アナフィラキシーでのアドレナリンは0.3mlじゃなかったかな」
「急変したらどこに運びます?」
「バッグバルブマスクは?酸素配管は?」
「運んだらすぐに両腕正中にルートとって生食全開で投与したいです」
「翼針は危険なのでサーフローがいいです!18Gか20G!」
「三方活栓も無いから薬剤ショットできないですね。三方活栓と18Gと20Gのサーフロー発注お願いします。」

「大規模接種センターとかでショックになった人はやっぱり何人か居たみたいです。クリニックでも起こる可能性はあるし、起こったときにはみんなパニックになるから、わかりやすく確実にしておかないと。」

〜 以上、怒涛の質問 〜


確かにその通りだーーー!!

確認してくれてありがとう先生ーーー!!

だってわたし…アドレナリンについてちゃんとわかってない(*_*;

急性期病棟に5年居て急変は多々あったけど、心マ係や外回りなどでなんとなくすり抜けてきちゃった人(*_*;

急変の勉強会とかもしてたけど、勤務時間中のシュミレーションは頭に入らないし気持ちも入らないから何も覚えて無いし…(*_*;

今こそきちんと理解するときなのかもしれない!!←遅い


新型コロナワクチン アナフィラキシー時の緊急対応ガイド

https://www.kyoto.med.or.jp/covid19/covid19_vaccine_anaphylaxis/index.html

ワクチンによるアナフィラキシー時の対応について、ガイドラインが出ていたのでそれを参考に超簡素化してみた。

なぜ超簡素にするかというと、

実際に起った時にちゃんと動けるようにするため!

情報量が多いとピンチの時に動けないんだ。

事件が起こった→110番

人が倒れてる→119番

病棟で急変→スタッフコール+救急カート+DC

のように、シンプルでわかりやすく動ける方法にしないと、いくら情報を頭に詰め込んで準備をしていても無意味になってしまう(経験者)。


アナフィラキシーって何?

【アナフィラキシーの定義】
次の①〜③のうちどれかに当てはまる
①皮膚・粘膜症状+呼吸器症状or循環器症状
②一般的なアレルゲンに暴露+皮膚・粘膜症状or呼吸器症状or循環器症状or消化器症状のうち2つ以上
③その人特有のアレルゲンに暴露+血圧低下(成人では90mmHg以下)

つまり、見た目の変化と血圧低下、呼吸器症状を確認すればよい!!


緊急対応超簡素化バージョン(要暗記)

 『何かがおかしい!!』
   ↓
 ①寝かせる
   ↓
 ②見て👀
  聞いて👂
  触って✋確認
   ↓
 ③『やばそう』ならアドレナリン0.3

まずは、この③つを最低限覚えよう。

繰り返し声に出して動きながら頭とからだに覚えさせるのだ!


症状の観察も超簡素化

だらだらと文字にしてもその場で対応できなければ意味がないので、動けるようにどうしたらいいかを考えよう!

①寝かせる(安全な場所への移動)

アナフィラキシーを起こすと、ちょっとした体位変換だけで急変するリスクがあるので

患者は動かない・なる早で寝かせることが大切。

・ストレッチャーがあれば乗せる
・車椅子があれば乗せる
・安全なベッドへ寝かせる

②見て聞いて触って確認(道具を使わずバイタルの確認)

⚠️以下の内容は、ワクチン接種時のアナフィラキシーショック対応で考えられるもののみ抽出しているので、病棟での急変や、街中で人が倒れた時に場合はもっとたくさんの可能性が考えられますのでご注意を!!⚠️

『見て』『聞いて』『触れて』みれば、命に関わるバイタルの異常は確認できる!

道具を取りに行く前に、自分の五感でバイタルを確認しよう!

『見て』(見た目で何かおかしなところは無いか)

見るだけでわかることも多いのよ。

・意識はあるか
・呼吸は苦しそうか
・顔色が悪くないか(青白い・紅潮している)
・冷や汗出てないか
・眼瞼浮腫、口唇の腫脹はないか
・腹部や大腿内側に蕁麻疹はないか    

【考えられる可能性】
意識・・・レベル低下は脳に血液がいかないほど血圧が低下
顔色・・・青白い=血圧低下、紅潮=アナフィラキシー反応
冷や汗・・・ショック
粘膜症状(眼瞼浮腫・口唇の腫脹)・・・アナフィラキシー反応
皮膚症状(蕁麻疹)・・・アナフィラキシー反応

『聞いて』(聞こえる?変な音?)

聞こえるはずのものが聞こえるか、聞こえないはずのものが聞こえないか

・声を出せるか
・ヒューヒュー・ゼーゼー音(喘鳴)があるか
・しゃがれ声(嗄声)があるか
・咳やくしゃみがあるか

【考えられる可能性】
発声・・・気道閉塞
喘鳴・・・気道狭窄
嗄声・・・咽頭浮腫
咳・くしゃみ・・・アレルギー反応

『触れて』(まずは橈骨)

橈骨で脈を確認すれば、大体の血圧と脈拍は確認できる

・橈骨で脈は触れるか
・脈拍はおかしくないか
・冷や汗をかいてないか

【考えられる可能性】
橈骨・・・触れなければ(血圧80以下)頸動脈(触れれば60以上)
脈拍・・・超徐脈や超頻脈の確認
冷や汗・・・ショック

③『やばそう』ならアドレナリン0.3

レベル低下、呼吸や循環が異常など、

『なんかやばそう』と思ったらアドレナリン準備。

どれぐらいの呼吸になったらとか、どれぐらいの血圧・脈拍だったらとかは考えなくてよし!それはドクターが判断してくれるから!

看護師は、『なんかやばそう』と思ったらアドレナリンを準備すればよし!

アドレナリンは『0.3』、0.1ml=0.1mgだから、mlでもmgでも0.3と覚えればOK

そしてアンプルは0.3mlだけ吸う

シリンジは0.3mlだけ残す(0.7ml捨てる)

急変時に0.3だけ打つとか絶対忘れるor間違えるから、はじめから0.3mlだけにしておく。

アドレナリンの代わりにエピペンがあればエピペンでもOK

打つ時は大腿外側に筋注


④あとは対症療法

・誰か119で救急要請

・血圧低けりゃ下肢挙上

・SpO2低けりゃ酸素投与(6L以上)

・とれる人がルートキープ(両腕正中18Gか20G)

・ルートとれたら生食全開(もしくはリンゲル液)

・脈が触れない、呼吸がなければ胸骨圧迫

・アドレナリン打って15分たっても改善なければ再度アドレナリン投与


このあたりはドクターの指示で動いたり、覚えていたらどれか1個でもできればOK☆
余裕があれば他のスタッフに指示を出して同時進行で進めていこう!!


⑤緊急ではない症状だった場合

呼吸や循環に問題がなくて、皮膚・粘膜症状と消化器症状だけだったら抗ヒスタミン薬投与。

皮膚・粘膜症状・・・蕁麻疹、紅潮、眼瞼浮腫、口唇の腫脹など
消化器症状・・・嘔気、嘔吐、下痢、腹痛

【抗ヒスタミン薬】
ポララミン :クロルフェニラミン製剤
アタラックスP:ヒドロキシジン

投与後、改善を確認したら帰宅可。

帰る時は抗ヒスタミン薬を2日分渡すらしい(うちのクリニック抗ヒスタミン薬あったかな…?)

症状悪化するようなら上記の①〜④の循環に入る。


まとめ

今のところわたしはアナフィラキシーに当たったことは無く、ワゴった人が一人いただけでしたん。

でも、いつ出くわすかはわからないから準備はしておいた方がいいと思っております。

ワクチン接種はまだまだ続く。

これからは若い人の接種もはじまるし、もしかしたらファイザー3回目もあるかもしれない。

だから、いまさら感は大いにあれど、まとめたことはは無駄じゃなかったと思いたい。

もし「急変対応なんかしたことないよ💦」って看護師さんがいたら、これを参考にしてみてください☆

たぶんどんなマニュアルよりシンプルになってるはずなので、覚えやすいと思います☆

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