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【第6項】原因が人に、結果を渡す

言いたいことが100%伝わる! 英文法の極意
時吉 秀弥/アスク出版
(2021年3月30日発売)

本文公開の第3弾は
第6ユニット「原因が人に、結果を渡す」です。
(過去記事はコチラ → 第1弾第2弾

時吉 5つの文型のうち、最後は第4文型を説明します。第4文型(S V O1 O2)そのものが持つ意味、というものがあります。それは「渡す・与える」という意味です。

——単に「~に…を」という形だけなんだと思っていましたが、この文型に「渡す・与える」という意味が備わっているのですか?

時吉 単語や熟語に独自の意味があるように、構文にも独自の意味が備わっている、ということが言語学者の間で議論されています。その中でも最も注目されている構文の1つがこの第4文型で、正式には二重目的語構文と呼ばれます。

例えばbuyは「買う」という意味で、どちらかというと「手に入れる」イメージであり、渡すイメージではありません。例えば、ちょっと変な文ですが、

イラスト01-1

という文のbuyは、両親を手に入れる、というイメージはあっても、両親に何かを渡す、というイメージはないわけです。

イラスト01-2

けれども、buyを第4文型で使うと「買う」という意味に「渡す」という意味が加わり、

イラスト02

イラスト02-2

となるのです。

——確かに!

◉原因が主語になる文はライティング向き

時吉 さて、この第4文型ですが、ライティングつまり「人を説得する英語」により向いている使い方があります。

——というと?

時吉 自動詞と他動詞でincreaseの話をしたとき、同じincreaseでも自動詞(増える)と他動詞(増やす)なら、どちらが説得に向いていたんでしたっけ?

——他動詞のincrease(増やす)でした。「原因」が主語になって、「increase +目的語」は結果を表すので、因果関係がはっきりするから。

時吉 その通りです。原因を主語にするとよりスマートに因果関係を表すことができます。ここでは原因を主語とする第4文型の文を練習しましょう。

第4文型は、「主語がO1にO2を渡す」という形をとります。例えばHe showed me some pictures.ならheがmeにsome picturesという視覚情報を渡していることになります。原因を主語にすると、「原因が、人に、結果を渡す」という言い方ができます。

ここではsaveという動詞を使って考えてみましょう。saveというのは「救う、貯金する、節約する、とっておく」などいろいろな意味がありますが、その根っこの意味は「放っておいたら流れて消えてしまうはずのものを、消える前にすくい上げる」ということです。

イラスト03

お金なんかは入っては出ていくもので、放っといたら消えて無くなるものですが、出ていく前にすくいあげれば、それは貯金したり、節約する、という意味になります。

イラスト04

時吉 この文では、ヴァイラル・マーケティングという販促方法が、消えてしまうはずのお金をすくい上げて、その恩恵を私たちに渡してくれた、ということを第4文型が表してくれています。

——なるほど、こういう、原因が人に結果を渡す、ということを表す第4文型の動詞には主にどのようなものがありますか?

時吉 よく使われる動詞はそれほど多くはありませんので、覚えておいて欲しいですね。give(与える), show(示す), tell(教えてくれる), save(取っておく、手間を省く), cost(費用がかかる), cause(引き起こす)といったところです。

イラスト05

イラスト06

【問題】
以下は「歴史を学ぶ意義について」書かれたエッセイです。以下のイントロダクションにある3つの理由のうちの1つを使い、「なぜ歴史を学ぶことは重要なのか」に関して80 words程度のボディパラグラフ(第1章第3項参照)を1つ書いてください。ボディパラグラフの展開においては、「なぜ」「例えば」「そうするとどうなる」「それはつまりどういうことか」の4つの問いを自分に問いかけながら意見を展開するようにしてください。

      These days, more and more people are discussing whether we should study history. Some people think it is important to study history, while others donʼt. Considering that history helps us understand who we are, helps us understand people who are different from us, and helps us make better decisions, it is important to study history.
      It is important to study history because . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .  Since …, it is important to study history.

時吉 以下に解答例を示しておきますね。

【解答例】
      It is important to study history because it helps us make better decisions. For over several thousand years the way humans think has not changed and we can learn a lot of things from the past. Studying history may give us a way to solve the problems we are tackling now. Taking a look at past mistakes will prevent us from making the same mistakes again. Knowing history makes us smarter and could make the world a better place. Since it helps us make better decisions, it is important to study history.

 よりよい決断の役に立つので歴史を学ぶことは重要だ。数千年以上に渡って人間の考え方というのは変わっておらず、我々は過去から多くのことを学ぶことができる。歴史を学べば現在我々が取り組んでいる問題の解決策が見つかるかもしれない。過去の過ちに目を向けることで我々は同じ過ちを犯さずに済むだろう。歴史は我々を賢くし、世界をよりよい場所にすることもありうるのだ。というわけでよりよい決断の役に立つので、歴史を学ぶことは大事である。
【解説】
ボディパラグラフの内容は、以下の通り「4つの質問」に対応して論理が展開されている。
「よりよい決断の役に立つので歴史を学ぶことは重要だ。(なぜ?)数千年以上に渡って人間の考え方というのは変わっておらず、我々は過去から多くのことを学ぶことができる。(学ぶとどうなる?)歴史を学べば現在我々が取り組んでいる問題の解決策が見つかるかもしれない。(学ぶとどうなる?)過去の過ちに目を向けることで我々は同じ過ちを犯さずに済むだろう。(それってつまり?)歴史は我々を賢くし、世界をよりよい場所にすることもありうるのだ。というわけでよりよい決断の役に立つので、歴史を学ぶことは大事である。」
第3文、第4文、第5文はすべて「原因を主語にした因果関係を表す文」。

イラスト07

という構文で、「原因」を主語にする構文の中でも最も便利な構文の1つ。

(第6ユニット 了)

……

【本文公開予定】
全40ユニットのうち、以下の8ユニットを公開予定です

【第1項】そもそも英語で何を発信すればよいのか
【第4項】結果に注目する自動詞・原因に注目する他動詞
【第6項】原因が人に、結果を渡す
【第10項】とにかく現在形を使う
【第13項】英語話者は「モノ」の何を見ているのか
【第14項】aは常に2つの意味を持っている(4月10日公開予定)
【第24項】allとeveryとanyの違い(4月12日公開予定)
【第33項】関係詞の制限用法と非制限用法(4月14日公開予定)

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