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【7fb】7人制サッカーで獲得したい5つのスキル

1.はじめに

『7人制サッカー』では、オリジナルの“特別ルール“があります。
この“特別ルール“には、私なりの“想い”が込められています。
私が学校部活動の指導に携わるようになってから、常々感じていたことでもあります。

それは、”相手を観て”プレーできるようになってほしいということです。

『周囲の状況』を認知しているのか。
『ゴール』『味方』『相手』『ボール』『スペース』の位置関係に応じたプレーを選択できているのか。

1種(プロ/社会人/大学生)、2種(ユース/高校部活動)、3種(ジュニアユース/中学校部活動)、4種(ジュニア/スクール)と、すべてのカテゴリーの指導現場に立ってみて、関東・関西と地域を問わず、よく耳にする共通の言葉があります。

「タッチ数を少なくプレーしろ!!」

「テンポ良くボールを動かせ!!」

例に挙げた2つの言葉ですが、どちらも間違ったことは言っていません。
私が問いたいのは、『 ”なぜ” そうするべきなのか理解しているか』ということです。

“目的”と”手段”を一緒くたにしていませんか?

ちゃんと”相手を観て”、プレーを選択していますか?

”相手を観る”ことができるようになれば、誰だってサッカー選手として大きく成長することは明白です。
そうやって、一人ひとりが選手としての土台を築くことができれば、公立校が私立校を苦しめられる日だって来ると信じています。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回のテーマは『7人制サッカーで獲得したい5つのスキル』となります。
具体的には以下のとおりです。

❶ スペースを “意図的に” 創る・使うための『観察する力』
❷ ボールを “意図的に” 前進させるための『見通しを立てる力』
❸ 複数の役割を同時にこなすための『適応する力』
❹ 数的有利/不利な状況に対応するための『応用する力』
❺ ゴールを奪うため/ゴールを守るために『駆け引きする力』

7人制サッカーで獲得したい5つのスキル

次章から、具体的な事例をピックアップして考えていきます。


2.ビルドアップで5つのスキルを磨く

7人制サッカーでは、攻撃側チームが有利な状況でプレーできる設定にしています。

(1) 攻撃時に活用したい特別ルール

① ゴールキック時は守備側チームが相手陣フェアプレーラインまで下がる
② 相手陣フェアプレーラインまではオフサイドの反則が適用されない

※フェアプレーラインとは、ハーフウェイラインから8mの距離に引かれる2本の破線を指す。
図1:7人制サッカーのフィールドとオフサイド非適用エリア

これらの特別ルールによって、攻撃側チームは約40m四方のスペースを得るとともに、落ち着いた状態で攻撃をスタートすることができます。


(2) 攻撃時に考えるべきこと

① ゴールを奪うために、チームとして『どこに』『だれを』配置するのか。
② 自チームの選手配置に対して、相手はどうやって守ってくるのか。
③ 攻撃時の優位性はどこで生まれているのか。

これらのことを踏まえてポジションを取るようにしてみてください。
自分のポジションに意味が生まれ、選手たちは主体的に考えて動くようになります。


(3) 具体的なシチュエーション例

▼モデルケース
自チームの中盤(青D,E)にボール扱いに長けた選手がいる

図2:青のゴールキック時の配置

例えば、図2のように青A~Eの選手がポジションを取った場合、相手チームはどのようにプレッシャーをかけてくるのかを考えて見てみましょう。



図3:前プレ3枚の攻略

例として、相手が3枚で前線からプレスに来て、攻撃側チームがこのようなポジションを取ったとします。
図3における、攻撃側チームのポジショニングの意図としては、以下のとおりです。

ⅰ )『青F』と『青G』で奥行き(深さ)を確保する。
ⅱ )『青A~D』でプレスの的を絞らせない。
ⅲ)『赤5~7』を誘い出すことで『青E』のスペースを意図的に生み出す。

※今回は『青E』がチームの中心選手として、攻撃の起点にする前提に説明を進めています。

さて、青チームの選手配置に対して、相手はどうやって守ってくるのか観てみましょう。
緑色のボールを中心に考えた時、青Aの選手は『赤7』の選手の位置を観ます。


▼パターン1
『赤6-7間』が開いている守り方の場合

図4:『赤6-7間』が空いている場合の攻略

上の図4のような場合は、『青E』の選手を経由して、簡単に前向きの選手を創り出すことができます。
『青E』の選手からしてみると、ワンタッチで『青C』や『青D』の選手を使うこともできれば、それを囮にして自分が前を向くことだってできます。
もし相手3人のプレスを掻い潜ることができれば、青5人 vs 赤3人+GK1人の状況となりビッグチャンスです。


▼パターン2
『赤6-7間』が締まっている守り方の場合

図5:『赤6-7間』が締まっている場合の攻略

上の図5のような場合、『青C』の選手が高い位置を取り『青A』から速いパスを受ければ前線のプレスを剥がして、相手のブロック内に侵入することができます。


3.まとめ

これらは、”相手を観る”ということのほんの一例です。
「相手が○○したら、自分たちは○○する。」
このようにチームとしての共通認識があるからこそ、個々の工夫が生まれます。

「自分たちは○○したい」

だから、、、

特定の味方にできるだけ多くの『時間』と『スペース』を与えたい

そのために、、、

「タッチ数を少なくプレーする」
「テンポ良くボールを動かす」


冒頭で触れた話に戻りますが、本来はこのような思考の順番でなければならないはずです。
にもかかわらず、指導者が手段だけを切り取って指示し続けていると、選手は『手段』と『目的』の区別がつかなくなってしまいます。

7人制サッカーは、攻撃側に有利なルール設定をしており、チームの共通認識を持つことが、11人制サッカーより容易なスポーツとなっています。
だからこそ、大会期間中に”相手を観る”ことを習慣化できると、5つのスキルを身につけられているはずです。
1月からスタートする順位別ラウンドで、選手の皆さんが更に成長し、新年度から始まる中体連主催の大会での飛躍に期待しています。


最後に、5つのスキルを振り返って終わりにしたいと思います。

❶ スペースを “意図的に” 創る・使うための『観察する力』
まずは自分たちの“ねらい”を明確にして、相手の出方を観察します。

❷ ボールを “意図的に” 前進させるための『見通しを立てる力』
次に相手の出方を観て、「どのようにボールを動かしたらスムーズにボールを前進させられるのか」の見通しを立てます。

❸ 複数の役割を同時にこなすための『適応する力』
例に挙げた『青C』や『青D』の選手のように、状況に適応した複数の役割を担うために、サッカー理解を深めます。

❹ 数的有利/不利な状況に対応するための『応用する力』
攻撃時に数的有利な状況になっているということは、ボールを失った瞬間には違うエリアで数的不利な状況が生まれているということです。攻守において、「数的有利な状況ではどのように対応するのがベストなのか」「数的不利な状況ではどのように対応するのがベターなのか」を学習しておくことで、応用が効く選手になります。

❺ ゴールを奪うため/ゴールを守るために『駆け引きする力』
勝負勘は真剣勝負を繰り返すことで身につきます。
ゴール前の攻防が頻発する『7人制サッカー』だからこそ、1点を争うようなギリギリの状況下で沢山の勝負を経験でき、駆け引きする力を養うことができます。


次回は実際の大会試合映像を使用して、解説したいと思います。
では、また。

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