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note DE 絵本!!【キャラもので世の中に出ようとした座敷わらし!!】


さく おかしつかさ


※このお話にはときおり、むずかしい言葉や意味の分からない言葉が出てくると思います。
そんな時は、誰かに聞くなり自分で調べるなりしてみてね!!

ーー自分で調べる事がオススメかな。でもさ、意味なんか分からなくても、文章でなんとーく分かっちゃうよね( ≖ᴗ≖​)
それに、僕がこれを本当に読んで欲しいのは子供ではなく大人の人になのです。
だって、ここに描かれているお話は子供達にとっては当たり前の事なのですから!!

だからね~。たまには大人から子供に分からないところの意味を訊いてみるのもいいかもね!!
…ほんじゃま、たのしんでね~!!おかしな絵本の世界へlets・ra・GO!



おやおや!!こんなところにひとりの座敷わらしちゃんがいました!!


座敷わらしちゃんに名前はありませんでしたが、自分で自分のことをシッキーだと思っておりました。

シッキーは人を幸せにする事が大好きでした。シッキーちゃんには不思議な力があって、住んだ家を幸せにするーーそんなミラクルパぅワーがありました!!

その為、誰かの家にこっそりと居着いては、その家をこそこそこっそ~りと幸せにしてはまた他の家へーーそんな生活を繰り返していました。

でもでも…ある時シッキーは思いました。
一軒一軒家を回るのもいいのですが、このやり方よりももっといい方法があるのではないか??もっとたくさんの人を一度に幸せにする方々があるんじゃあなかろうか!!



シッキーちゃんは考えました。
「もっといいやり方ってばないかしら~むむむ」
「ああ!そうだわ!!」
ここでシッキーちゃんに妙案浮かべり!!



その妙案ぶりたるや、思わずジャンプを企てる程でした!!

他所の家の電灯を勝手に〝かっち~ん!!〟して、閃きの電球代わりに!!

それからシッキーちゃんたら、手をぽむん!!
「そういえば、みんな、テレビを観ている時、幸せそうに笑っているわ!!」


そうです!
シッキーちゃんは自分がテレビに出て、それを観る人達を幸せにしようと考えたのでした!!
しかししかしです……シッキーちゃんには問題があったのです!

シッキーちゃんはもののけの類い!!
見られる人が限られてくるのです!!

…みんなは、シッキーちゃんの事見られる??
見えてる??じゃー大丈夫だね!!


「うう~んむ。どーすればいいのかしら~」

いくら考えても妙案みょうあんは浮かびません。
こんな時、どうすればいいか、シッキーちゃんは知っています。

「よ~し!!とりあえずテレビ局へ向かってみるんだべ~!!」


てってこてってこて~♪
シッキーちゃんはテレビ局へと向かいました!!

                                徒歩です!!

シッキーちゃんはもののけなので、この見た目で意外とタフネス!!
ほ~ら!あっちゅ~間にテレビ局へと着きましたよ~!!
はい、みなさんここから彼女にご注目!!

テレビに着いたシッキーちゃんはエントランスをくぐり抜け、スタジオへとやって来ました!!

それから色んなスタジオを回っては、カメラの前で〝ここにいるべ~!!〟と、自分の存在をアピールしました。


うでっぷしの強さを見せるべく、マッスルポーズ。時にはセクシーさを売りにすべく、あられもない姿で恥ずかしながらおしりを突き出してみたり。あるいは、シンプルに大声を張ってみたり。



時には、スタジオの芸人さんの真似をして大声でガヤを飛ばしてみたりしました。…少し照れながら…///

しかして、誰もシッキーちゃんの姿をとらえる者はありませんでした。

しかし、それでもシッキーちゃんは諦めません。
むしろそこからがスタートなのです。鼻をフンスカ鳴らしていずこかへと走り去って行きました!!

シッキーちゃんが向かった先はーーそう!!倉庫!!

今は使わないけど、色々な物を閉まっておく場所です!!




シッキーちゃんは、スタジオの廃材はいざいーー要らないもの、を使って、とんてんかんてんとん!!

てってけてーん!!でっきあっがり~!!
おやおやあ??なーにが出来たのかな~??

な、なんですかこりはー!!


被り物だああああっっ!!
シッキーちゃんはここでなんと被り物を作っていたああああ!!しかも、座敷わらしよろしく、お家の被り物だーっっ!!

鬼瓦《おにがわら》に、しゃちほこと、豪勢な装飾品となっているううううッ!!この幼気な少女のいったい何処にこんな才能が隠れていたのかーッ!!


出来栄えに満足したのか、るんるん気分でステップを踏むご満悦シッキーちゃん♡
目指すべき場所はーーそう!!

スタジオです!!

シッキーちゃんはこれまで以上におどけてみせました。一生懸命、一層脇目も振らずにおどけてみせました。


けれども、シッキーちゃんは誰にも見つけて貰えません。
シッキーちゃんは、がっかり。

ーーしませんでした!!

少しもと言うには語弊がありますが、シッキーちゃんはそんな事よりも楽しさが勝っておりました。
元々はみんなの幸せの為に始めたものだったのですが、いつの間にか自分が〝楽しい〟ーーそんな思いしかありませんでした。

しかし、そんなシッキーちゃんはここである思いが浮かびました。

「元々はみんなの為に始めた事なのに、自分だけが楽しんでしまっていいのだろうかーー」

それに、楽しいと思っていたテレビ局の中は案外ぎくしゃくしています。
それもそうなのです。みんながみんな楽しい事をしようと思っても、意見の食い違いが起こってしまうものなのです。

シッキーちゃんを一抹の不安が襲いました。

「ーーオラ、ここに居ていいんだべかーー」

ーーその時です。

「いいのですよ」


少し震えがかった声と共に、シッキーちゃんの肩を叩く者がありました。

シッキーちゃん、振り向くとーー

そこには車椅子に乗った人ががおりました。
髪の長い女性ーーいえ、男性??…シッキーちゃんには判別出来ませんでした。
ですがはっきりとした事がひとつ。そこには不思議なオーラが宿っておりました。

車椅子の人は答えます。
「私はキンピカ。…自分の場所は自分で選ぶのです。少し忘れかけたみたいですがーーあなたにはそれが分かっておりますね」

「オラの姿、見えるんだべか??」
シッキーちゃんは大きなおめめをぐりぐりさせて応えます。


「ええ。見えますよ。はっきりと。あなた、座敷わらしちゃんーーですよね??それにしては不思議な格好をしておりますねぇ」

「ーーに、似合わんだべか??」

「ーーふふふ。とてもよくお似合いですよ。何より、みんなを楽しませようとする想いが伝わって来ます。とても面白い趣向です」

「ーーありがとうだべ…でも、だめだ。オラ、誰の目にも映らねえーーこのままでいいんだべかーー全部無駄な事だったんじゃねえべかーー」

「うふふ。この世にね。無駄な事なんてないの。だって、こうして私に出逢ったでしょう??今まで気付かずにいてごめんなさいねえ。さあ。いっしょに行きましょう」

キンピカと名乗った人は、シッキーちゃんの手を引いてどこかへと連れて行きました。



カシャッ!!

「ここは?」

「私の番組のスタジオです。ここで私の友達を紹介しようと思ったのです」

「友達??」

シッキーちゃんは首を傾げました。

さあ、幕があけます。

「みなさん。今日は私の番組の観覧に来てくれてありがとうございます。ここで、私のお友達を紹介しますね」

キンピカさんはシッキーちゃんの背中をそっと押します。

「え?」

「こちら、お友達のシッキーちゃんです。実は彼女、座敷わらしちゃんなんですよ??みなさんを幸せにするべく、テレビ局にやって来たみたいなのです。みなさん、よろしくお願いしますね」

ざわざわざわーー

お客さんの中からざわめきが起こります。それもどんどん、どんどんと大きくなってゆきます。

それもそのはずです。お客さんからはキンピカさん以外、何も見えないのですから。

スポットライトを当てるはずの裏方さんもどこに光を当てていいのか分からず、スタジオの中を光がぐるぐると回っています。


「ーーやっぱりーーオラーー!!」

「うふふ。ここで諦めないで。もう少しじゃない。あなたはこれまで頑張ってきたの。本当の意味で頑張ってきたの。誰かに楽しさをおすそ分けする為にーーまずは自分自身が楽しんで。あれは大正解なのですよ?」

俯くシッキーちゃんを、車椅子の人は覗き上げます。


「ちょちょっとーー困りますよ困りますよー!!」

スタジオに、顔面そーはく!おめめ、ちばしりんこのこれまた赤いネクタイの男が入ってきました!!
このテレビ局の偉い人です!


ふぁいと!!カーン!!

ぎゅむ。



「ぬぁ、ぬあにを勝手な事をやってるんですかー!!それに変な事を…何も居ないじゃないですか!!」

偉い人は、体全身を使って!!どんどんどんどん!!ステージを足で叩いて!!
ステージ上で空に向けて泳ぐようにして!!
そこには何も居ないということをアピールします!!あ、ちょっと浮いた…

シッキーちゃんは、キンピカさんの後ろに隠れております。


「こんな事をして!!数字が下がったらどうするんですか!!苦情だらけだよ!!!あんた責任者とれんのかよ!!」

と、男は大泣きです。



ですが。
キンピカは口を開きます。
「いいえ。その心配はありません。むしろその逆でしょう」

「ふえ?……ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ逆!?なーにを言ってんだ!!あなた本当に変な人なの!?ちゃんとキャラでやってんでしょーよねー!!」
テレビの偉い人は、またまたバタバタ駄々をこね回して泣き回っております。

キンピカさんは、やさしい声で語りかけます。
「最近、このテレビ局では何か変な事はありましたか?」

「変も何もなーんも変わりはせんですわ!!みーんなふつーで、おだやかで!世界的にも事件らしい事件がまるで起こりまへんわ!!うあああん!!これじゃあ視聴率が全然上がりまへんわ!!へへーんだ!!」

「そうですね。それが本当の幸せというものです」

スーツを着た男性は目を丸めて黙り込みました。

「それもこの娘…シッキーちゃんがこのテレビ局に来てくれて…そして居着いてくれたからなのですよ」



シッキーちゃんもおめめを丸くしました。
いつもまんまるの大きいおめめなのですが、今回は殊更まんまるです。

「うふふふ。あなたは座敷わらしなのですよ?それとも夢中になってその本分を忘れてしまったのかしら。あなたには素敵な力があるはずよ。居着いた場所をーー素敵なところに導く力が」

シッキーちゃんはハッとしました。

「…なあ~んだべ…オラ、もうここを幸せにしてたんだべなあ」

シッキーちゃんは胸を撫で下ろしました。

「オラ、自分のことばっかり考えてーーでも、それでよかったんだでな?」

「ええ。それが一番なの。それが一番あなたが…生き物が一番輝く時なのよ。そんなあなたがここで笑っていてくれたから。楽しんでいてくれたから。このテレビ局から素敵な楽しい電波が流れました。そして世界はまだ、ほんのちょっとですが、やさしくなりましたよ?」

そう言って金髪の男性はシッキーの頭をなでなでしてあげました。

「オラ、ちゃんとお役目を果たしてたんだべか~。なら、オラがテレビに出る必要なんてーー」

〝うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!〟

その時、観客席の方で大きな大きな。それもたっくさんの声が一斉にあがりました。

しかし、それに気付いたのは金髪の男性とシッキーちゃんだけです。

「ほら。お友達が来てくれましたよ?」



シッキーちゃんと同様、和服を着た小さな小さな少年少女達が扉から観客席になだれ込んできました。
シッキーちゃんと同じで、みんなほんのりと輝いております。

そしてそれらはばたばたばたりとお客さんの間を縫うように。あるいはお客さんの肩をとんとんととんで。シッキーちゃん達が立つ舞台の上に上がってゆきます。

「んとね!んとね!!あちしね!!みんなを幸せにしたかったの!!でもなー!やりかたわからんかったー!!」
「シッキー!おめえは凄いぜ!たった独りでこんなスゲェことやっちまうんだからよ!!」
「ちぇすとおおおおおお!!小生、修行!!山篭り!!山小屋!!視聴!!」
「猫好き~??」

次々にシッキーの手を座敷わらし達がかわりばんこに取ってゆきます。

全国各地の座敷わらし達です。みんなこの生放送を観て集まってきたのです。みんなは気付いていたのです。今までのテレビに映っていたシッキーちゃんの姿に。

                         〝おおおおおおっ〟

そこでお客さん達からざわめきが起こります。



少しづつ少しづつ、みんなの幸せのパワーを受け取ったシッキーちゃんの姿が、みんなの前に現れだしたのです。

「あなたは今までよく頑張りました。みんなを幸せにして来ました。じゃあ次は誰が幸せになる番だと思いますか?」

キンピカさんはシッキーちゃんに微笑みかけました。

ばんっ!!ばんばばん!!
シッキーちゃんにスポットライトが当たります。

シッキーちゃんは少し、スタジオ内を見回します。
そして。




「は、はずめましてーーオラ…座敷わらしのシッキーだーーみんな、仲良くしてけろ……」

ぺこりとおじぎをするシッキーちゃん。

〝どわあああああああああああああ!!〟

盛大な拍手がシッキーちゃんを迎えましたとさ。

                                                                           おしまい。














あだ名はシキキです(❁´ω`❁)

そして、芸名は「THE・シッキー」だそうです。



いきなしレギュラー27本決定!!(うち、帯8本)


                                  さちおわりだんべえええええ!!

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スター可笑師司(おかしつかさ)【こちとら可笑師司じゃい!!】
お願いシマチューホームズ行ったことない! うそ! ホントはあるかも! 断定しかねる!!