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鹿児島県出水市の本町通り商店街での取り組みを振り返る【3/3】

【4年目:朝cafe@文化堂を1年続ける。"第2の文化堂"を考える。】

 おかげさまで文化堂も様々な利用者さんに使っていただけるようになりました。文化堂は、オーナーさんの理解をいただけたことで、未来会議メンバーでシャッターを開け、新たな形で活用していくことができました。

 これは商店街の景色をひとつ変えることにもつながりましたし、「ここってシャッターを開けるとこんな空間が広がっていたんだ」とか、「文化堂懐かしいなあ~」とか、そんな言葉をいただくことも増えました。

 ここから私たちが考えたことは、この流れをひとつのモデルとして、"第2の文化堂"をつくっていけないか、ということ。とはいえ、それにはまたエネルギーが必要なことになります。実際、文化堂でかかる家賃やランニングコストや改修にかかった費用は、私を含む商店街メンバーで折半していました。少しずつ文化堂が稼働し使用料が入ることで、だいたい1年半ほど経ったくらいから手出しは不要になりました。管理・運営の人件費までは出ないものの、何とか毎月発生する経費を利用者からいただく使用料で回せるようになっていきました。商店街メンバーには、これまで投資してきた分を個々に返済することも相談しましたが、それは要らないよと。これからの活用に投資していこうと言ってくださいました。

 これもひとつ素晴らしいモデルです。ただこのまま私たちが文化堂を活用し続けていくことは当初の目的とは異なります。私たちの理想としていた流れはこうです。

➀未来会議で商店街にある空き店舗のシャッターを開けてみる
②新たな借り手がつき、次の人たちに渡していく
新たに物件を開拓し、第2の文化堂モデルとして活用する

 1年半経ったころはまだ、「②次の人たちに渡していく」アテがありませんでした。しかし巡ってくるものです。ありがたいことに、文化堂ができた当初からダンスレッスンで使用してくださっていた「ダンススタジオWILL」さんから、ここを借りられないかという話をいただきました。

 そこからオーナーさんとのやり取りや、ダンススタジオに向けての改修工事などもろもろ話は進んでいきました。文化堂としてオーナーさんと契約したのは2017年11月。そこから約2年4か月後の2019年4月からは、ダンススタジオWILLさんとオーナーさんの間で新たな契約が完了しました。

 文化堂で直接契約していた頃は、私たちもどんな動きになっていくかわからなかったため、1年更新で契約をしていました。しかし、WILLさんはダンススタジオとして壁に鏡を貼るなどの投資をしていることもあり、契約期間は5年。つまり私たち文化堂としての手を離れはしましたが、新たな借り手がつき、ここから5年。また新たな景色ができていく、ということになりました。こちらが鏡張りと床もダンスに適した素材に改修。

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 WILLさんの契約にはなったものの、引き続き文化堂としてもレンタルスペースの運用で1年間は関わらせていただきました。日本商工会議所さんのほうでも未来会議の動き、空き店舗の活用について紹介いただきました!うれしい!そしてとても分かりやすくまとめていただいている(笑)

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 話は少し戻ります。4年目は、商店街の実店舗・空き店舗調査としてアンケートを行い、より空き店舗活用や新規創業の流れを商店街にもってこれないかを考える動きになっていきました。一見シャッターも多く、空き店舗を借りてほしい方も一定数いらっしゃるのではないかと思っていましたが、アンケートだけで「すぐに借りてがついてほしい!」という回答が出たのは1件のみ。

 商店街に新たな風を入れる、それはあきない(商い・飽きない)商店街づくりのためには必要なこと。そのためには活用できる物件の開拓が必須なのと、「商店街にお店を持ちたい」「ここで何かできるかもしれない」という空気感や挑戦しやすい土壌づくりを考える必要性も感じていました。

 同時に、昔からここで商売されている既存店舗さんも多い中で、そこへのリスペクトも強くあります。新規創業だけじゃない、まだまだこれから挑戦したいと思っている既存店舗さんへの支援や、事業を持続していくうえで必要なサポートもあるだろうと思いました。そのあたりは、行政の委託事業を受けていることもあって、行政さんと常に議論ができる機会があることがとてもありがたいです。同時に私は商店街の人たちと行政をつなぐ役割を担っていることにもなります。この動きをさらに進めていくために、いったんここまで取り組んできたこと、そしてこれから取り組みたいことをお伝えし、商店街の皆さんにも意見をいただく【商店街の未来を語る会】を開きました。もちろん場所は、文化堂で。

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 久しぶりにかなりの緊張と準備をしたこの場。人数は少ないですが、来てくださった方々からいろんな意見をいただくことができて嬉しい時間でした。そしてこういう場が必要だという声もいただき、みなさんもっと今の動きを知りたかったり、話をしてみたかったり、そう思ってくださっているんだということを知れたのは大きな収穫でした。


 4年目の後半、文化堂も一区切りつくところまできました。そろそろ私も次の動きに着手したい。新しい風を入れる、チャレンジしやすい土壌をつくる、そのために私ができることは?

・・・商店街のことをやっていくんだから、私も商店主になってみよう。そうしたらもっと見えるものも、できることも増えていくかもしれない。

 そう思いました。そしてここにきて、アンケート結果が活きてきます。「すぐに借りてがついてほしい」と回答があったのは1件。そこだ!!!

 物件のオーナーさんはもともと私が出水に関わり始めた初年度からお世話になっている、100年以上の歴史を持つ味噌醤油屋の『藤本醸造店』さん。その物件は、1階が店舗・2階が住居になっている物件。お店もできるし、住むこともできる!好条件すぎる。早速リサーチへ。

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 場所は商店街のなかの角地。ガラス張りで、中からも商店街の景色がよく見えるし、外から見てもきっと「ん?何かお店ができた??」と気づいてもらえるはず。こんな一等地、私が借りていいのかしら。

【5年目:拠点をつくる、新たなチャレンジへ。】

 さて、5年目に突入する少し前から拠点づくりには着手し始めました。そして2019年6月7日にオープンしたのが「すみとカフェ」です。

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 ここ、すみとカフェができるまで。オープンして1年の振り返りブログはこちらからよかったらどうぞ。


 商店主となって、地域との関わりも、見え方も、人とのつながりも。変化し始めたように思います。そしてこのチャレンジは間違いなくやってよかったと確信しています。

 すみとカフェはただのカフェというよりは、チャレンジショップの機能も兼ね備えています。それは商店街の未来を語ろう会でも話した通り、チャレンジしやすい土壌づくりとその空気感をつくっていくために、いろんな人たちに関わってほしかったからです。そしていつ来ても楽しめるようなサービスを提供したかった。そのためにいろいろ試行錯誤した5年目でした。

 同時に、5年目はより"回遊性を高める"方向に進んでいったように思います。魅力的な店舗やサービスが生まれることによって、商店街のなかを回遊していく。出水を楽しむスポットとして"商店街"を選んでもらえるように、そして地元の人たちにももっと商店街を知ってもらえるように、できることを考えていきました。

 その取組のひとつが、商店街~麓エリアを対象としたストリートマップの制作です。その名も「OH!JIZO STREET MAP」。なぜにJIZO(地蔵)?それはもう、商店街の中心には「日本一のお地蔵さま」があるからに違いありません!

お地蔵様

どーんっ。笑 どうも、私が日本一のお地蔵さまです。一刀彫のお地蔵さまのなかでサイズが日本一なのですよ!ほほほほほ。

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これは日本一のお地蔵さまの前で繰り広げられた節分イベントの1シーン。シュールすぎるw お地蔵様に見守られながらの「鬼VSイズミライ」の戦いです。

こんな貴重なお地蔵さまに見守られている商店街ですから、お地蔵さまをたてる他ありませんってことでできたのがこちらのストリートマップ。

【最終版】ohjizostreetmap_page-0001

【最終版】ohjizostreetmap_page-0002

よかったらPDFでもどうぞ。

 出水のお隣、水俣のデザイナーご夫婦「HUNKA」さんにお願いして、お地蔵さまをはじめとしたイラストを手掛けていただき、リーフレットの制作には、いちき串木野市の元地域おこし協力隊の小林さん(ALUHIというフリーマガジンの製作・編集を手掛ける)とテンラボのれいこっぷに協力をいただいて作成。印刷は、地元の丸尾印刷さんに素敵に仕上げていただきました。

 実際に制作したものがどのように人の手に渡り、活用されているか。それらをすべて把握することはできませんが、少なくともすみとカフェに置いてあるこのマップを手に取り、お客さんが次の行き先を決めたり、商店街~麓にこんなお店やスポットがあるんだという話をしている姿を直接目にできることが嬉しいです。さらに、実際にこのマップを片手に商店街を歩いてくださる方々もいらっしゃいます。少しでも商店街を知ってもらい、回遊してもらうサポートとして、これからもマップが活用されるといいなと思います。


 さてさて、長くなりましたが、ここまで5年間の出水での取組を、すべてではないですがお伝えしてきました。私自身も書きながら振り返っていきましたが、忘れていること、抜け落ちてしまっていることもたくさんある、ということに気づきました。

 あの時感じた違和感に、いまの自分が向き合ったときにどんなことを感じるか。あの時閃いたこと、あの時できなかったことを、いまの自分ならどんな形でできるだろうか。いろんなことを考えました。

 noteさんありがとうございます。そしてこんな機会をくれたテンラボの皆様、出水の皆様、いつもお世話になっている皆々様、いつも本当にありがとうございます。また頑張れます。まだまだ頑張ります。振り返りながら未来のことも、このnoteで触れていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

2020年6月 飯福あすみ

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