β-107 すとりーみんぐ
7月30日の20時より配信された山下達郎さんのSUPER STREAMINGのおはなしを今更ながらやってみようかと。
結論から言うと、達郎さんの配信を見てしまうとなかなか他の方のライヴ配信には耳を傾けにくいなっていうくらいに音質が素晴らしかったものがありまして…。
とはいってももう2週間経ってるので、この記事を書いたら次なる地点に向かわなくちゃなんだけどさ。
でも、即日や翌日に書くよりも2週置いたほうが落ち着いてまとめられるってのも事実。
では、まいります。
今回、事前に聞いた内容だと、2018年の京都・拾徳で行われたアコースティック・ライヴで行われた演奏の一部と、2017年の氣志團万博出演の模様をノーカットでというようなことであった。
配信時間は70分とも聞いていた。
「サンデー・ソングブック」や各サイトを巡回してみると、当初は達郎さんは配信そのものに乗り気ではなかったと見受けられた気がした。
音の職人と称される達郎さん、だからこそやるなら最高の音質でという気持ちが根強いため、ネット環境の比較的低い音質だと、どうなんだろうと気持ちがあったほか、回線がパンクしたり、セキュリティがどうなんだと感じたりという観点からも、なかなか足を踏み出せず、ただ、音楽業界もかれこれ半年ろくにライヴを行えていないという現状は、出演者もそうだし、関係各所においても経営面であったり、文化的な維持の類であったりにおいて、相当につらい思いがあるというのも、感じてたのではないのかというふうに察した、あくまで私の仕入れた情報に基づく憶測だけど。
そんななか、MUSIC/SLASHというサイトが、こけら落としとして達郎さんの配信を行うことを知った。
達郎さんがゴーサインを出した背景としては、MUSIC/SLASHの方の熱意と配信のシステム、そして業界最高峰の384kbpsという高ピットレートでの提供、そして安全・安心のセキュリティ確保という部分があったそうな。
384kbpsは、例えばBSデジタル放送で256kbpsの音質と伺っているので、それよりもきめ細やかな音像で提供できるという意味なんだろうか、なにぶん素人なので。
でも、ただ一つ言えるのは明らかに自分が普段から聞いてる音域ではないということだけはわかったのかもしれない。
如何に普段は、256kbps以下のクオリティで音楽などを聴いてたのかっていうのがよくわかる配信でもあった。
オーディオにこだわる、そんな道にこれから入っていくのだろうか…それはわからないものがあるけれど。
そんなことはさて置いて、その流れを改めて説明しましょう。
まず、有料配信となると、当日でも入金さえすれば、飛び入りでライヴ映像を楽しめたり、またアーカイブ形式でその時に見逃したり、もう一度、何度も見たい!ってときに見れるというシステムを思い浮かべるひとも多いとは思うし、実際にそうした配信もあったけれど、達郎さんの場合は、受付は配信6日前の金曜日に受け付けた分で、新規受け入れをおしまいにし、アーカイブ配信なども行わず、あくまでリアルな状態に近づけるという体裁をとっていた。
早めに打ち止めしたのは、申し込んだ人数すべてに映像や音声を始めから終わりまで途切れさせないようにサーバーを構築していくための措置なんでしょうなと認識したし、アーカイブを設けないことでその場限りに集中させていく方針であることも理解した。
実際アーカイブを入れてしまうと、どうしても後からでもという気持ちが芽生え、楽しみを分散させてしまうケースがあるので、この方針は素直に賛同した。
また、384kbpsに対応した端末か否かを確かめるためのトライアルサイトもあって、いろいろチェックしたのち、この端末でこの回線というふうに決める余地もあったとみている。
もちろん、こけら落としだから、当日になにかしらのトラブルがあったとしても大目に見なくてはならないという気持ちを持ちながら、開演までを楽しみに待っていった。
そして、迎えた当日。
どうやら、18時45分から始まっていたようだけど、私は19時15分にログインし、開演を待ち侘びた。
もう既にはじまってたけど。
達郎さんの公演を一度でも開演前に足を運んできた方はお分かりだろうけど、こちらでも配信の本番前からドゥー=ワップのBGMが流れている。
開演前のアナウンスも、しっかりと。
初めの30分を逃してしまったことは不覚と思いながらも、お決まりのBGMとアナウンスを聴いたときに「これは、外れではない、集中度を高めて大当たりだと思えるくらいに楽しまなくては」という気持ちにさせられた。
といっても、まだ雑用が残ってたのでその部分をそこまで集中して聞けなかったのは猛省。
なるべく早めに終わらせて、部屋の照明を落とす。
実際のライヴもブザーと同時に照明が落ちるので、なるべくそれに近づけた、明るい部屋で見た方もいるだろうけども。
そして、開演。
まずは、多重アカペラに乗せて、京都・拾徳のそのときの様子を眺め、そして、達郎さんと難波弘之さん、伊藤広規さんの城北トリオ(アコースティックだと、お馴染みの布陣)が入場し、それぞれの位置について、そして「ターナーの汽罐車」から演奏がはじまる…。
アコースティック・ライヴは比較的小規模のライヴハウスで行われるため、1回の公演につき見られる方々は限られている故、なかなか現地に伺うのは大変なものがあり、かく言う私も行けてはいない。
ほんとなら、今年は伺えるかなとは思ってたけど、無理そう…。
そして、この模様が配信されたことにより、収束後の公演では、ますます倍率が激しくなりそうだけど、もうそれは致し方ないかな。
様々なアングルから御三方の演奏を見れたうえに、音像が思いのほか鮮明であったので、それぞれの楽器のメロディラインを追いかけてみたり、Lenny WelchのSINCE I FELL FOR YOUやMarvin GaveのWHAT'S GOING ONのカヴァーに酔いしれたり、でも原曲をそこまで理解してないと自覚したのでそっちも聴かないとって思ったりという拾徳のライヴ映像でありました。
アコースティックなので、表面的に盛り上がるのではなく、しっかりとメロと歌声を聴いて、内省的に嵌まっていくという行為を潜在的に行っていたような。
拾徳からは6曲、そして2017年の氣志團万博。
氣志團万博の模様はWOWOWで行われてみたいだけど、達郎さんに関しては映像としてお披露目となったのは今回が初だったそうな。
登場前の映像から最後までノーカット、他のミュージシャン目当てで来たお客さんもいたこともあったのか、ちょっと緊張気味であり、メジャー曲中心で、なおかつ台風接近という様相でしかも雨もしっかりと降っていたことにより、セットリストを柔軟に変更し、「さよなら夏の日」以外はアップテンポという構成で貫いてた。
達郎さんと雨となると、むかし、葉山アリーナでのできごとがあって、そこでいろいろと培われたものがあるのか、演奏の流れも、比較的スムーズに、そしてくどいところはほんとにくどく、どこまでもこだわって、サービスも抜かりなく行ってたのが印象的だった。
本人談によると。
登場前の映像では、達郎さんがよく氣志團を聴いていること、立木文彦さんがナレーションされていたことに特に驚かされた。
立木さんが「山下達郎」とアナウンスするのは、なかなかのレアもの。
「幸せにしかしねーから」をヘビロテするくらいに聴いてた達郎さん、なかなかやるな…と思いながら。
ざっと、改めて凄かったなあってのを箇条書きすると…。
ハイティーン・ブギの最後の「山下達郎です、夜露死苦」のかっこよさを"露"を発する際に出た巻き舌がとんでもなく素晴らしき。
アトムの子に挟まれたアンパンマンのマーチもとっても良いものを感じられたし、ここから竹内まりやさんがコーラスに参入したときの衝撃はまさに"フェス"やなあと感じたよ。
また、「サンデー・ソングブック」では、ステージを移動したり、花道に向かったりする際の音が放送上の都合でカットされた「恋のブギ・ウギ・トレイン」のノーカット演奏と花道に堂々と現れ、鬼のカッティングをこれでもかっていうくらいに披露してたのも印象深かった。
「恋のブギ・ウギ・トレイン」に関しては、間奏のコーラス隊のステップをどうしても行いたいと思わんばかりだった、意外にもアクロバティックな動きが際立つので、あんなふうに踊りながら、聴いてみたいとも思った。
"リズムをとれば気持ちはひとつ"、というのをまざまざと知れた今回のハイライトだったと感じてる、少なくとも私は。
「さよなら夏の日」でしっとりと終わったのも素敵だった、時期が確か9月17日、暑さ寒さも彼岸までというけれど、また9月にこの楽曲を聴くと、より沁みるんだろうなあと。
RSRでも「さよなら夏の日」を演奏したみたいだから、夏フェスのときの定番ナンバーなんだろうなと思いながら。
公表していた内容はここまで。
ただ、アンコールもあり。
1980年代のライヴから、「SO MUCH IN LOVE」と「プラスティック・ラブ」2曲。
このころの達郎さんは長髪だったんだ…!というのがよくわかるし、80年代はまだまだ尖ってるなというのをそれぞれ感じた。
個人的には、青山純さんのドラムプレイ、村田和人さんの姿が映像を通して見れたことも、とても有り難かった。
けど、現代でもう一度というのができないのがまた…。
そんなことを思いながら、エンドロール、そして21時半頃、終演。
予定よりも20分オーバーするというサービスを感じながら、余韻を噛み締めて、いざ眠りに入った、そんなストリーミング配信日であった。
終始高音質で途切れることなく、楽しめた。
4K配信のほうに力を入れるのもそれはそれで、なんだろうけど、少しでもライヴの雰囲気に近づけたいのなら音源のほうを重視することが大事なんだよというのを改めて知ることのできた配信でもあった。
もちろん、課題もあるのかもしれない。
例えば、今回の配信は国内のプレイガイドでの受け付けだったため、海外の方々が聴けなかったり、こけら落としでちょっとしたトラブルってのもあったりという例も聞いてはいる。
でも、段階的にこうした配信というのは向上していけるとは信じているし、しっかりと協議のうえ、改善していく運びになるとは願ってはいる。
そして、更なる音質の向上や生配信を執り行えるかどうかというテストもきっと行っているのだろうとは思う。
配信というのは、気軽にどこに住んでても聴けてというのがメリットではあるけれど、会場に集まって、聴いて、盛り上がれるような臨場感と音質には敵わない面もあり、そんななかで高揚感を用いて楽しみを紡ぎ上げるには、なかなかの労力がいるのもまた事実。
ただ、この禍のなかで、「配信」という選択肢がこれからより一層強まるのは確かではあるので、従来のライヴ演奏も復活していけることを願いつつ、これからの配信ライヴのクオリティなども追いかけていかないといけないのかなと感じるあした・の・β<ベータ>でした。
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