β-279 ふぇにっくす
楽曲を軸にさまざま書いていくシリーズ、第14回は山下達郎さんの「フェニックス」です。
2003年から2年間放送されたNHKの番組、「地球だい好き 環境新時代」のテーマソングで、同年に「2000トンの雨」をシングル・ヴァージョンでリリースしたときの2曲目、すなわち両A面シングルで発売され、アルバムとしては「SONORITE」に収録されております。
2000年代初頭の達郎さんは、思ったよりも苦闘していらっしゃったようで、そのためなのかはわかりませんが、あんまりこの期間に作詞・作曲した楽曲をご自身の番組等々で流さないような傾向でございまして・・・、"FOREVER MINE"は最近聴いたし、"白いアンブレラ"もおととしか昨年あたりに聴いたような。
でも、「フェニックス」含め、他は最近放送上で聴いていないような気がしてね。
追記:「フェニックス」は3月21日分で60秒アカペラ・ヴァージョンが公開されました、フルで聴きたい、でも焦らない。
そのため、いまのところこの楽曲が収録されている「SONORITE」でしか昨今では聴いておりませんでした。
ですが、今年からNHKのほうでSDGs(持続可能な開発)キャンペーンの一環として、新たにテーマソングとして達郎さんのこの楽曲がアカペラ・ヴァージョンとして起用されるということが決まりました。
こちらにそのソースを貼っておきましたが、そのリリース日が奇しくも2月4日、達郎さんの68回目のお誕生日と重なっているんですね。
それにしても、ここ15年表舞台にあんまり出てこなかった楽曲が、再び放たれるということは異例、まさに"フェニックス"です。
これからNHKの環境を題材にした番組などで、アカペラ・ヴァージョンが挿入されるとなると、これから耳にする機会が増えると思います、といっても、まだアカペラ・ヴァージョンがどうなっているかその全容が掴み切れていませんし、達郎さん自身からのアナウンス(業務連絡)もまだ詳細には出ておりませんので、ほんとにこれから再び・・・というところでありましょう。
本題に入る前にSDGsということばを、最近耳にする機会が多くなりました、しかしあんまり掘り下げるという暇が少ないという方が多いと思いますし、まだその特性というのも不明と感じている方も多いと思いますので、簡単にご説明を。
楽曲の紹介だけご覧になりたいという方は、目次のほうから飛ばしていただけると思います。
SDGsって?
SDGsは、17の目標がありまして・・・、順にお伝えすると・・・。
①貧困をなくす
②飢餓ゼロへ
③みな平等に保健・福祉を
④平等な教育
⑤ジェンダー平等の実現
⑥安全な水とトイレを
⑦クリーンなエネルギーを
⑧働き甲斐かつ経済成長
⑨産業と技術革新の基盤を
⑩国家間平等
⑪ずっと住み続けられるまちづくり
⑫つくる責任、つかう責任
⑬気候変動に具体的な対策を
⑭海の豊かさ
⑮陸の豊かさ
⑯平和と公正をすべての人に
⑰パートナーシップで連携強化
という大まかな目標のもとに具体的にどうすればいいかという169項目がありまして、その169項目を達成するように心掛ければ、おのずと目標に近づくという構図になっております、とりあえず以上の17の目標を押さえておくことがひとまず大事でしょうか、キーフレーズは「すべて平等」と「そのための環境整備」「人類が偏見なく歩み寄るべく、行動をとる」というところでしょうか。
17の目標は、どれだけ時間がかかっても全然達成できそうにもないものばかりですが(自身も理想は達成したい気持ちで溢れているけれど、いざ現実を見渡すと課題が山積みな部分が多数あるのでね)、なんにも起こさないわけにもいかないというのが、ここからの10年、そしてその先の人類が考えるべき内容なのではないかと思っておりまして、ただなんとなくぴんとこないとこも少なからずありまして。
ひとまず〈無駄なものは手に入れない、まだ使えるものは捨てない、食べきれない量をいっぺんに提供しない、環境問題について認識していく〉という水準の行動をとっていくことがまず大事で、そこから専門分野に携わる方々を筆頭に、具体策を提示して呼びかけていくという流れを作っていくことが大事なのではないでしょうか、そんな簡単にいくものでもないかもしれませんが、ひとつの考えとして。
小さくても努力は欠かさず、そうして前を進んでいければひとまずは。
NHKと環境
2000年代のNHKは環境キャンペーンを行っておりまして、それは公共CMとしても、2000年代の公共広告機構(現:ACジャパン)との共同キャンペーンでは、当時売り出し中のPerfumeやAKB48、HOME MADE 家族を起用して、アイドリングストップをやめましょうであったりとか、3R(リデュース《減らす》リユース《繰り返し使う》リサイクル《資源の再利用》)を促したりというような活動も行っておりましたね。
この活動は、2000年から行っておりまして、環境に限らず、現在目の前に起きている(とされる、視点変えればずれている可能性も否定できない)問題を30秒のCMにまとめて行っております。
詳しくは私の過去記事もご参考に、ちなみに今年度のキャンペーンは環境とあまり関係ありませんが、今年から再び環境を軸に据える形になるとすると、2021年度のキャンペーンは再び環境を全面的に押し出していくかもしれません、あくまで予測。
ちなみに、ACとNHKの共同キャンペーン、最初の内容は知る人ぞ知るあの「捨てる世紀」です。
あの年のAC(公共広告機構)は「ジコ虫」も展開しておりましたから、個人的には波及力の強いキャンペーンが2つもあったんだなという振り返りも・・・。
動画貼り付けてもいいですけど、CM系は削除される可能性も高いですし、自身も公共広告機構時代(ACジャパンになって見れるようになった)のCMは率先して見てみようとは思えないくらいのトラウマを持っている民なので、貼るのは・・・っていう、ですので、それぞれ検索のほうよろしくお願いします(ひやあせ)
NHK自身も2010年くらいまでは環境を軸としたキャンペーンを行っていたそうですが、2011年の東日本大震災を機に、東北地方の復興を軸とした「明日へ」プロジェクトのほうに活動をシフトしていったので、環境を再び全面的に出すということは、2010年代にはあんまりしていらっしゃらなかったそうで。
しかし、環境問題についての話題がここのところ再びクローズアップされているという時代の趨勢を鑑みて、再び環境を軸に多様性だとか平等性だとかを取り上げる大型プロジェクトを立ち上げていこうという構えになってきたそうです、どのようなアクションを引き起こし、どんなふうに波及していくのかは、制作陣の力量次第な面もございますが、長期にわたるプロジェクトだとは思われますので、長い目で注目していければと思います。
本題「フェニックス」
では、ここからが本題。
NHKとSDGsを軸としたキャンペーンのテーマソングとして、達郎さんの「フェニックス」が起用されました。
主にNHKの関連番組(春からの編成だと総合では平日帯23:35~の未来スイッチとEテレ月曜19:25~のひろがれ!いろとりどりという番組で聴くこともあるのやも・・・)とTOKYO FM日曜14:00~の「山下達郎の楽天カード サンデー・ソングブック」などで、再びアカペラ・ヴァージョン含め耳にする場面が多くなりそうだと感じたので、先行してこちらのほうで紹介してみようと考えた次第です。
NHKの広報担当も「サンデー・ソングブック」の時間帯にわざわざ宣伝いたしておりました、アンテナを向けていたのかもしれませんが、ヘビーリスナーなのかもしれません。
このタイアップを受けて、放送終了後に「SONORITE」収録作品のなかで、壮大な音質と歌詞が交錯して、なおかつ自身も特に気に入ってるこの楽曲を紹介せざるを得ませんでした。
また、公式にさまざまコメント各方面でされていくかと思われますが、そのコメントを受けて新たな考え方や、改めて思うことが芽生えてしまう前に一度ここいらで整理しておくのが大事なのかもしれません。
それにしても、この話題は寝耳に水。。
さ、曲目に入る前に背景などの情報を整理していく作業に追われてしまいましたね・・・。
「フェニックス」というのは、「不死鳥」を表しまして、死してもなお、再び蘇っていく伝説の鳥のこととなっておりまして、これからの地球が"永続的に"安寧な繁栄と発展を続けられるようにという気持ちが込められているんだろうかと考えておりましたところ、このフェニックスは別名【火の鳥】と称されまして、達郎さんも不死鳥の意味もさることながら、【火の鳥】をイメージして制作したとされているそうです。
また、手塚治虫作品をよく読んできた達郎さんは、【火の鳥】の世界観を注視して、踏襲してということもありまして、十数年ぶりにもう一回「火の鳥」を読み直していこうかなと考えた次第。
十数年前は、「火の鳥」は知っていても、そこから「フェニックス」という楽曲につながるとは考えもしませんでしたから、これを機に読み直して共通項などあれば、《感覚的》に探していきたい、音楽とは感性、理詰めでは成立不可だと思いますのでね。
前置きが長すぎました、中味をいざ。
まず、いろいろ前述しましたが、「フェニックス」というのは、題材としてはシリアスな局面に描かれる要素は多々あれど、楽曲そのものはポジティヴなテイストを心掛けてきたそうです。
歌詞考察は、あくまで個人の解釈です、飛躍も否定できませんが、それでもよろしければ。
冒頭から歌詞を見ると、『過ぎていく季節を何度も追いかけて、時に埋もれていつか君は瞳を閉ざした』とある、季節は幾度と過ぎていくなかで、見たくないものを見てしまい、聞きたくないものを耳にしてしまって、そうしたことを何度も経験して瞳を閉ざしてしまったのかなという入りで始まっているようです。
そんなときに現れた「僕」、『かじかんだ心をあたためてあげるよ どんな夜も忘れないで 僕らはいつでも一緒さ』ということで、冷え切ってしまった「君」の心をあっためようと、安心させようというところで繋いでいざサビへ。
『あの風の中で 永遠を浴びて 生まれ変わる小さな鳥のように 僕等の想いもいつかよみがえる フェニックス 今 こだまが聞こえた』つまりは、フェニックスのように、自分たちは死んでもなお、その想いを受け継いだ者が継承してくれて、発展してくれるよという意味合いなんでしょうか、ここで火の鳥を改めて熟読しなければならないのかなと考えてしまうんですよね・・・。
そして2番『ずっと夢を見てる 君と同じ夢を こわれかけたこの世界が再び目覚めるその日まで』ここで、環境問題をテーマにした楽曲なんだろうなという想像に至る。
こわれかけたこの世界が再び、多様性を持って、目覚めていく日まで、涙をこらえて、唇を噛んで、いくつもの嵐(逆境や課題)を踏み止めながら、未来へ歩んでいく・・・、あれ、静寂がふるえた・・・?
2番サビまでは、このような様相。
達郎さんはけっこう「静寂(しじま)」というワードを歌詞に散りばめています。
代表としては「ルミネッセンス」「ずっと一緒さ」「FOREVER MINE」がそうかな、という余談。
こうした歌詞が入る楽曲に関しては、こころのとても落ち着いたときに聴くと効果が抜群だし、聴いていて安心して眠りにつけることができるので、おおすすめです♪
ふるえた静寂はまだ見るオーロラやオゾンへと続くよ、きっと。
燃え尽きても、フェニックスのように、想いはよみがえる、そのことを絶えず想い続けていれば。
そしたら、誰かが笑ってくれるし、新しい生命も誕生してくれるし、みんなそばにいることもわかってくれるんだよ、だから諦めずにね・・・という歌詞の内容にマッチングする青山純さんのドラムス、伊藤広規さんのベース、難波弘之さんのピアノ、そして達郎さんのギターやパーカッション、多重コーラスが楽曲を最大限までに上げてきている紛れもなく、世代を超えていく名曲に違いないと考えてはおります、勝手すぎますけれど。
ひとり多重アカペラを専門分野、得意領域としている達郎さんのフェニックスのアカペラ・ヴァージョンも期待値がぐんぐん膨れ上がってしまうわけですよ、早く聴きたい・・・!
あと、次のアルバムに収録されるんでしょうか、このヴァージョン、よく考えるとここ10年ほど、新規のアルバムをリリースしてないんですよね。。
だからそろそろと踏んでるんですけど、どうなるんでしょうか。
それにしても、達郎さんに難波さん、伊藤広規さん、そして青山純さんと勢揃いで演奏されている楽曲に外れは一切ないんですよ、故にこの4人の演奏を一目で見たかった・・・。
城北トリオ(達郎&難波&伊藤)の演奏は、またこの事態が明けたら、見に行けるんでしょうけれどね(なお、競争率)。
と考えるあした・の・β<ベータ>でした。