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【絵本レビュー】 『ふまんがあります』

作者/絵:ヨシタケシンスケ
出版社:PHP研究所
発行日:2015年9月

『ふまんがあります』のあらすじ:

わたしはいまおこっている。なぜなら、大人はいろいろとズルいからだ。ちゃんともんくをいって、ズルいのをやめてもらおう。こどもにだって、ズルい大人にいろいろふまんがあるんです!

『ふまんがあります』を読んだ感想:

大人に対して、特に嫌に対しての不満いっぱいありました。もう何十年も前のことなのに、次から次に思い出して一人で苦笑いしてしまいました。

どうしてママだけカップラーメン食べていいの?
どうしてママだけ漫画読んでいいの?
なんでママは祭りの屋台でなんでも食べていいの?
なんでママは好きなテレビ見ていいの?

どうしてパパは魚食べなくていいの?
どうして私だけお腹いっぱいなのにまだ食べなくちゃいけないの?
どうして私だけ腕立てと腹筋しなきゃいけないの?
どうして私だけ昼寝しなきゃいけないの?
どうして私はテレビ見ちゃいけないの?
どうして私は日本の音楽聞いちゃいけないの?
どうして私はチョコレートを週に一回しか食べられないの?
どうしてピアノに行かなくちゃいけないの?
どうして私はお小遣いもらえないの?

今ならきっと笑い話のタネになりそうなものばかりですが、当時は真剣にずるいなと思っていました。「ダメはダメ」とか「お前のため」なんて答えばかり返ってきていた気がしますが、ヨシタケさんのような気の利いた返答だったら、父とももっと面白い会話ができたような気がします。

四歳児と毎日接していて思うのは、親は親のしなくちゃいけないリストをなんとかこなそうと日々頑張っていて、子供は子供で毎日人らしくなるために頑張っている。でもママやパパは子供を幼稚園に迎えに行く頃にはもうヘトヘトで、一日の残りをできるだけスムーズに合理的にこなしたいと思っているのです。だから申し訳ないけれど、「ずるい!」と言われてもなかなか気の利いた対応ができないのです。もしこの記事を息子が大きくなって何かのきっかけで見ることがあったら、ここで言っておきます、「ごめんちゃい」。本当は「これは大人のものだから」なんて野暮な理由でなくて、「私はスパイだからこれ以上は話せないのです」なんてもっとミステリアスなことを言ってあげたいのです。でもね、ごめんなさい。今はちょっと頭がパンパンで余裕がないです。

君がお砂糖を食べられないのは、パパとママがある国の秘密機関で人間砂糖漬け実験の実験台になっているからなんだ。好きで食べているわけじゃないの。君をこの実験から遠ざけるために、私たちが犠牲になっているのよ。君がこれを読む頃には、きっと実験も終わっているでしょう。その時にゆっくり説明してあげるからね。

『ふまんがあります』の作者紹介:

ヨシタケシンスケ
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。



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