【016】EV向けアプリ開発 ポータル目指し情報発信
アユダンテ社長・安川洋さんインタビュー
電気自動車(EV)の長距離ドライブに必要なのは、充電スタンドの場所を把握すること。ホンダeは、ナビが最寄りの充電器を教えてくれるので、困ったりはしないが、じつは独立系の検索システムのほうがはるかに高性能だ。
そのひとつが「EVsmart(EVスマート)」という神アプリ。全国の充電スタンドの情報を更新し続けている。純正ナビでは出てこない自治体などの無料充電器も収録。経路検索は、充電込みでルートの提案をしてくれる。めちゃ便利、しかも全部タダ!
どうしてそんなことが可能なのか。たまたまお仕事を通じてご縁ができて、アプリを開発・運営するアユダンテの社長、安川洋さん(55)に話を聞いてみた。同社はIT技術でビジネスを支援するITコンサルティングの会社。EVは事業の一つと位置づけられている。
「目指したのはEVにおけるポータルモデルです。ヤフーがわかりやすいですが、入口を握って顧客との接点をつかむ手法ですね。2014年9月にアプリをリリースしました」
事業化のきっかけは2013年。テスラに試乗して「ガソリン車の時代は終わる」と感じたそうだ。2014年に「テスラ・モデルS」をいち早く購入。17年にSUVの「同モデルX」に乗り換えた。通勤などに使っていて走行距離は年に2万キロに達する。
自分も乗っているから、EVユーザーが必要としているものがわかる。充電器検索に続いて「EVsmartブログ」というメディアも立ち上げた。
「テレビも新聞も、EVに関するニュースをほとんど伝えてくれない。最初は自分で書いたりしていましたが、ファクトをしっかり伝える媒体にするために編集長を招きました。いまは自動車評論家やジャーナリストなどプロが執筆しています。いわばヤフーニュースですね」
事業としては、日産、三菱、アップルなどへのデータ提供や、EVについてのユーザー調査、コンサルティングなどで収益を上げているが、まだ「投資段階」だという。
「いま、EVは新車販売の1%ですが、すぐ10%になって、100%に近づいていく。ユーザーは確実に増える。私たちは品質を大切に、ほんとうに役立つものを提供し続ければいい」
ちなみに社用車は「テスラ・モデル3」で、社員なら仕事でも私用でも使い放題にしている。来年発売の国産EV「日産アリア」も予約していて、2台体制にする予定とか。消費者視点はビジネスの基本だが、育む努力に脱帽。
(夕刊フジ/2021.12.16)