![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161745846/rectangle_large_type_2_2ed25341a304d43784a387c4372a353c.png?width=1200)
Adiós Nonino
おっ、Helloこんにちは!からAdiósさようならへの変化球だ!自分に課したタイトル縛りをもはや放棄する( ^ω^)・・・まぁ、いいではないか。ここは何か大根を下ろすように旅の軌跡を書き散らしたくなったら来る所ってことにしよう。
さて、私はフィギュアスケートファンである、と以前の投稿で書いたが、Adiós Noninoという曲を皆さんご存知だろうか?ピアソラの名曲で、聴けばかなりの人が「あ、知ってる」って思いだすはずです。これ
で、このAdiós Noninoはまぁフィギュア選手の演技の曲として大変良く使われることも多くて。昔の映像ですがYoutube検索するとAdiós Noninoで滑ったフィギュアスケートプログラムのリスト、なんていうのが出てきます。それぐらい色んな選手が滑ってる。
ダイスキ・タカハシさんもAdiós Noninoじゃないけどピアソラの曲は滑ってますね。アルゼンチンタンゴはスケートに使いやすいんだと思います。
そういえば先日Marty Friedmanがピアソラをやります!っていうライブを聞きに丸の内のCotton Clubに行ってきました。マーティさんは元々泣き🎸というかメガデスファンにはオリエンタル、って言われる演歌のようにこぶしを効かせたマイナートーンの唸るギターを弾く人ですが、そりゃあピアソラ好きになりますよね…哀愁たっぷりだもん…
とまぁ、色々あるんですけど…。
この週末、代々木までNHK杯を見に行ってたんですけど、そこで女子シングル3位に入賞した青木祐奈選手も今期のショートプログラムはAdiós Noninoでした。以下のインスタリンク元はこのプログラムを振付したMisha Ge先生です。
アダム・リッポンというオリンピックにも出た芸術性で定評のあるアメリカの元スケート選手が「マスターピースなコレオ!」という好評コメントを書いていますが、実際NHK杯で青木さんのショートは大変点数が高くこれで彼女は2024年のNHK杯で3位入賞を果たすことができたのかもしれません。
青木選手の事は知っていましたし何度もアイスショーや過去の試合で見てますが、私自身が好きだなこの人の演技、と思うようになったのは今年2024年からだと思います。最初は、今年頭に福岡であった高橋大輔プロデュースの新しいアイスショー「滑走屋」のキャストメンバーとして。その次はFantasy On Iceというアイスショーで、その時は城田優さんが歌うA Whole New Worldに合わせてディスニー映画のジャスミンを演じるという役だったのですが、これがなんていうか…本当に夢のように可愛くて健気なジャスミンだなーってしみじみ感じ入ったのを覚えています。
でまぁ、このようにAdiós Noninoを聞く機会はとても多かったのですが、今年のNHK杯での青木祐奈選手のAdiós Noninoがとっても刺さりまして。ショートプログラムだけでなくフリーのPopsicalもすっごーく良かったし刺さりまくりでしたが!!!(またみしゃげ師匠のインスタリンクです。こちらには元曲の作曲家さんが熱いコメントを寄せていらっしゃってて「うわー!すごい私の曲をこんなに素敵に滑って貰って超嬉しい!命が吹き込まれた!」作曲家さん自身がフィギュアスケートへのあこがれがあったそうで、そのような感じの熱いコメントを寄せていました。
青木祐奈選手について今年から刺さるようになってきたのはなぜか?いや昨年もずっと見てましたけど、同じく昨年2023年のNHK杯も大阪に見に行きましたが、その時青木選手は大学4年生で、国際的なトップ選手でない場合は大学卒業と同時にアマチュア引退する選手って多いんですね。それで青木選手も引退前の大舞台だという事で頑張った演技をした結果、2023年のNHK杯でお客さんの大喝采を浴びて。それがきっかけで、もうちょっと頑張ってみようとアマチュア選手生活を2024年も続けることになったんだそうです。
今は学生さんではないので、スケートクラブに所属して、アイスショーに出演などもしている訳ですが正直、社会人としてアマチュア選手を続けるのはとても大変なわけです。金銭的にも、練習環境的にも、年齢的にも。日本はスケート選手の層が厚いのでどんどん若手の選手は出てきますし。それでも、青木選手はじわじわとプレゼンスを上げてきて、今は国際ランキング上位を十分狙える位置まで来ているし、青木選手ならではの個性というのもファンに認知され始めているし、という雰囲気がします。今年のNHK杯で、演技を終えた時のフィニッシュポーズどーん!ガッツポーズ!と同時に満員の観客がわっと立ち上がって盛大なスタオベをしたわけですが、勿論私も青木選手の熱い万感の思いのこもった演技に中てられて、感極まって椅子から飛び上がって👏拍手をしてたんですけど。そういう、見ている人に熱い気持ちをもたらすことができる選手なので、このまま成長し来年も続けてくれたら、そしてぜひオリンピックを狙うような位置に行けたら、素敵だなぁとつい期待して応援している所です。
まぁ青木祐奈選手のファンになったよ!って話なんですけど、それはそれとしてAdiós Noninoなんですけど、ピアソラの名曲アルゼンチンタンゴの、あーあれね、って思ってたんですけど、妙に心に引っかかる所があって、Adiós Noninoってアディオスっていうぐらいだから何かお別れするって意味だと思うけど、どういうテーマの曲なんだろう・・・?ってやっと最近調べまして。これはどうして私はこんなに急にAdiós Noninoが刺さるんだろう?というのを深堀しようと思ったからなんですが、Wikipediaに書いてありました解決。
簡潔なんでウィキペ読んでくださいね。なるほど、ノニーノってのはお父さんのニックネームか。お父様の死に目に会えなかった惜別の音楽なのか。あー、そりゃ私にも刺さりますね、ぐさっ。私も父の死に目には会えませんでした…亡くなる10日ぐらい前に最後言葉を交わすことはできたけどね…
死に目に会いたかった?解らない。その時には居なくて良かったという風にしか今は思えない。けど、まぁ…最後に会った時は死ぬ2週間前ぐらいでしたが…もうやばいんじゃないの?ってぐらいに弱った姿だったけれど、それでも抗がん剤治療を開始して本人はまだまだ頑張るという気持ちでいたし…見守ってる家族としては死を覚悟してはいたけれどもまさか2週間のうちにそうなるとは思ってもいなかったんです。今年は大変だぞ、ぐらいの時間軸を意識してました。
だから最後にあってたった2週間後に急に母がお父さん危篤だ、と連絡を寄越したとき丁度私は夕食を料理してる最中で。ガス台の火を止め調理の途中で電話をとったら、ええっ!?「覚悟しとけ」って・・・え?まじで?そんな急に?って。今から仙台の病院に行くんだ了解…と電話を切り、ガス台の火を再度つけて調理を終え夕食を食べはじめたわけです。父が危篤で親族が病院に急行している、という連絡があったにも関わらず娘は暢気に晩御飯を食べはじめた、と。
だってさ!?料理したの自分だし!?折角作ったんだからあったかいうちに食べないとじゃん?大体それは平日の夕食で、一日働いて帰宅してお腹すいてるから料理してたわけで。豚の生姜焼きかなんかだったと思う…を食べ終わるころにまた母から電話が来た。「死んだ」って。
実際のタイムラインはそんな感じだった。感慨にふける、覚悟を決める、なんて隙間はまるでなくて。日常生活はすすめなくちゃいけないし、おなかがすいたら自分で料理してお腹を満たすとか、食べ終わったらお皿を洗うとか、そういう普段のいつものルーティンをやってるなかに、二度は無い一回こっきりの大きな出来事というのは突然発生しては消えていく。まぁ、そういうもんだよね・・・とも思うし、もっとドラマティックだったり、劇的な感慨とか、なんか情緒的なことが全然ないってのもどうなの?とも思うし、まぁ…私の場合はこんな感じだったけど…
というのが何となく思い浮かぶことでした。
ピアソラさんがお父様ノニーノ氏の死を聞かされた時どういう状況だったのか、さっぱりわからないけれど、所属楽団でツアー中で実家アルゼンチンに帰国するお金も無かったということは、まぁ実は似たような状況だったのかもしれない。同じ南米大陸には居るけど、楽団のツアーという事は公演スケジュールが決まってて楽団のメンバーであれば、恐らく代わりの演奏者なんてのは居なくて。バンドネオンだしね。楽団の目玉の楽器だろうし。それで、お金のために雇われて入ったバンドで目玉楽器を演奏するツアーの最中に「父ちゃん死んだんでちょっと実家帰っていいっすか?」とは恐らく言えるはずもなく。そんなことしたら公演中止になって、もしかしたらツアー日程そのものも中止しなきゃいけないかもしれない。なんせ目玉楽器だからね、バンドネオン。他の演奏者が見つかったとしたら、単純にお前は首だ~ってなるわけで。契約上恐らくそういう事があってもツアー続行すること、とか縛りがあっただろうし。公演・ツアー中止なんてしたら莫大な損害賠償を背負わされただろうし。稼ぐ為に入った楽団で?そんなことできないよね。そもそもピアソラ氏がこの時金銭的に困窮してた理由は、アルゼンチンを出てニューヨークで一旗揚げようと出てきた時の、つまり修業時代のもっとも困窮していた時期で、だからこそ楽団に入ったんだろうし。アルゼンチンを出てニューヨークに行ったのだって、お父様ノニーノ氏のもとから独り立ちしてミュージシャンとして食っていけるそういう人になろうとしたんだろうし。そういう状況に居る時にお父様の死に目に駆けつけることを果たしてお父様ノニーノ氏が喜んだだろうか?来てくれたらうれしいだろうけど、行けなかったとしてもきっとお父様わかってくれるだろうなと。そんな状況を勝手に想像しています。
よく芸能界で役者は親の死に目に会えると思うな、って言いますけどね。つまり舞台の幕が上がったら何があろうと演じきりなさいと。一つの舞台公演をかけるために、沢山の人やお金が投じられて、お客さんもチケット買って費用かけて見に来ている、それが舞台であって、それに穴をあけるというのはよほどのことが無い限り普通は許容されない訳です。ピアソラさんもきっとそういうような状況だったんだろうね、と思ったわけです。
しかたがない。生きている人間は生きなきゃいけないし、生きるって働いたりご飯食べたりすることだからさ。でも、亡くなった人をあれこれ思う、というのも日常の中に色んな瞬間にふいに出てきたりして、そこで振り返ったりまたいろんな思いを重ねていくんだろうなと。
そういうことを考えたりしたことを記録として残したかった、って感じですかねこれ。ここまで全くプロットも考えずただただ思いついたことを書き連ねています。
ーーーー2024年12月25日追記ーーーー
まだ決定ではありませんが、全日本選手権での結果を受けて、青木祐奈選手が現役引退を検討中という報道がありました。ご本人はインスタグラムで「まだ決定ではないのに報道が独り歩きしてちょっと困っている」と言っていましたが…
報道にあった引退を考えた理由は、今回の全日本選手権に向けて自分で可能な限りの努力と練習を重ねてきてなおああいう結果になった。これ以上スケートを嫌いになりたくないので、アイスショーに出たり夢だった振付師を目ざして現役活動を終えることも検討している、っていう感じでした。
全日本選手権も大阪に見に行ってました。決して悪い結果ではないです。ただ、フリー滑走の時、彼女が得意としていた持ち技であるコンビネーションジャンプを失敗してしまったことは事実です。ただ、それをリカバリーするためにまた別の超絶コンビネーションジャンプを同じプログラムの中で成功させているので、そこはマジでカッコよかったんですけどね!
全日本選手権はあくまで日本国内の大会なのでここでつく点数・評価はあくまで日本国内限定のものであって、国際ランキングのポイントには関係ないんですけど、でも全日本選手権の結果で持って、その翌年のシーズンの国際試合派遣や、強化選手指定や、そういった諸々のスケート連盟としての扱いが決められるので、選手にとってはとても大事な試合なわけです。その大事な大事な試合で決められなかった、失敗した、というのは、そこに賭けていた選手にとってはリカバリーできる手段が他にないので、色々と将来を考える材料になるんだろうと受け止めては居るのですが…でも、全日本選手権フリー滑走で最終グループに残れてる実力がある選手でもこう思ってしまう、というのも分かるけど過酷な世界だなと。全日本フィギュア選手権は本当に過酷な試合で、これに出場するためには各地域の予選を突破しなければならず、出場できたとしてもショートプログラムの出場者は必ず下位6人は足きりされフリー滑走に挑めません。足きりってフィギュア選手相手に嫌な表現で申し訳ないですが、そういう仕組みな訳です。そして現在の日本の上位選手というのはみなさん世界のトップレベルの活躍をしています。だから全日本選手権で最終グループの6人に入れたという事は、世界レベルで戦える実力があるという解釈も十分出来るわけです。坂本香織さんや千葉百音さんや島田麻央さんと肩を並べられる位置に、青木祐奈さんもたどり着いた、という事なんです。
だから、ファンとしてはまだまだもっと先に世界に飛んで行けるよ伸びるよ、だから頑張って続けてほしい!って思うけれども、アルバイトしながら現役続行している選手本人の苦労は度外視した思いですので、実際にスポンサーになって金銭的に選手を支える立場でもないので、何とか続けてくれると嬉しいけどな…というしかない感じです。