映画ブルーピリオドを観たら、めちゃくちゃ良い作品だった。
俺も今よりもう少し頑張ってみよう、まだまだ底力はあるはず。と素直に思った。仕事や、日々のルーティンとして心掛けている読書、その他大切にしていることを。
初めから終わりまで食い入って観る。こんなに夢中になって映画を観たのは久しぶりである。
主人公、矢口八虎は不良だけど、成績優秀な高校2年生。心の中になにか虚しさを抱えている。
ある時、友人とのオール明けに見た渋谷の朝の景色を青く感じる。その風景を美術の授業で描いたり、美術部の森先輩の作品を観たりして絵を描く悦びに目覚めていく。そして、国立の美大である藝大受験を決意する、というのが物語の始まり。
美術予備校講師大葉の『矢口君の絵はただ見たまんまを描いている。これじゃ藝大には受からない』という言葉が印象に残る。
矢口がその問いに向き合い、答えを出す場面は絵描きとしての進化そのもの。こうやって人は成長していくんだな。
息子の将来のことを考えて最後まで藝大受験を反対する母親との会話も良いシーン。食卓のテーブルで息子の帰りを待ち突っ伏して寝ている母をデッサンで描く。そして、目を覚ました時、母にこんなようなことを言う。
『母さんの手、いつも洗い物しているからひび割れがある。重たい食材の荷物とか持っているから腕には意外と筋肉付いてる。着ているそのニットも、もう何年も同じのだからほつれがある。絵を描き始めたから、そういう事に気づけた。絵って見る以上に知れて、描く以上にわかるんだよ。もっともっと色んなことを、絵を通して知りたい、学びたい。母さん、期待通りの進路に進めなくてごめん。でも俺、絵が好きなんだ。』
描くことに対する深い想い。澄んだ気持ち。
こういう作家の魂のようなものを大切にする美術商になろうと改めて思いました。