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【第4項】結果に注目する自動詞・原因に注目する他動詞

本文公開の第2弾は
第4ユニット「結果に注目する自動詞・原因に注目する他動詞」です。
(第1弾はコチラをご覧ください)

学校で誰もが習った「5文型」。
英語を理解する上で、とっても重要なんですが、
今ひとつピンとこない。
そんな人が多いのではないでしょうか。
時吉先生によれば、
「動詞の力の方向」に注目しよう
とのことなのですが、
どういうことなのでしょうか……

時吉 さて、ここからはボディパラグラフの中身を作っていくために必要な英文法を解説していきます。

——「説得するための英語」は「意見+理由」の表明が肝なんですよね。

時吉 そうです。この章では動詞の使い方を理解していくのですが、因果関係や意見をスマートに表現できるような動詞の「型」を解説します。その概念は、文型に沿って理解していくとわかりやすいですよ。

——文型かぁ……。学校で第1 ~第5文型までの区別はできるようになったんですけど、だから何?って感じで……

時吉 わかります。ライティングとスピーキングで能動的に英語を使えるようにするためには、言葉の気持ちがわからないといけません。ここでは「文の形のパターン」を追いかけるのではなく、「動詞の力の方向」に注目することで、文型の「気持ち」を理解していきます。

——動詞の力の方向、ですか……。

時吉 今回は第1文型と第3文型、つまり自動詞の文と他動詞の文を理解しましょう。まずは第1文型。ここで使われる動詞は、自動詞と呼ばれます。これは自分から出た力が自分自身を動かす、という動きです。例えば

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のopenという動詞は「ドアから出た開くという力が自分自身に作用して、その結果ドアが開く」ということです。実際には誰かが開けることでドアが開くのですが、「開ける人」ではなく、「ドアの動き」に話し手が注目して言語化した結果生まれる表現です。

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——言語表現というのは客観的な事実よりも、話し手が世界をどう切り取るかの現れなのですね。

時吉 次は第3文型。ここで使われる動詞は他動詞と呼ばれます。自分から出た力が他者に働きかける、という動きです。この働きかけを受ける「他者」というのが目的語です。例えば

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なら、「私」から出る「開ける」という力が「ドア」という目的語に働きかけ、結果としてドアが開く、ということを表現しています。

——なるほど、第1文型と第3文型は自動詞の動きか、他動詞の動きか、という意味で対照的なんですね。

◉結果に注目する自動詞・原因に注目する他動詞

時吉 動詞の力の方向性がわかったところで、これを因果関係の表現として見てみましょう。

——はい。

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時吉 increaseという動詞があります。「増える」という意味にも「増やす」という意味にもなる言葉です。「増える」と「増やす」という2つの日本語、どちらが自動詞でどちらが他動詞か、わかりますね?

——「増える」は自分が自分で増えていくので自動詞ですね。「増やす」は自分が他者である何かを増やしていくので他動詞です。

時吉 よくできました。実は自動詞と他動詞には、因果関係において重要な特徴があります。

——何ですか?

時吉自動詞は結果に注目し、他動詞は原因に注目する、というものです。例えば、

The cup broke. 「カップが割れた。」
Andy broke the cup. 「アンディがカップを割った。」

という2つの文を見てみます。自動詞の「割れた」の方では、カップがどうなったかという、「結果」に注目する表現になっています。一方で、他動詞の「割った」の方では、誰のせいでカップが割れたのかという、「原因」に注目する表現になっています。

——本当だ。

時吉 他動詞の文というのは原則的に、主語が原因で、動詞+目的語が結果を表すことになります。

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1つの現象をどう捉えているかで、自動詞と他動詞の使い分けを考えるようになるわけです。

——例えば?

時吉 それを今から考えてもらいます。先ほども述べたように、increaseという動詞には、自動詞の「増える」という意味も、他動詞の「増やす」という意味もあります。これをあなたの伝えたい気持ちによって、使い分けてみてください。

【問題1】
あなたは、去年の売り上げが8%上昇していることを伝えようとしています。空欄の中に、適切な言葉を入れて分を組み立ててください。動詞はincrease、時制は過去形、「売り上げ」はsalesです。


(        ) by 8% last year.
【問題2】
あなたは、販促活動のおかげで去年の売り上げが8%上昇していることを伝えようとしています。「うまくいった販促活動」を主語にして、空欄の中に適切な言葉を入れ文を組み立ててください。動詞はincrease、時制は過去形、「売り上げ」はthe sales、「うまくいった販促活動」はour successful promotionです。


(        ) by 8% last year.

時吉 さて、問題1と2では、どちらが自動詞でどちらが他動詞の文であるべきでしょうか。

——そうですね……、問題1では、売り上げが上がった、という結果の部分に注目が集まっているから自動詞ですね。問題2は販促活動という原因が売り上げを押し上げたという風に、原因の分析に注目が集まっているから他動詞ではないでしょうか。

時吉 その通りですね。問題1は自動詞を使います。つまり、「売り上げが自分で上がっている感じ」であって、他者に働きかけるわけではありませんので、主語がthe sales、動詞はincreaseで、目的語は不要ですね。解答例は以下のようになります。

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そして問題2は他動詞を使います。つまり「うまくいった販促活動が、売り上げに対し、上昇という力で働きかけていく」ことを表します。解答例は以下のようになります。

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時吉 さてここで1つ質問です。我々が目指す「説得のための英語」にとって、よりふさわしい文はどちらの文だと思いますか?

——説得に、ですか……。

時吉 説得には、因果関係の説明が効果的です。つまり、結果だけを述べる自動詞の文よりも、原因と結果を分析的に述べる他動詞の文の方が、説得にはより効果的だ、ということになります。もちろん、説得の中にはデータなど、「こんなことがあった」「こういうふうになった」というさまざまな「結果」を相手に伝えるシーンもありますから、それを表す時には自動詞の文を使っていけばよいでしょう。

——なるほど、原因と結果、どちらにより注目するかで自動詞と他動詞を使い分ける、ですね。

(第4ユニット 了)

……

【本文公開予定】
全40ユニットのうち、以下の8ユニットを公開予定です

【第1項】そもそも英語で何を発信すればよいのか
【第4項】結果に注目する自動詞・原因に注目する他動詞
【第6項】原因が人に、結果を渡す
【第10項】とにかく現在形を使う
【第13項】英語話者は「モノ」の何を見ているのか
【第14項】aは常に2つの意味を持っている(4月10日公開予定)
【第24項】allとeveryとanyの違い(4月12日公開予定)
【第33項】関係詞の制限用法と非制限用法(4月14日公開予定)

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