北海道・室蘭から情報科学で医療に貢献

室蘭工業大学(北海道室蘭市)大学院工学研究科で教授を務める。カナダ留学で刺激を受けながら研究者としてのキャリアを積み、室工大が2023年4月に設立したコンピュータ科学センターのセンター長に就任した。コンピューター科学分野の知見を医療という新たなフィールドで生かそうとしている

センターは学問分野を横断して全学でコンピューター科学の基礎知識を身につけ、大学の研究力向上につなげる狙いで立ち上がった。太田教授ら5人の教員が兼任含めて在籍し、主に博士課程の学生が研究にいそしむ。

太田教授はこれまで接点のなかった医療の分野で、人工知能(AI)によるデータ解析などに取り組んでいる。札幌医科大学(札幌市)泌尿器科の舛森直哉教授との共同研究だ。尿が出にくいと訴える患者への治療方法を決める際、検査で尿管にカテーテルを入れるが、患者にとっては痛みを伴うなど負担が大きい。

研究ではカテーテル検査をせずに治療方針を決められることを目指す。尿が出にくくなる原因を4パターンに分け、尿の量や出る速さといったデータの解析でそれぞれの確率をはじき出す。医療分野での研究では個人情報の取り扱いを厳重にする必要がある。個人データが分からないよう医師がデータを加工するため、忙しい医師に負担をかけるもどかしさもある。それでも患者の負担を軽くするという共通目的のためまい進する。

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