ハルジオンからサヨナラの意味で見る乃木坂全盛期論
昨日ノリで書いたらちょろっと反響あったよ。やったね。調子こいて続き書くかもっていう匂わせみたいなこと言っちゃったよ。やっちまったね。というわけなんで自分は約束は守る素晴らしい人間性の持ち主なのでちゃんと続き書きます。お前らちゃんと読めよ。なんなら1000人いるはずの俺のフォロワー全員いいねくれよ!!!失言はほどほどに話を進めます。
「君の名は希望」とかいう奇跡のその後
2013年夏、乃木坂運営は生駒里奈をセンターから外すっていう一大決心をします。つまりエース一人に頼る一強体制をやめて、誰がセンターを務めても強い乃木坂を作ることにしたのです。これってどのメンバーもキャラ的な強さが無いとできないわけでさ、よく自称進学校で学年で一番頭いいやつだけ東大に行かせるためにそいつだけ育てるのと、学年全員で東大目指すぞってなったら、普通の自称進学校は楽な前者を選びがちじゃん。でも乃木坂運営は難易度の高い後者を選んだわけだからマジリスペクト。
2010年のワールドカップでのアルゼンチン代表って知ってるか?当時世界最強のチームだったバルセロナの絶対的エースだったメッシが主力として挑む最初のワールドカップってことでアルゼンチンは優勝候補の一つだったんだけど結果はベスト8で敗北、しかもメッシにいたっちゃノーゴールだったのよ。なんで天才メッシがいたのに優勝できなかったかって?答えは簡単でチームがメッシに依存するあまり、メッシを抑えられたら何もできなくなるから。絶対的なエース一人に頼るってのは諸刃の剣みたいなもんで、そこを抑えられたら総崩れしちゃうんもんなのよねえ。欅坂はまさにそれで終始平手友梨奈の不安定さに振り回されることになってしまうんだけど。
じゃあその大会優勝したのはどこかっていうと「無敵艦隊」の異名を持つスペインなんだよね。俺はスペイン代表のことを11人の最強の球捌きって勝手に呼んでるんだけど、そんくらいスペイン代表はサッカーが引くほどうめえ。乃木坂ってまさにスペイン代表と同じで全員が個性的なスーパースター集団なんだよね。白石麻衣はチームの顔って意味じゃまさにイニエスタだし、点取り屋のビジャなんかまんま西野七瀬で、天才肌の変態テクニシャンのダビドシルバは生田絵梨花、チームの心臓のシャビは橋本奈々未、守護神カシージャスは生駒里奈、精神的支柱プジョルこと深川麻衣、シャビアロンソの美しいロングパスはさゆりんごパンチそのもの、おまけに悪質タックルの応酬って意味では真夏さんとセルヒオラモスはもはや同一人物。あと強いチームってのは控えも豪華。いぶし銀の強いストライカーペドロは伊藤万理華、癖の強いテクニシャンのマタは堀未央奈、当時の若手ナンバーワンストライカーのフェルナンドトーレスは端正なルックスって意味で齋藤飛鳥。な?タレントしかおらんやろ?????
この個性的なスーパースター軍団を活かすってなると、最強のクリエイターたちが勢ぞろいするわけで、乃木坂はよりクリエイティブなグループになるわけなんですよ。そんなわけで楽曲においても高クオリティな楽曲が揃うことになります。
アイドルの卒業って難しいんですよ
そんなこんやで2015年には念願だった初の紅白歌合戦に出場を果たし、着実に国民的アイドルへの階段へと歩んでいきます。しかしここで乃木坂に二つの誤算が生じます。一つ目の誤算は乃木坂がこれまで培ってきたクリエイティブ面でのノウハウを欅坂に注いだことで、乃木坂より高い知名度を得てしまったこと。二つ目はこの時点で主力メンバーの何人かがアイドル適齢期を超えていたこと。
2016年といえば深川麻衣と橋本奈々未というゴリゴリの主力メンバーが卒業します。これってさっきでいうシャビとプジョルのことなんだけど、この二人って南アフリカ大会ではベテランかつ精神的支柱としてチームを支えてたんだよね。だから次のブラジル大会ではプジョル引退で不在とシャビが衰えによる不調でまさかのグループリーグ敗退を喫しちゃうんですよ。つまり精神的支柱を欠くことが確定した乃木坂が国民的アイドルになるためには時間が無いのは明白です。
最初の別れの歌「ハルジオンが咲く頃」
というわけで2016年の乃木坂めっちゃ売れるのに必死になります。その証拠にこの年出したシングル表題曲3曲のうち2曲が売れるでお馴染みカノン進行で作られてまーす。ついでにいうとこの年出したアルバムからのリード曲「きっかけ」もカノン進行でーす。乃木坂運営本気でーす。
この曲実は乃木坂の音楽面の全てを結集した一曲で、俺が乃木坂知らない奴に「乃木坂でいい曲教えて」って言われたら多分これ勧める。「君の名は希望」「何度目の青空か」直系の華やかなストリングスに「制服のマネキン」「命は美しい」で培った打ち込みを駆使したダンスミュージックで奏でられる楽曲を乃木坂の空気感を最も体現したメンバーである深川麻衣をメインに据えた、ある意味乃木坂の集大成がこの曲なんですねえ。
きっかけと齋藤飛鳥
この年乃木坂の音楽が少し報われた時が来ます。なんとあの天下のミスチル桜井が「きっかけ」を雑誌のインタビューでべた褒めし、さらにはライブでカバーするという事件が起きます。ていうかアルバム曲の「きっかけ」を知ってるていう所が怖え。こないだのThe 1975のマティーが京都のインディーズバンドの音源を自分のプレイリストに入れてたように、プロの目の付け所はやっぱ違うよな。
次のシングル「裸足でsummer」で次世代エース齋藤飛鳥を初めてセンターに据えます。翌年以降白石西野と共にメッシスアレスネイマールばりの強力な3トップとして君臨するのでこの目論見は大成功を収めますし、さらなる新規ファンを開拓します。ちなみに先ほど述べた通りこの曲と「きっかけ」は日本人大好きカノン進行で、明るくも切ないメロディーで「ガールズルール」と共に夏の乃木坂を象徴する一曲になります。
一時代の終わりを感じさせた「サヨナラの意味」
11月に16枚目のシングル「サヨナラの意味」がリリース。橋本奈々未が卒業、さらには芸能界引退という衝撃なニュースをはらんだこの曲は「ハルジオンが咲く頃」以上に別れに対するリアリティ性を内包してんのよ。多分乃木坂運営の力の入れ具合を見ても、このシングルが一つの時代の区切りになるかもしれないということを悟っていたのかもしれない。まず10分近いストーリー仕立てのミュージックビデオ、過去一スタイリッシュなジャケット写真、極めつけは収録曲。
「サヨナラの意味」
「孤独な青空」
「あの教室」
「ブランコ」
「2度目のキスから」
「君に贈る花がない」
「ないものねだり」
マジ(What's the Story) Morning Groly?じゃんこんなん。
神曲しかねぇ。ネブワースに25万人集められるレベルで神曲しかねぇ。強いて言うならセルヒオラモスリスペクト軍団の「2度目のキスから」ぐらいしか文句ねえもん。青春の悩みとか葛藤を描いた「孤独の青空」、オルガンが印象的なフォークナンバー「あの教室」、壮大なサウンドの「ブランコ」、みんな大好きサンエトの「君に贈る花がない」、
そして乃木坂ソロ曲最強の「ないものねだり」いつだってわがままばっかでこどもみたいねって歌ってるKANA-BOONのやつとは違って、こっちは大人でジャジーなスーパー名曲。個人的に2016年の邦楽ベストトラックは「stay tune」「琥珀色の街、上海蟹の朝」「真夏の通り雨」「ないものねだり」の4強だと思ってる。そんぐらい名曲だし、こんな置き土産残して芸能界引退した橋本奈々未はマジで罪深い。多分男振ったらその男に未練がましくSNS監視されるタイプの女だと思う(偏見)。結論ななみんかわいい。
その後
EX〇LE風に言うと乃木坂の第1章はここで終わるんだけど、ここから乃木坂にとってうれしい誤算の連鎖が起こります。まず絶対的王者AKBががっつり凋落。空いた王者の席には既にアイドルグループとして完全態となった乃木坂のものになります。そんで深川、橋本を失った喪失感を3期生のフレッシュさでカバーという力業でねじ伏せます。さらに欅坂が内部崩壊で大失速。乃木坂は最小限の争いでアイドル戦国時代の王者として独走することになります。とはいえ失ったものがでかいのは確かなわけで、今のスペイン代表がパスサッカーに固執しなくなったように、乃木坂のクリエイティブな要素は影を潜めるようになった。最新シングル「しあわせの保護色」のジャケット写真なんか昔の乃木坂じゃありえないぐらいダサいしな。
こんなこというと「これだから古参は~」とか言われそうだが、安心してください。俺はインフルエンサーで乃木坂にハマった。だから全盛期の乃木坂全く知らん。多分そんな感じだから昔の乃木坂の映像とか見るとこんなすげえ時代あったんだなぁと感じるわけで、乗り遅れたことを後悔しているんですよ。っていう言い訳。でもそんなみんなにうれしいお知らせ。乃木坂、久しぶりにすげえ曲作ったぞ。