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新作「anotherscore 2」「khoreia 2」の展開図

9/4(金)に新作2タイトル
anotherscore 2 (distant old noises 1999-2005)
khoreia 2
を自身のbandcampにてリリースしました。
そこで、「展開図」と銘打って作品解説をしてみようと思います。

同時リリースの流れ

8月の中頃に「anotherscore 2」を作り上げた時点では同時リリース等は全く考えていませんでした。ちょうど区切りの良さそうな9/1に「anotherscore 2」を出そう、くらいの構想でした。
ただ、「anotherscore 2」の収録曲が15年以上前の音源で、しかもハードでダーク。この1作だけ出して、過去のリソースで重たさだけになるのもなあと考えていました。
一方「khoreia 2」は、かなり前から構想していたものの計画とテンションが噛み合わず保留にしていました。

一旦「anotherscore 2」は出すとして、次作は早めに、10月には出そうと思ったところで、リリースを想定せず取り掛かった「khoreia 2」が一気にまとまり、しかも2作を俯瞰すると期せずして陰陽の佇まいを感じ、過去作だけ出して留まるような懸念はなくなると思えたので「khoreia 2」を完成させました。

さて、ここからそれぞれの作品解説に移ります。

anotherscore 2 (distant old noises 1999-2005)

anotherscore 2 (distant old noises 1999-2005)」は、1999~2005年に制作した音源で構成されています。1~4曲目は2001年作「MOONBAY」、5曲目は2005年作「Frozen Bowler」という作品に収録しました。

当時、既にテクノ以降のトラック制作やアルバム発表などを重ねていた(Asohgiの作風へ繋がります)一方で、より即興的で実験的な音創りも行っていました。ノイズや電子音響と呼ばれるジャンルの影響が強かった結果だと思います。
そんな自分の作風を「ハードコアアンビエント」と名付けたりしてました(余談ですが、最近Nyantoraさんやduennさんが打ち出してるHARDCORE AMBIENCEというプロジェクト名を見た時には名付けの被りにびっくりしたものです)。

これらの音源発掘は今夏に急に思いつきました。この作業の少し前に別件で温めてた構想の数曲が全く使えず構想自体ボツにしたのもあり、果たして使い物になるか気にしつつ確認したところ、大丈夫と判断。
その上で、不要な部分の削除や長すぎる尺の短縮や当時のコンセプト消去などの再編集を行いました。結果的に当時物は整頓され、むしろ音の根本が立ったと感じました。ちなみに音質はほぼ当時のままに留めています。

タイトルとジャケットは既発作「anotherscore(2000-2015)」がベースです。こちらも過去音源/未発表音源のリサイクルなのでベクトルは同じ。「khoreia 2」が立った際(後述)、今作に陰陽の陰がよぎりました。見たまま、単純な話です。作品全体に引っ張られた格好でもあります。

ちなみに、収録曲の使用機材を思い出してみました。
1. 2001, DAT walkman/VS-880/DJ-70/DEP-5/SH-101
2. 2001, VS-880/SH-101/MC-202
3. 2001, VS-880
4. 1999, DAT walkman/VS-880/DJ-70
5. 2005, Behringer mixer

khoreia 2

khoreia 2」は2018年に発表した「khoreia」の続編。「khoreia」と「variation one」はシリーズ的に続ける構想があるのですが、今まで自分の状況や環境がいまいち噛み合わなくて形にならず、「宿題」として置いてました。

ちょうど一年前の19年7月に耳の手術で入院する事になったのでノートPCとiPadを持ち込み、気が向いたら物理的に使える片耳だけで、音と遊んでいました(こちらこちらを参照)。その中で出来た幾つかのスケッチが本作になります。
スケッチと言いつつ、仕上げに若干の音質補正をした程度でそのまま完成形となりました。

作った時は、状況的物理的に突き詰めて作り上げたりできないのでラフスケッチや素材として捉えてたと思います。でも聴き直すとそのままで良しと思えました。
普段との環境の違いや手元の限りの素材だけで割り切って開き直って遊んだのが良かったのか、不思議と迷いがなく開放感があり、また最近の自分の感覚に非常にフィットしていると感じました。
一年前の自分がやりたいようにやる事に気付いてたのを、ここではっきりさせられたとも言えます。

収録トラックと曲順とタイトルが決まった後(ちなみにタイトルは後付です。走り書きのメモから引っ張り出してきました)、「anotherscore 2」と並べた際に今作に陰陽の陽がよぎりました。音の抜けイメージのまま、単純な話です。作品全体に引っ張られた格好でもあります。

逆引き的に全体像が出来たため、見合うジャケットの制作は少し迷ったものの、当て嵌まる素材(自分で撮った写真が下地)を見つけ/思い出せて一気に仕上げました。

締めに

以上、2作ともトラックや素材、アイデアはある程度はあったとしてもごく短期間でまとめる事が出来ました。

ところで今回の「展開図」は何となく気が向いたのと自分への備忘録的に書いてみましたが、あくまで僕自身の経緯やイメージの話。これを踏まえて聴く必要などは全くなく、それぞれに良いように楽しんでもらえれば何よりです。

というわけで一区切り。次の制作に入ります。

今回の2作以外にもあれこれ取り揃えています。良かったら聴いてみて下さい!

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Junpei Onodera / Asohgi
電子音楽や諸々を創作しつつ、反射された記録(活動、思考、日記など)を概ねランダムに残しています。もし何かの拍子に気に入っていただけたら幸いです。