【こわいけど好き団】ホラー作品
こわいけど好きなもの。
ホラー作品もそのひとつ。
意味がわかるとこわい、
幽霊が出てくる、
ポルターガイスト、
宗教、事件、都市伝説、言い伝え、
とにかく雰囲気だけこわいやつなど。
よくわからないけど、
ホラーと一言で言ってもジャンルは沢山ある。
私はスプラッタ系以外は見る。
いや、強がりはよそう、みれる。
頑張ればみれる。
私がホラーに興味を持ったきっかけは
2つある。
ひとつ目は、
よくうちに来ていた母の友人Cさん。
Cさんはうちに来ると、一緒にご飯を食べたあと、よくこわい話をきかせてくれた。
「近くの公園で昔...」
「100kmババアって知ってるか?」
「これは私が小学生の頃の話で...」
このCさんはお話しが上手で、
子どもだった私はすぐに心を掴まれた。
Cさんが来る度にこわい話をせがみ、
こわいこわいと言って盛り上がり、今度はいつ来るんだと母によく尋ねていた記憶がある。
今思い返しても、本当の話なのか作り話なのかわからないものも多い。耳を傾けている最中に、頭の中で映像化される物語。聴いた直後の「こわい」と後を引く「謎」や「不気味さ」。
私のホラーの原体験は
Cさんの語るこわい話だった。
ふたつ目のきっかけは、
これまた母の友人Mさん。
私たちは月に一度か二度、Mさん宅によく遊びに行っていた。家族ぐるみで仲が良く、一緒にクリスマスや正月も過ごすほどだった。
それはある年のクリスマス。
夕食を終えてくつろぐ私たちのもとに、ニヤニヤしたMさんがやってきた。
「見せたい映画がある」
「でもこれは、とても謎が多い作品だから、最後まで注意して観ないといけない。大丈夫?」
なんだそのセリフは。
そそられるじゃないか。
私たちはふたつ返事でOKし、
大きなテレビの前で何を見せてもらえるのかと、
ドキドキしていた。
Mさんの話しぶりからして、
直感でホラーだとは予測していた。
…が、内容とそのダメージまでは予測できなかった。
私たちが見たのは
『パラノーマル・アクティビティ』だった。
1週間以上引きずった。
お化けも幽霊も出てこないのにとっても怖かった。不可解すぎるし。謎しか残らなかった。ご飯を食べても、勉強してても、シャワーを浴びてても、頭の中でパラノーマル・アクティビティが再生されていた。1番怖かったのは、寝るとき。
私も夜中あんな風に何時間も立ってたらどうしよう。トイレでふと目を覚ましたとき、家族の誰かが立ってたらどうしよう。
ってかなんであんなこわい作品をMさんは見せようと思ったんだ!Mさんが1番こわいよ!なんだよ!ニヤニヤして!もう!あー・・・パラノーマルアクティビティを知らなかった私にはもう戻れない。こわいよ〜。こわいよ〜・・・。
(余談:数年後、私は付き合った恋人に、
ニヤニヤしながら見せたい映画があると言って
『パラノーマル・アクティビティ』を見せた。
見終わった後、恋人は少しムッとしてたが、私は少しスッキリした。へっへっへ〜。あなたはもうパラノーマルアクティビティを知らなかった頃には戻れないぜ〜。Mさんの気持ちが少しわかる。Mさんは私たちと、こわさを共有したかったんだと思う。)
このふたつのきっかけがあって、
私は心のどこかでホラー作品を求めるようになった。
ただし、こわい。
ビデオ屋のホラー作品のコーナーは、
棚に目を向けられないくらい、こわい。
見たい気持ちがあるのと、
見れるのは違うのだ。
見たいけど見たくない。
「見たいけど見たくない」は、
万人がホラーに対して抱く感情だと思っている。
その中でも私は特に怖がりだと自負している。
でもあるのだ〜・・・見たい欲が〜・・・。
なので、とても慎重に作品を選ぶ。
あらすじを読んで、パッケージをみて、
あっ怖すぎる、となったらすぐ候補から消す。
二度と「見ようかな?」なんて思わないように、
あらすじだけを把握して、心の中で視聴済みということにする。
こわいもん。
そんなこんなしつつ、
私なりにホラー作品と程よく遠い距離で仲良くしていたが、面白いことがおこる。
ホラー作品への出演依頼だ。
ちょっとしたYouTubeの恐怖映像や、
「ほん怖」や「世にも奇妙な物語」で
ひーひー言ってる私からすると、
撮影現場は怪奇現象まみれで
機材トラブルが多発して…
出演者は祟られそうで…
なんでわざわざ怖い映像撮るんだ!
(いや自分見とるやん、
というツッコミは置いといて)と思っていた。
ただ業界内では、
「ホラー作品の現場は楽しい」とよく言われている、らしい。
らしい、というのは、
私にそう教えてくれた先輩が「ホラー作品の現場は楽しいらしい」と言ったからだ。噂の又聞きだ。
【こわいけど好き団】出動。
私は依頼を快諾し、ホラーの現場に入った。
噂は本当だった。
めっ……ちゃくちゃ楽しい。
狂気乱舞するほど楽しい。
何度かホラー作品への出演をしたが、
おばけ役のときが特に楽しい。
私の一挙手一投足でカメラが回ってない時にも
共演者やスタッフから悲鳴があがる。
快感。
本物のおばけもこの反応が面白くて
人をおどかしたりするのかなと思うくらい。
ホラー作品は、出る分に関しては、
「こわいけど好き」から「好き」に昇格。
見る分に関しては、
まだ「こわいけど好き」にいてもらおう。
CさんやMさんにもいつか、
私の出た作品観てもらいたいなぁ。