「音楽を流しながら勉強する」の効果が研究で明らかになった件
結論:音楽を聴きながら勉強するのは科学的にみると間違い。逆効果。
勉強中に自分の好きな音楽を流す。
あなたもスマホの音楽アプリで聴きながら勉強したことはありませんか?
実は音楽を聴きながら勉強すると、記憶力とか集中力が下がることが研究で明らかになってます。
こういうと
「でもBGM流してるほうが勉強進むよ?」
と思う方もいるかもしれません。
でもこれも錯覚。
本当は音楽のせいで自分の能力が下がってるのに、「音楽を流せばガンガン進む!」と思い込んでしまう。
そこで今回は、
・なぜ私たちは音楽を聴きながら勉強するとはかどると勘違いするのか?
・逆に音楽を勉強に活かす方法はないか?
について紹介します。
勉強中の音楽はパフォーマンス下げる
ウェールズ大学の研究チームが学生を対象にした実験です。
音楽を聴きながらの勉強は効果があるのか調べるため、次の2つのグループにわけてテストを受けさせました。(R)
・1 音楽を聴きながらテストを受ける
・2 音楽は流さずに無音の状態でテストを受ける
するとどうなったのかというと、音楽を聴きながらテストを受けたグループが無音のグループと比べて約50%も成績が低下したんです。
平均点が70点だったら音楽を流すと35点になっちゃう。
もう赤点です。
原因は音楽を聴くと脳がマルチタスクの状態になって、集中力が分散されてしまうから。
音楽を聴きながら勉強するのは友達の話を2人同時に聞いて答えるようなもの。
話は一人ひとりきいた方がいいのと同じように勉強するときは勉強だけに集中したほうがいいってことになります。
テンポの速い曲、遅い曲、環境音で比べた別の研究をみてみても、無音でテストを受けた学生より音楽を聴きながら勉強したグループは成績が下がったとの結果がでてます。(R)
勉強しながらの音楽はパフォーマンスが下がると聞いて、
・「自分の好きな音楽を流したら作業が進む気がするけどな」
・「じゃあなんでYouTubeに作業用BGMってあるの?」
と思った方もいるかもしれません。
ですがこれは、自分の好きな音楽を聴いたことでたんに気分が上がったためです。
つまり私たちが音楽を聴いた方がいいと思い込んでしまったのは、
・気分が上がった=勉強の効率が上がった
と勘違いしたから。
私も高校生の頃は、好きなチャゲアスの曲をガンガン流しまくって勉強してましたが、これ逆効果だったんですね…。早めに知っておけばよかったナ…。
でも音楽は使い方次第でプラスにできる!
ここまで読んだ人のなかには「じゃあ音楽は聴かないほうがいいんだ!」と思った方もいるかもしれません。
が、そうではありません。
使い方次第で逆に音楽をプラスに変えることもできます。
つまり音楽はうまく使えば、むしろ学習の効果が高まる方法が3つあるとわかってます↓
【音楽を効果的に活かす3つのポイント】
ポイント1)勉強前に好きな音楽を聴く
ポイント2)勉強前に聴く音楽を固定する
ポイント3)自然音を聞く
順にみていきましょう。
ポイント1)勉強前に好きな音楽を聴く
勉強中に音楽を聴くのはパフォーマンスとか能力が落ちちゃうのでNGです。
ですが勉強前であれば効率をアップできます。
というのもそもそも音楽には、
・気分を高める
・不安や緊張を和らげる
・注意力を高める
・困難な課題に対するやる気を上げる
などの効果があるんですよね。
なので勉強前に自分が元気の出るような音楽を聴くのは効果的です。
好きな音楽を聴いてガンガン脳のドーパミンを出して、集中力の高い状態をキープして勉強すればOKです。
音楽を聴いたあとはできるだけ無音の状態で勉強します。(その方が脳にインプットしやすいので)
そしてひと通り勉強が終わった後の休憩中には
音楽を聴く→集中力を上げる→勉強を始めるときに静かな環境で勉強する
といったことを繰り返すと学習効率が高まります。
これを知って、
「静かな環境で勉強って言っても、近くで工事しててうるさいとかファミレスみたいに人がたくさんいるところならできないよ」
と心配になった方もいると思います。
でもどこにいても静かに勉強できる最強アイテムがあるのをご存じですか?
それはノイズキャンセリングイヤホンです。
「音楽を流す」だけじゃなくて「無音」にも切り替えできる機能を持っていて、好きなタイミングで音楽を流したり無音状態にできます。
無音状態っていうのは本当に無音で、イメージでいうと夜の深海の中に潜っているような静かな状態にスイッチできます。
実際にやってみるとわかりますが、好きな音楽を聴いてテンションが上がったあとに無音状態で勉強すると、自分がスポーツでいうゾーンに入ったような感じになって問題集も10ページ、20ページとサクサク進みます。
ただ1つデメリットがあって、音が聞こえなさ過ぎて店員とか友達に話しかけられても全く気付かない点です。
私も一度友達から大声で何度も呼ばれたのですが、何事もなかったかのように平然と無視してしまって後で気まずい思いをしました…笑 なので使う時はそこだけ注意してもらえたらなと。
とはいえノイズキャンセリングイヤホンは学習スキルを上げるための必須アイテムになるので、効果的に勉強したい人はもっておくと今後の勉強がラクになります。
ポイント2)勉強前に聴く音楽を固定する
資格の勉強とか英語の勉強とかあなたが毎日ルーティンでやっている勉強があるなら、音楽も同じ曲でルーティンで聴くようにしましょう。
というのも、勉強前に同じ曲を流すと「あ、この音楽はあの勉強をするための合図だな」と脳が認識して自動的に勉強集中モードに切り替わってくれるから。
テンポの早い曲であなたが好きな音楽はありますか?
固定する音楽を決めるときは、できればバラードとかゆったりした曲よりは、自分の気分が盛り上がるような曲にすると効果的です。
参考までに私の場合はマリオの無敵BGMを聞いたあとに作業してます。
どんな曲?って思った方はこちら。
一度は耳にしたことあるはず↓
これ聞くと自分が無敵になったような気分になるというか、パワーアップした状態で勉強できる感覚がつきやすいので個人的にはめっちゃ好きなんですよね笑
もちろん歌詞のある曲でも全然いいんですけど1曲全部聴くってなるとちょっと時間かかるし毎日聴くってなったらさすがに飽きるかなと思ってそれにしてます。
もしあなたが毎日続けている勉強のジャンルがあるなら、勉強前の音楽は固定した方がベストです。
あなたが「これなら毎日聴いても問題なさそうかな」って思う曲を選んでみるのをおすすめします。
ポイント3)自然音を聞く
「無音の状態はちょっと耐えられない!」という方に向いてる方法です。
自然音は
・川が流れる音、、、
・木々が揺れる音、、、
・小鳥のさえずり、、、
など自然の中で聞こえる音をいいます。
基本的に集中力を上げるには無音がベストなんですが、創造力を必要とする作業は自然音が効果的です。(R)
たとえば、
・何か企画を考える
・文章を書く
・デザインする
といったクリエイティブさが求められる作業に効果アリです。
でも「うちは都会だから自然音なんてきけないよ」っていう方もいると思うので、その場合はYouTubeでもOKです。
「自然音」と検索すればたくさんでてきます。
さざ波の音でも小鳥の鳴き声でもなんでもいいので、自分が好きな自然音をチョイスしてみてください。
自然音なら勉強しながらでも聞いても大丈夫な音ですし、いつもより創造性を発揮できますよ。
終わりに
私たちが音楽を聴きながら作業しちゃうのは、気分がノッて作業が進んだと誤解したためだったんですね。
今後勉強するときは勉強前に自分の好きな音楽を聴くとか、勉強中に自然音を流すといいでしょう。
これだけで自分の学習能力をアップできます。
さっきも紹介しましたが、勉強する時の装備アイテムとしてノイズキャンセリングイヤホンを持っておくのはめちゃくちゃオススメです。
理由は、勉強前に音楽を流す→勉強中は無音モードor自然音を流すの切り替えがかんたんにできるから。
資格を効率的に取得したいとか、語学学習で毎日テキストを使う人は普段からもっておくとゲームでいう「このアイテムを装備するだけで経験値が2倍になる」みたいな状態になれます。
・テストでコスパよく高得点を取りたい!
・受験で自分が志望する大学に合格したい!
・資格を最速で手に入れたい!
・上手い文章が書けるようになりたい!
という方は、必須アイテムになることは間違いありません。
勉強中に音楽をながすのはマズいですが、音楽は上手く使えば心強い味方になります。
学習効率を上げたいなら、勉強前に好きな音楽を流して聴いてみてください。
関連記事:当noteのようなやってはいけない勉強法については、こちらの有料noteで書いてます。どんなに一生懸命勉強してもやり方が間違ってたら全部無駄になります。科学的に正しい勉強法を知りたい方はどうぞ↓
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【記事執筆】あすか
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参考文献・データ等
Nick Perham(2011)Can preference for background music mediate the irrelevant sound effect? https://doi.org/10.1002/acp.1731
Gianna Cassidy(2007)The effect of background music and background noise on the task performance of introverts and extraverts. Psychology of Music 35(3):517-537 DOI:10.1177/0305735607076444
Ravi Mehta, Rui (Juliet) Zhu, Amar Cheema(2012)Is Noise Always Bad? Exploring the Effects of Ambient Noise on Creative Cognition. Journal of Consumer Research, Vol. 39, No. 4.pp. 784-799 (16 pages)