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ヘアケアの為の重要なおはなし
毎日のスタイリングやヘアケアは大変な事だと思いますが
「髪って結局何なの?」を理解する事によって
より良い髪の状態を保つことは充分に可能だと思います
今日のお話は
ヘアケアで悩んでいる方、髪の事を詳しく知りたい美容師さんに読んで頂けると幸いです
毛髪と言ういじらしい存在
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「貴方は何が好きですか?」って言われたら速攻で答えます
「髪」が好き♡
だから毎月髪の講習を受けて
毎朝スタッフと一緒に髪の事を話し合います
僕達美容師は「髪」を扱いますから
髪って本当可愛くって、頼んでもないのに
毛根にある毛母細胞から一生懸命に細胞分裂をして
ずっと伸びていきますが、これが永遠ではなく
「毛周期」というものがありまして
男性だとおよそ4~5年、女性だと5~6年
一度伸ばすと決めた毛母細胞は必ずその期間もくもくと髪を作り続けます
いじらしい
そして、髪は切っても痛くないし、血が出ないから
「髪は死んでいる」って思われがちだけどよーく考えてみると
毎日洗っているのに削れて細くならないし
様々なヘアケア商品で油分や水分を与えてあげると
確かに一度ダメージしたものが良くなったりする
髪は死んでるはずなのに??
もちろん科学者ではありませんので「髪は生きている、死んでいる」
という事はここで論じ合うつもりは毛頭ございませんが
なんとも不思議でいじらしい存在なんです。髪って
さて、我らが大好きな髪の話ですが
基本的には体から作られているものなので「動物性たんぱく質」で出来ています。
タンパク質はアミノ酸の塊で、その構造の在り方で様々な特性を持ちますが
例えるなら「レゴブロック」の一つ一つが「色んな形で組み合わせる」ことによって形や特性も変わっていくという事
髪の毛は「ケラチン」と言うタンパク質で出来ていますが
今日はケラチンと言うタンパク質の特性についてお話をさせて頂き
髪と言う存在のいじらしさを伝えたいと思います
毎日アイロンしてるのにそんなに傷んでないの何故??
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この章では「髪」の事を「ケラチン」と呼ばせて頂きます
これは彼女の事をあだ名で呼ぶのと同じ高等技法を用いておりまして
自分なりの親しみやすさと感謝を表す行為になります
そんな話はさておき
「ケラチン」と呼ばれる我らが「髪」は
「動物性タンパク質」で出来ているので非常に熱に弱い!
ステーキを焼きます
熱を入れれば入れるほど硬くなり、脆くなります
焦げてしまうまで焼いてみたらどうでしょうか?
掴んだだけでボロボロと崩れ落ちるでしょう
ゆで卵を茹でます
7分半くらいだとちょうど良いくらいの半熟状態になりますが
13分以上煮てしまうと黄身もカッチカチになり
食感もボソボソとしてしまいます
我らがケラチンはどうでしょうか?
同じ「動物性たんぱく質」なので
アイロンやブローをしてしまうとパサついたり硬くなったりはしますが
また、濡らしたら意外と大丈夫じゃありませんか??
髪は傷んだかなぁと思っていても以外に大丈夫なんです
これは「ケラチン」の温度条件による反応の仕方が
本当に上手に絶妙に関わっているからなんです
ケラチンの熱による変性
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愛おしきケラチンは動物性たんぱく質なので熱によって変性します
このことを「タンパク質の熱による変性」と言いますが
前述したステーキや卵の例のように
動物性たんぱく質は約60℃から硬くなりはじめ80℃で完全に硬くなりますので熱の入れ過ぎに注意!!
と、いう事なのですが
ケラチンの場合だとヘアアイロンの温度は160℃ですが
コレって一瞬で髪の毛が天ぷらになりませんか?
なのに何度アイロンしても意外とツヤツヤなのは何故なんでしょうか?
これはケラチンの特性で濡れてる時は温度に対して物凄く繊細なのですが
一旦乾いてしまうとスーパーケラチン(勝手に命名しました)になるのです!!
具体的に言うと濡れてるケラチンは少しの熱でもダメージを受けやすいのですが、一旦弱い熱量(ドライヤー、自然乾燥など)でしっかりと乾いたケラチンは約200℃まで耐えることが出来るようになります
※だからと言って200℃アイロンは決して推奨しません
また、ケラチンは濡れていると物理的にも弱くなるので
美容室に行くと「髪を傷めないために乾かしてから寝て下さいね」と言われたことがあると思いますが
これも濡れているケラチン同士がこすれあったりして傷つくのを避ける為でもあります
なので、絶対的に髪の毛を傷ませたくないよ!
でもたまにはアイロン使いたいよ!!
って方はまず、ドライヤーでやさーしく乾かします
しっかりと乾いたらアイロン使っても大丈夫です
(※しつこいですけど温度は高くなり過ぎない方が良いです)
髪をツヤ視点で考える
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髪のツヤって水分や脂分の保持能力によって出ると言われています
その為に各メーカーはこぞって「○○成分配合」の商品を開発し
何とかして「髪の毛に潤いを!」ってやっていきますが
それ使ったら皆ツヤッツヤになりますか??
逆にそうなる商品がもしあるのであれば
髪の周りに何が付いているんだろう?って思うので、僕は怖いなと思います
髪のツヤは樹脂やシリコンなどで表面をコーティングしてなければ
「キューティクルの角度が整っているかどうか」が重要です
キューティクルとは髪の表面にあるケラチンで
見たことや聞いたこともあると思いますが瓦状に重なっています
そもそも車にせよ何にせよ「ツヤ」を表現するためには、必ず「光」が必要になってきます
真っ暗なとこで「わぁ、君の髪ってツヤツヤだね」ってなりませんので
光が物体にぶつかり上手に反射する事によってはじめて「ツヤツヤの髪」が登場します
鏡に光を当てるとまぶしいでしょ
だけど割れた鏡に光を当てると乱反射してそんなにまぶしくない
鏡=整ったキューティクル
割れた鏡=傷んだキューティクルって事なんですが
じゃあ、パサついた髪にアイロンしたらツヤッツヤになるのは何でなんだ??ってなります
これは髪に熱(アイロン、ドライヤーなど)と摩擦(ブラシ、アイロンプレス)を加えることによってキューティクルが損傷し、内部から髪の栄養分(水+5大栄養素)が流れ出します。この栄養分が一時的にキューティクルの角度を整えてくれて、光が髪の表面に当たった時に一時的にツヤが出るという仕組みなのですが
これ毎日何回も繰り返していたらどうなるでしょう?
気が付くとパサパサになり
気が付くとアイロンしてもいまいちツヤが出ないから
今度はツヤを出す為にオイルやヘアクリーム(化学物質)などを使用します
結果キューティクルと言うケラチンは熱と摩擦と化学物質で更にダメージが増し、毛先がゴワついたり、チリついたりして本格的にまとまりづらくなってしまします
と
脅すような文章になってしまいましたが
前述したように「ケラチン」は意外に強いものです
もちろんアイロンもヘアケア商品も
綺麗になる為だったら使用しても大丈夫
ただ、たまーに何もつけてない状態で髪と対話をする様に自分の毛先を触ってみて下さい
硬くなったり、パサパサしてきたら、たまには休ませてみると
意外にまたケラチンは頑張ってくれると思います
ケラチンっていじらしいですから
ヘアケアの根本はこういった事を理解した上で
たまに自分の髪を見つめなおしてみる事です
こんな髪の事しか話していない内容を最後まで読んで頂いてありがとうございました