私の3つのBASE:CSIのこと
「誰かの役に立つ喜び」の循環を目指して
オフィス結アジア、重度訪問介護事業所 WITH YOUの2カ所で仕事をする傍ら、2018年4月に設立したCSI(Communication for Smile and Innovation)という任意団体の活動を続けてきました。
CSIは、病気や障害により自分の力で日常のコミュニケーションが取りづらい方が夢と希望を持ち、「社会の役に立ちたい」という思いを、笑顔と革新とともに実現するためのサポートを行う組織です。
「僕も塾に行きたかった」
設立趣意に沿って堅苦しく書いてみたものの、つまりどういうことかと言うと。
ある脳性麻痺の少年(もう青年かな?)の「僕も塾に行きたかった」という一言からすべてが始まりました。
彼は、不随意運動といって、意思とは関係なく動いたり筋肉が緊張してしまったりする身体を持っており、声を出して話をすることができます。でも話す声は慣れていない人は聞き取りにくいこともあると思います。
iPadを使って学習・自分にできることを増やすこと興味があり、高橋が会いに行ったのが最初でした。まずどうやったら自分でiPadを操作できるようになるかを一緒に考えているときに、彼がふと言ったのです。
「普通(健常)の子たちは放課後に塾に勉強しに行く。僕も塾に行きたかった。iPad(具体的には障害者向けアクセシビリティ)の勉強とか、したかった。」
高橋
「なるほど〜!
Appleがどうやってアクセシビリティ機能をつくったか知ってる?
身体が動きにくい人たちが『自分たちもiPhoneを使いたいのに使えない!困るじゃないか!』とAppleに伝えたときに、Appleの人たちは『私たちにはどうやったら使いやすくなるかがわからない、だからあなたたちがここで働いてみんなが使いやすいようにしてくれませんか?』と言って一緒に働くことにしたんだよ。
だから君も自分が欲しかったものをつくればいいんだよ。自分が学んだ使い方を、アクセシビリティのことを知りたい別の人に、今度は君が教えられるよ。」
高橋のこの言葉に、彼は「やる!僕も働きたい!」と力強く言ったそうです。
(実は私はその場にはいなかった。笑)
そこから私たちはどうやったらそういう場がつくれるかを考え始め、2018年7月から月1回の湘南コミュニケーション勉強会を始めました。
難病や重度の障害で自分の声で話をする・身体を動かすのが難しい方たちが、ICT(Information Communication Technology)を使って不便を解消するにはどんなことができるかな?ということを、ざっくばらんに話し、研究し合う勉強会です。
より個別のケースに合わせた話がしたいというニーズも聞かれたので、2019年5月からは個別相談を始めました。
これはもう、カウンセリングのようなもの。どこにも正解なんてありません。正直、相談を受けてる私だってわかりません!
でもその人がコミュニケーションを取れるように、一緒に考えること、一緒に試行錯誤してみることはできる。だから私はそうする。
コロナの影響で集まることは難しくなりましたが、最近はオンラインで個別相談を続けています。
また、
「子どもたちに特別支援学校を卒業した後どうやって社会で生きていくかを少しでも考えるきっかけをつくりたい!!」
という私のお節介心が募った結果、2019年7月には「CSIサマースクール2019」を開催することができました。
まぁ、位置付けは塾の夏季講習です。ようやく塾に近いことをやれるようになってきたかなぁ。
CSIが目指すところ
CSIが目指すのは、Happiness Share、喜びの循環をつくることです。
その意味では、勉強会も個別相談も、はじめの一歩でしかありません。でも着実に一歩ずつ進んできました。
どんな人にも、心の奥底に「誰かの役に立ちたい」という思いがあると思っています。
生まれたばかりの赤ちゃんも、お母さんを笑顔にすることが最初のお仕事。「お母さんを幸せにする」という意味で、早速身近な人の役に立つことを本能的にやっているのです。すごいなぁ本当に。
例えば、
誰かに自分が学んだことを教える = 誰かの役に立つ喜び
⇅
新しいことを学ぶ = 教えてもらった人も新しい人・世界とつながる喜び
Assisting someone, Connecting each other, Beyond your handicaps.
どんな病気や障害を抱えていても「誰かの役に立つ喜び」の循環を目指して。
一つ一つは小さくてもいいから、こういう循環を世の中にたくさん増やしていけたらいいな、というのがCSIのミッションであり、たまたま代表として動いている私の1番強い思いです。
そしてこの循環に障害や病気の有無・状態は関係ありません。もっと広く言うなら国籍なども。
青臭く聞こえるかもしれないけど、割と真剣に理想を想い続けていますし、共感してくれる仲間がいるから、希望を感じています。