東京エクストリームウォーク100
10月19日〜20日にかけて開催された「第9回東京エクストリームウォーク100」に挑戦してきました!
参加したきっかけは、大会を主催する朝日新聞社からこんな届いたメルマガ↓
「人生で一度くらい100km歩いてみませんか?」
なにこれ面白そう!!
そんなノリと勢いだけで友人も誘い申し込みしました。夜通し歩く大会ということで恩田陸の夜のピクニックみたいだとワクワクしました。
体育会系出身で、社会人になった今もスポーツ続けているので、歩くだけなら100kmと言えど余裕だろうと若干舐めていた部分も最初はありました。
ただ、実際に参加してみるとあまりにも辛くしんどい、地獄のような大会でした。2日経った今でも歩くことに対してもはや恐怖を覚えるくらい…。
人生でもTOP3に入る辛い経験と、何度思い出しても最高の体験だったと噛み締めることができるこの大会についてまとめていきます。
東京エクストリームウォークについて
26時間の制限時間内に100kmを歩き切る大会です。公式サイトには以下の文章で大会について説明しています。ワクワクしますよね!
私が参加した第9回の東京では、小田原城からスタートし、有明のURBAN SPORTS PARKがゴールのコースでした。小田原から有明まで、電車でも遠いこの距離を歩くというのは遠過ぎて驚くとかではなくピンと来ない。歩いた今でも理解ができてないです。
公式サイト発表の速報値では、今大会の参加者数は2,414人(内、824人は33kmコースの参加者)。約1,600人もの人が100km先のゴールを目指して歩きました。
大会までに
大会申し込み後、この大会のことについて何も知らなかったので色々と調べました。ノリで挑戦を決めましたが、冷静に考えてみると100km歩くってどういうこと??体持つの?と真面目にやばい大会なのではと思い始めました。
・ブログなど体験談を読む
・公式の練習会に参加
・山手線外周一周(約50km)をして練習
・スポーツタイツや靴下などアイテムを揃える
・前泊する
などなど色々とできるとこをして本番に臨みました。
大会までの準備をここで書き始めると本番までになかなか辿り着かなくなりそうなのでこの記事の後半にまとめました。もし今後参加を考えている方の参考に少しでもなれば嬉しいです。
大会本番
0km スタート(小田原城)8:15
スタート時間は全員一斉ではなく事前に郵送されるゼッケンによって割り振られます。朝の7時半〜10時半の間に一定時間ごとにグループで区切ってスタートします。
私はDグループだったので8時15分のグループでスタートしました。
小田原は私の現時点の半生の15年以上も大好きなロックバンド、藍坊主の出身地なのでここからスタートできるのはちょっと嬉しかったです。
何度も来たことのある土地なので安心感もありました。
大会は一定の距離ごとにCP(チェックポイント)が設けられ、到着の確認と休憩、エイドなども配られます。また、指定された時間までにCPを出発できないとその時点でリタイアになります。
スタート地点、第1CP〜第5CP、ゴール地点という構成になっていて、基本的に参加者は次のCPを中間目標に歩いていきます。
↓コース概要(公式より)
大磯や平塚の街中などを進み、まずは第1CPである湘南第一公園を目指します。
21km 第1CP(湘南第一公園)12:20
第一CPでは飲み物やカレーパン、ジュースなどをいただきました。
休められる時になるべく足を休めた方がいいと練習会で聞いていたので、靴を脱いでなるべく楽にしていました。ここでは10分ほど休みスタートしました。
第1CPから第2CPは主に江ノ島を遠くに眺めながら湘南海岸サイクリングロードを進み、茅ヶ崎のサザンビーチなど海沿いを進みます。ここが後々に響く第一の関門でした。信号が無くひたすら真っ直ぐなので歩きやすいのですが、この日は10月も中旬を越えているというのにまさかの30度越えの暑さ。日差しや気温にかなりやられました。
ここでは準備していたサングラスがとても助けになりました。
33km 第2CP(サーフビレッジ)14:55
33km部門のゴール地点です。第1CP〜第2CPでは、かなり快調に歩いている男女の2人組がいてその人たちを目標に歩きました。果てしない距離を歩く中でスピードを保つためにも、誰かを目標に歩くのは初心者的にはいい手段だったと思っています。
10分ほど休憩し次のCPを目指して進みます。ここまではちょっと足の疲れなどは感じ始めましたが、またまだ全然元気でした。
せっかく滅多に来ない土地に来たからということもあり、少し観光の意味を込めて道中にあった地域ならではという感じがする飲食店に。生しらすが食べたくて生しらすが入った定食を。
ただ、時間はかけていられないので提供が早そうな空いてるお店に入りさっと食べて15分〜20分ほどで出発。
ここまではまだまだ余裕がありましたが第2CP〜第3CPは21kmあり、驚くほどに身体の状況が変化してきました。
第2CPを出発すると藤沢の海岸沿いから一気に上に登り、戸塚を抜けて横浜を目指します。道中は箱根駅伝の復路で有名な遊行寺の坂も登り、さらには登った分だけ降ることになります。(道中のスタッフさんが説明してくれた)
道中のコンビニなどで疲労が溜まってきてる様子の参加者の方々も見え始めました。晴れ後時々雨という滅多にない天気の日で、この時間から稀にポツポツと雨が降る時間もあり不安定な天気にも精神的な疲労を感じるように。
10km以上進み、戸塚駅を越えたあたりから徐々に足の裏と指の付け根の痛みが現れ、さらには熱中症手前の状態に。昼間の海岸沿いの暑さにやられたのか頭痛が止まらず身体の雰囲気が体調悪い方向に転じ始めました。歩くペースもかなり落ちたと思います。
54km 第3CP(横浜市児童遊園地)20:10
どうにかCP3に到着。夜になって日差しがなくなり気温も下がってきたことで体調もなんとか戻りました。
ここでは比較的長めに休憩を取りました。(それでも30分はいなかった)
本当は地べたに寝っ転がって思いっきり体を休ませたかったですが、雨が降ったことにより濡れていて思い切った休憩はできませんでした。もはや座ることすら足が痛く、地面から足を離したくてしょうがなかったです。
スタッフさんたちが笑顔で応援してくれて、コーラやスポーツドリンク、ゼリーやホットコーヒーなど配ってくれました。
スタッフさんたちはみなさん親切で、笑顔で応援してくれていてとても励まされました。どこのCPでもそうですが、特に第3CPの方たちの応援は暖かかったです。
次の第4CPまでの距離は13km。距離が短かったため頑張れましたが、体のダメージ、足の痛みが辛く2回コンビニで数分ほどの休憩を挟みました。歩くペースもかなり落ちました。もはや全く余裕がない状態。
なんとか気力を振り絞って歩き続けます。
みなとみらいに着き、比較的身近で知っている土地まで出てこれたことがとにかく嬉しかったです。そして夜景が綺麗な時間に通ることができたお陰で景色を楽しむこともできました。道も整備されていて歩道が広く、一気に歩きやすくなりました。
第4CPまで残り2kmほどでしたが、もはや数百メートルすら遠く果てしなく、あまりの進まなさに度々絶望しました。
67km 第4CP(ポートサイド公園)0:11
ここで長めに休憩させて欲しいと一緒に歩いていた友人にも言っていたのですが、実は制限時間が厳しくなってきていることに休憩中に気づいてくれました。
休憩もそこそこに恐らくは20分ほどで出発しました。ここまで頑張ってきたのに制限時間を過ぎてしまってちゃんとゴールできなければ意味がなくなってしまう。焦りや悔しさ、そして何よりリベンジのためにもう一回大会に参加することだけは絶対に嫌だという気持ちでいっぱいでした。私は8時15分スタートなので10時15分までにゴールする必要があります。
※翌朝11時までにゴールすれば制限時間過ぎても一応完走扱いにはなるみたいです。
10km以上の距離を2時間以内で歩き、これまでと比べてかなりのペースで進みました。参加決めた時点で、リタイアという選択は頭に無く、どんなに無理をしても絶対に歩き切ると決めていたので、無い気力を振り絞って歩きました。
これまでは友人とずっと喋りながら歩いていましたが、会話もできずにひたすら黙々と進みます。
橋の上は向かい風で、進む足を押し返してきます。
信号待ちではとても立っていられる状況では無く、しゃがんだり何かに腰をかけたりして誤魔化すことしかできなくなります。一度止まるとすぐに足が動かなくなってしまいます。マニュアル車がいきなり5速、6速にいけないのと同じように徐々にしか歩きスピードを出せなくなります。
そして後半更なる悲劇が。
第5CPまで残り3kmほどというところでお腹を壊します。少し前に飲んだアミノバイタルが消火・吸収することができなくなったせいでした。
飲み物も受け付けず食べ物も食べれず、深夜にも関わらず睡魔も一切きませんでした。
もはや歩くこと以外、機能せず。
それでも道中で、今まで遭遇したことのある人を見かけると嬉しくなります。参加者全員で頑張っているという気持ちと、自分もみんなと一緒に確実に歩けているんだと安心しました。
86km 第5CP(鈴ヶ森道路児童遊園)5時前後
到着時は写真すら撮れずに出発時の写真(5時38分)
第5CPでは鍼灸サービス(あくまで疲労回復目的の治療のみ)があり、少しでも効果があってくれという願いで人生で初めての鍼治療をしてもらいました。(結局私は効果ありませんでした…)
制限時間内にゴールができる目処が立ってきたため一番長く30分以上ここで休憩していました。
ゴールまでラスト14km。ここからは品川を抜けて新橋、浜松町の方に向かい、そこからゴールの有明を目指します。知っている土地な分、想像ができてしまう距離の遠さが恐ろしくなってしまうのでひたすら無心に足を進めます。
ここでラスト7kmあたり。東京だという感動と、いよいよラストだと思いつつも、1時半は歩かなければと計算できてしまうのが本当に辛い。
自分たち含め、数組が固まりになって歩いていましたが、この固まりのまま最後ゴールまで行こう、その方が精神的に楽だと止まらずに歩き続けました。その中には第2CP〜第3CPあたりから度々見かけた2人組もいらっしゃり勝手に仲間意識を持ってその人たちに付いていきました。
ゴール直前のラストスパートでは、「築地大橋」「黎明大橋」「豊洲大橋」「有明大橋」と大きな橋が4つも連続して立ち塞がり最後まで楽させてくれませんでした。登り坂では足が攣りそうでした。
それでも足を止めず歩き続け、ついに!!
100km ゴール(URBAN SPORTS PARK)09:03
ついに100km歩き切ることができました!尋常じゃ無い達成感!そしてもう歩かなくていいのだと思うと解放感から喜びが溢れてきます。
今思い返してみても、果てしない道と辛い痛み、動かない足など、濃密な記憶が思い浮かびます。
タイムは24時間51分。全てを振り絞ってのタイムです。本当に一点の迷いもなく頑張ったと言える大会です。これが今の自分の全力。
思い返すと50kmを過ぎてからが本当のエクストリームウォークだったと思います。全くの別物でした。
日々運動していて参加者全体で見たら相当年齢も若かったのに、全然他の人たちの方が歩けていました。弱音を感じさせず黙々と確実に歩き続けるカッコいい尊敬してしまう大人たちがいっぱいいました。
自分の甘さや弱さ、まだまだ全然ということを知ることができたのと同時に、こんなにもスゴイ人たちが世の中にはいるのだと感動しました。
東京エクストリームウォーク100に参加し、人生初の100kmを歩きました。
何か大きく変わることは無いけれど、間違いなく参加して良かったと心から思える大会でした。
ここ数年でも私の中での大きな挑戦は無事達成で終わることができました。100kよりも遥かに長い人生、こういった挑戦が刺激となりメリハリある楽しい人生になると私は思っています。
この日一緒に歩いた参加者の方、スタッフの方、主催者の方には感謝しかありません。
そして一緒に最後まで歩いてくれた友人に本当に感謝を。
未だに残る辛い記憶から二度と歩きたいとは思いませんが、これからの誰かの100kmの挑戦は全力で応援します。
ゴール後
本当は有明にあるスポーツセンターでシャワーを浴びたかったですが、徒歩15分すら歩くの不可能。電車に乗り打ち上げの焼肉に行きました!
びっくりするくらい食べられず…。
本当すぐにでも家に帰りとにかく寝たかったですが、漫喫でシャワーだけ浴びて申し込んでしまった東京都の婚活イベントに参加。ここでは惨敗。
体のダメージについて
人間の身体はよくできていて、あんなに歩ける状態ではなかったのにゴール後数時間で最低限の歩行はできるようになりました。
土曜の朝から寝ずに歩き続けて、寝れたのは日曜日の22時頃でしたが翌日は無事に会社にも行けました。
歩いている時には痛くなかった腰が痛くなり、股関節は痛い上に動かず可動域は酷い状態でした。足が上げられずにお風呂場の湯船すら跨ぐのが厳しいくらい。股関節の付け根の表面部分は内出血もしていました。ただ、仕事に行くくらいならどうにかなりました。
3日後の現在(数日かけてこれを書いているため最初と違う)は、やはり無理したのか完全に風邪を引きました。身体の不調等はだいぶ戻りました。早くジムに復帰したい。
準備編
1. 山手線ウォーク
外周を一周歩きました。
ここで50kmの道を歩く経験ができたことはとても大きかったです。
2. 練習会に参加
経験者のお話を聞きながら歩く練習(10kmくらい?)をしました。
持ち物や準備、みなさんの参加動機やエピソードなど色々と参考になりました。そして話していて面白かった。
3. 道具、装備類を準備
全て使ったものです。持っていって良かったものをピックアップしています。
↓新しく買ったもの
・スポーツタイツ(CX-W)
これが無ければ制限時間内でのゴールは不可能だったかも知れない。山手線ウォークで膝の痛みを感じた危機感から初めてスポーツタイツを購入。
膝は全く痛くならず、意識せずとも勝手に足が歩くので本当にすごい。
・タビオの5本指ソックス
マメ防止の目的で買いました。そもそも足の皮膚は分厚く固くなっているためマメができるとは思いませんでしたが、マメにはならずに終われた。
2足持っていって履き替えた。足の裏は特によく汗をかく部分のため衛生的にも変えがあったことは大きかったと思う。
・スポーツ用サングラス
Amazonで評価高そうな安いものを購入。
日差しや紫外線による疲れを激減できたので買って良かった。
↓元々持っていたもの
・Onのシューズ
非常に歩く、クッション性も高いため歩くのがとても楽。
・Onのウィンドブレーカー
風が強い時や肌寒いときに重宝した。
とにかく軽くて薄いのでリュックにしまっても邪魔にならないのがいい。
・アンダーアーマーの長袖インナー
夜になり寒くなってから中に来ました。暖かい上にサポーター効果もちょっとあり。
4. 体験談等を読む
この方の記事がとても参考になりました。
文章も読みやすいし分かりやすくて楽しく読めました。
ゴール後のひとりごと
オリンピック種目として競歩があるのは知っていましたが、こういうウォーキングの大会の存在自体も初めて知りました。
100kmは小学生が5日間をかけて歩く事業のボランティアで学生時代に歩いたことがありますが、一発で歩き抜く経験は無し。
限界を越えて頑張り続けるということは誰にでもあるし、スポーツで言えば大会などに出ればよくあることかも知れない。
ただし、ウォーキングの場合その長さが異常。
体力も気力も底をつき、肉体的にも痛みで悲鳴をあげている中、10時間以上も歩き続けなければいけないという現実。そして多少アドレナリンで奮闘できる瞬間があったとしても、所詮そこは歩きなので、競歩選手でも無ければ変わるのは1時間かけてもたかが知れた距離。こんなことを考えると本当に絶望します。
人はなぜまた100kmを歩こうとするのか
練習会で過去の参加経験者の方々と話す機会がありました。多くの方は複数回歩いたこのある方々だした。ただし、大会中の歩いている最中はもう二度と歩きたく無いと思うのだそうです。でも不思議とエントリーしているとおっしゃっていました。
ゴールして数日経っている今なら分かります。あんな非日常で、常に一つの目標に向かって苦しい思いをしても頑張り続けられる機会なんて普通ないからです。今年いっぱいはエクストリームウォークの達成感、満足感を胸に過ごせそうなくらい。
そして一番のポイントは、歩行中の苦しんでいる自分をどこか他人に考えてしまっているところにあると思います。今は満足感でいっぱいの自分ですが、あの辛く苦しい思いをした自分を私は忘れないようにしたいです。二度と参加しないために!
それでもいつかまた歩いてそうで怖い。頑張れ未来の自分。
データ
Fitbitの記録
日を跨いでいるからかエラーだらけ。歩数もおかしくて恐らくは13万歩越え。脅威の106km。
10月19日は98,651歩、おしい!!
あと少し足りず日を跨いでしまいました。
一週間のアクティビティ。
8万歩と9万歩のバッジ獲得できたの嬉しい。
勢いで書いてきたので読みにくいところが多々あるかと思いますが以上です。
本当にいい経験をありがとうございました。