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伝統工芸の問題点(第4話)
そもそも彼は甘木絞りを"伝統"と考えているのか?
それとも"伝承"として考えているのか?
西村:「僕個人として甘木絞りは伝統工芸としてやっていこうと決めてました。だから"伝統"を意識していますね。ちゃんと長く引き継いでいくために、若い人たちでも食べていける職にしていきたいと思っています。」
-甘木絞りの世界に入って難しく感じたことは?
西村:「まぁ自分で事業をやったことがなかったので、最初シンプルに事業の難しさを知ったのはありますが…笑。ただ伝統工芸として県や国から指定をもらうのに条件があるんです。その条件の一つに"一定の地域内に産業として成り立っている事業者が複数ある"というのがあります。だから僕だけの事業が成立していただけではダメで、僕以外の人も事業として増えていかなければ伝統工芸として受け継いでいけない。そこがどうやったら増えるかなというのが難しい課題ですね。」
-甘木絞りを産業として長く受け継いでいくことが一つの壁になっているということか?
西村:「ただ甘木絞り以外のどの地域の伝統工芸も数は少なくなってきているので、続けていくということ自体がそもそも難しいということもあります。」
-それを解消するにはどうしたら良いか?
西村:「やっぱりそこも事業を意識して儲かる仕事になること。とにかく若い人たちがやりたい・この仕事でやれると思わないと、どんどん業界が高齢化していき、継げる人がいなくなるので。」
-事業の開始当初と今とは状況は変わりましたか?
西村:「僕が始めた頃よりも甘木絞りの知名度は上がっていると感じています。産業としてやっていく中で、まずは知ってもらうことが一番最初かなと思っていたので、そこは自分でもクリアできたかなと。メディアの人が興味を持ってくれそうな取り組みをプレスリリースして常に情報は発信していました。例えば朝倉で災害があった時に、甘木絞りで作った復興支援TシャツをPRしたり、同じ伝統工芸で隣町の日田下駄とコラボをして注目を浴びたりたりとメディア戦略は最初、事業を行っていく上でとても重要視してきました。」
つづく