【イカダ】初めての筏釣り
今まで頑なに、お金を払って釣り場まで運んでもらうことを避けてきた。
船釣り、イカダも然りである。
連れ立ってどこかに行くこと、釣られてもらってる感、なぜだか気が乗らないのである。
しかし、今回、様々な事情が絡んで、イカダに乗ることになった。
私の弟が、幼い頃、父親に連れて行ってもらったチヌ釣りを再開したいと言ってきた、とりあえず、お試しで、五目釣りになってもヒンシュクを買わない気軽なイカダが良いと。
今はどうか分からないがチヌ釣り師の神経質なエピソードは山ほど聞いてきた。
イカダの上を歩くな、はよく聞く話だろう。これも「お金を払って釣り場に行く」ことに興味を失った原因のひとつである。
様々な釣りジャンルが開拓された今。
ヘチ釣りや、河口のホッパーなどで釣れてしまう黒鯛はそれほどまでに賢い魚なのか疑問は深まるばかりだが、どうなんだろう?
魚突きで間近で何度か見たが、どうしてもそうは思えなかった。
そんなチヌ釣りをこよなく愛する人が身近にいて、その人に相談を持ちかけた。
嫁のおとうさん、義父である。
私も釣り好きと知ると、ことあるごとにチヌ釣りを進めてくださってはいたが、なんとなく躱してしまっていた。
弟が同行したい旨、気軽なイカダが良いことも伝えると、2つ返事でセッティングをしてくれた。
しかし、弟は予定が合わず、私だけの参加。つまり義父と2人でイカダに乗ることになってしまった。
いざ乗るとなると、げんきんなもので、やる気満々。ヤエン、泳がせのヒラメ、サビキやカワハギの胴つき仕掛け。道具やエサをたくさん用意し、集合場所に向かった。
「荷物、多すぎて怒られないかな」と不安な気持ちで義父を待つ。船着場では早くも先客が船に乗り込み、イカダに渡っていく様子が見える。まずここで度肝を抜かれてしまう。
2人組のミニバンに乗った釣り客の荷物の量がえげつないのである。
三列シートの二列目を、目一杯運転席側に寄せた状態から荷物を下ろしたかと思うと、今度はルーフキャリアから竿のケースを出してきたのである。
引っ越しか!と、ツッコミたくなるような荷物の量。団子用の撒き餌の段ボールは4つにのぼる。
その様子にドン引きしていると、義父がやってきて「今までの経験上、荷物が多すぎるやつは下手や」と聞こえそうな声で吐き捨てた。義父はこういう感じの人である 笑
その義父の荷物は整然とまとめられており、感心させられた。
普段は平日の空いてる時にイカダに乗る義父。今日は私の休日、日曜日に合わせてもらっていたため、乗りたいイカダに乗れなかったと嘆いていた。
その実、チヌは釣れることなく14時半に納竿。
下手くそヤエン師の私はというと、唯一のアタリを係留ロープに巻かれてしまいアオリイカはボウズ。
しかし、アタリを待つ間にサビキでアジとサバを釣りまくった。
しかも波止ではなかなかお目にかかれないサイズ。最初は興奮したが、釣れすぎてしだいに虚無感が押し寄せる。
サビキで釣れすぎると虚しくなるのは何故だろう 笑
帰宅後、アジを捌いて義父ら親戚一同にアジフライを振る舞った。そのほかに、なめろう、刺身。美味い。美味すぎる。
サビキ釣りの虚無感とは裏腹に、味は最高だった。もっと釣ってこれば良かったと、イカダの上で飽きてた自分を悔いた。
食味はアジが一番好きかもしれない。