見出し画像

『SHY』はにかみ少女は正直に憎しみの心と向かい合う

■紹介(POP)

これは国ごとにひとりずつヒーローがいる世界。
米、露、英、イカした奴らがクールに守る、そして日本のヒーローは・・・恥ずかしがり屋の女の子シャイ!
理想を描いたようなヒーロー達、目立てない影のような自分・・・拭いきれない劣等感。苦悩、悲嘆し、悟り、成長し、思春期の少女は一歩ずつ前に進んでいく。世界の誰かの心の声、怨嗟の声を聴きながら。
超絶無比絶対最強とは異端、内面から語りだす「心を守る」「心を救う」英雄譚、只今開演!

■基本情報

著者:実樹ぶきみ
巻数:1 巻(以後続刊)

■個人の感想

ヒーロー物の作品にあまり触れていない人間の感想。

「シャイとして紅葉山テルとしての内面的な成長と救済」がこの作品のテーマなのかな。

「シャイ」が助けられなかった子・・・

私、ではなく「シャイ」。
人付き合いに疲れやすい陰キャで恥ずかしがりやの「紅葉山テル」と、恐怖に負けず気持ちに率直で言霊も強いジャパンヒーロー「シャイ」。相反する2つの個性に対し、どう彼女が人との関わりの中で、肯定しあるいは否定して、1つの個性を練り上げていくのか。

『こわい』に打ち勝ってこそヒーロー・・・
・・・あぁ怖いなぁ
手も足もガッタガタだ・・・
だけど私だって
それに勝ちたいんだ

第1巻にも関わらず飛ばし気味に飛び込んでくる、彼女の葛藤、そこから悟りを得た上での雄弁の様は、彼女の姿しか映さなくする程に強い輝きを放つのです。その要素だけでも、この作品を好きになるだけの価値は十分にあると思います。

ただまぁ、気になる所もあるにはあります。
出会って数時間で心が通じ合っていたり、
「ひとがいないところが好き」から「なぜみんな人助けをするのか」という質問が出てきたり、
繰り返し読んでいてちょっと唐突感を覚えたりしました。
同人誌のように少ないボリュームでいっちょまとめあげる必要があるなら、まぁそれでもいいよねと思うんだけど、連載作品だからもっとじわじわと盛り上げていってもいいんじゃないかなと。
ヒーロー大好き小石川さんの独特な語り口、ほろ酔い同僚スピリッツのふわんとした感じも、これからずっとよく見ていたいので、なおのことそう思ったりします。まぁそんなの杞憂でしょうが。なにせこの作品、実樹ぶきみ先生の初連載作品(※元アソパソ調べ)なのですから!

この感想を書いている時点で、2巻が 2/7 に発売とありました。
先生の今後の飛躍がとても楽しみですね!
良い漫画にめぐり会うことができました。